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「人間は考える葦である」とかの高名なパスカルおじさんはおっしゃた。そしてわが友人WAYAN君は「オートバイはUBUDの人の足である」と名言をはいた。
UBUDの人々の足であるオートバイ。インドネシア語でオートバイはSepeda Motor(スペダ・モートル)。スペダが自転車でそれにモーター(インドネシア語ではモートルという)が付いて直訳すれば、原動機付自転車とでもいおうか。しかしこれもれっきとした80ccのオートバイである。「原付自転車」なんと時代を感じさせる懐かしい響きのする言葉だろう。日本では昭和の初め本当に自転車にモーターを付けて走っていた時代がある。普通は自転車として使い、疲れたり上り坂ではモーターをスタートさせオートバイに早変わりである。今またエコロジーを考えてか、日本じゃこうゆうのが商品化されてるらしいですね。BALIで見かけるオートバイはほとんどが日本製のカブ・タイプ・オートバイ(婦人用オートバイとでも呼ぼうか)でHONDA・YAMAHA・SUZUKIの三社が独占している。性能の面で圧倒的にHONDAの評判がよく、オートバイのことをHINDAと呼んでいるほどでの人気である。イタリア製(?)のベスパも価格が安いという点で人気がある。カブ・タイプより排気量の多いオートバイのことをその大きさが男性的にみえるからなのかSepeda Laki-Laki(男のバイク)と呼んでいる。たしかにカブ・タイプと違いカッコいい。
前置きがひじょ〜に長くなってしまったが、このスペダ・モートルがUBUDでスーパーマン的活躍をするのである。「あれはなんだ?鳥かジェット機か?いやスペダ・モートルだ!」車と車の間をスイスイと超曲芸的走行をみせるスペダ・モートル。ある時は乗用車のように5人の親子がひしめきあって1台にまたがっていたり、またある時はトラックに変身し、とんでもなく大きな荷物をのせて運んでいる。グボガンと呼ばれる、でっかいお供え物を頭にのせたまま運転したりする。
のけぞってしまうほどのカルチャー・ショックである。事故は無いかと他人ごとながら心配になってきてしまう。彼らの辞書に事故という言葉はないのかと思わせるほど彼らの運転テクニックは無謀である。我々から見ればまさに暴走である。VOL. 8でスペダ・モートルの免許証の取得についての報告があったが読んでの如く、免許証を持っているのは善良な市民でまだまだ多くの人が無免許なのである。法規なんてあるのかどうかも知らない状態。免許証を取れるとは思われない10才そこそこの少年・少女がオートバイに乗っている。これで事故が無いわけがない。
「裸で裸足でノーヘルで」どこか暴走運転のキャッチ・フレーズのようであるが、これが現実に目の前で展開されるから驚いてしまう。まだまだ続く暴走運転キャッチ・フレーズ「バック・ミラーは無い、あってもみない」「二重追越しなんのその、三重追越しだってOK」「狭い道から広い道路へ左右確認なしの決死の突入」。ヘルメット着用は義務づけられているのだが、このヘルメットがまたおそまつ・とどまつ・じゅうしまつ・もひとつおまけにやそまつ(註;これは小田蘭丸さんのお父さんの名前です、スミマセン)なのにはびっくり仰天。極めつけのカルチャー・ショックは正装(バリ・ヒンドゥーの儀礼服)をすればノーヘルで大丈夫だということである。信仰心の厚いBALIの人々は、正装すれば神が見守ってくれるとでも思っているのか、やはり思っているようである。
「神のご加護御を…OM」
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