Baliの人達は言葉にあまり頼らない。言葉よりもむしろその場の雰囲気…みたいなものを重視する。その時の空気感、風の流れ、過去と未来の移ろい、匂いや気分。そんなありとあらゆる要素をからだ中の五感で感じて意志疎通をしている。だから多少言葉がわからなくても彼らのニュアンスを感じ取るように努力していれば、なんとなくコミュニケーションができる。私自身、よく目配せや顔色だけで語りかけられる。もちろん私も気持で答える。なんだかテレパシーが通じるみたいな不思議な感覚…。しかし、そんなわけだから口約束はあてにならない。つまらない小さな嘘もいっぱいつく。そんな時、YesかNoかという都会的感覚で彼らを問い詰めると、とても悲しそうな顔をしてまた小さな嘘をつく。そして私は、言葉じゃないんだ…、雰囲気なんだってことを理解する。考えてみれば人の気持は、YesかNoかじゃ割り切れないはず。それを強引にYesかNoに押し込むからあっちこっちに無理がでる。割り切れなかった余りも含めて相手を理解してあげられる曖昧さ…。そんな気持を都市生活でも大切にしたい。
Bali人の心地好い曖昧さが、私をやさしい気持にしてくれる。
ティダアパアパ…。 |