◇ 蔵・・・ゆるゆる雑文/01_09_01 ◇















天気待ちの蝉 ■ ■ ■ ■




真夏の昼下がり
川の中洲で天気待ちをしていたら、
ポチャンと水に何かが落ちた。

力尽きた蝉だった。

すくい上げて、
左手の親指に留まらせてみた。
かろうじて生きていた。
でも翅は濡れてボロボロ。

なかなか太陽が顔を出さず、
随分とそのまま時間が過ぎた。

そしてわたしの意識が
親指からすっかり離れた頃、
突然、蝉は羽ばたいた。

「あっ!」と思ったら、
遠い遠い反対岸の林の中まで
一生懸命、飛んでった。

あんな力が残ってたんだ。

なんだかちょっと元気になった。
頑張れば出来る...、
とにかくやるだけやってみよう。




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