ボーっとする時間
アジアを旅すると、通りに面した店先や家の前で、何をするでもなくボーっと座っている人をよく見かける。日中は日差しが熱いから...という理由もあるが、夕暮れの気持ちいい時間帯でも、やっぱりボーっと座ってそこに居る。「けっ、暇な奴らはいーよな」なんて言わずに、一度彼らの真似をして何するわけでもなくボーっとしてみてごらん。これがとても気持ちいいって事に気づくはずだ。たぶん現代の日本人は、時間やルールにがんじがらめになっているから、この行為が下手くそになってしまっている。もうすっかり忘れてボーっと出来ない人もいるかもしれない。私もどちらかと言うと“時間は有意義に過ごさねば”とか“そんな暇があるんだったら”と考えるタイプだった。でも、とあるバリ人に「ボーっとするのはとても大切な事なんだよ」と教えてもらってから、ほんの少し世界が変わった。まずはリラックスして、今自分が存在する世界を感じてみる。すると、ほら風が右肩をかすめていった...どこかでガムランを練習する音がする...雨の匂いがしてきた...etc.etc. 五感がスッキリと研ぎ澄まされていくのが解る。そして脳の中に沸き上がってくる断片を、そのまま沸き上がるままに解放していると、たまにステキなインスピレーションが浮かんでくる。そのインスピレーションは何かを創造するのに大切な源なのだ。とても大切な源。インスピレーションが浮かんでこなくても、ボーっとする時間を過ごした後は、心と体がリラックスして気持ちがいい。そして、直面している厄介な問題も前向きに解決する道筋が見えてきたりする。リラクゼーション音楽だとかリラクゼーショングッズだとか、そんな物は必要ない。ただ単純にボーっとする。ただそれだけ。簡単だからやってごらんよ。
本当はニンゲンにとってボーっとするのは大切な事なんだ。大切な時間なんだ。
え?アタシ?ボーっとし過ぎ?...ははは、そうだね、ごめん、ごめん。 |
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