|
■ 天気待ちの蝉 ■ ■ ■ ■
真夏の昼下がり
川の中洲で天気待ちをしていたら、
ポチャンと水に何かが落ちた。
力尽きた蝉だった。
すくい上げて、
左手の親指に留まらせてみた。
かろうじて生きていた。
でも翅は濡れてボロボロ。
なかなか太陽が顔を出さず、
随分とそのまま時間が過ぎた。
そしてわたしの意識が
親指からすっかり離れた頃、
突然、蝉は羽ばたいた。
「あっ!」と思ったら、
遠い遠い反対岸の林の中まで
一生懸命、飛んでった。
あんな力が残ってたんだ。
なんだかちょっと元気になった。
頑張れば出来る...、
とにかくやるだけやってみよう。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
|
|
|
|