| | 横須賀市自然・人文博物館で2004年春期に開催された展覧会「三浦半島の花と緑」にあわせて作られたハンディタイプの図鑑です。
花や実の色で分類された写真図版、三浦半島の自然の概説、植物探勝路の案内、野生植物目録などで構成されています。写真図版には撮影地と撮影日が記載されているので探勝路の案内と合わせれば散策の計画を立てる際にも便利です。
三浦半島を特徴づける植生は何かというと、おそらく半島の西と南に残る自然海浜の海岸植物、半島中央部の深い森を構成する照葉樹林でしょう。半島の土台である凝灰岩層はところどころ剥き出しになり、その谷筋はシダやコケの宝庫となっています。伊豆諸島で隔離された亜種の植物が里帰りすることもあるし、本土の種と交配することもあります。たとえば春先に見かけるキブシは、心なしか花穂が立派で長いと思っていたら、これもハチジョウキブシと本土のキブシの交配によって生じた(と思われている)エノシマキブシであるといいます。シャクやケイワタバコなどは県内ではこの辺りでしか見られません。
この図鑑は図版が小さく数も少ないですが、ほかの場所はさておき、ここ三浦半島でこそ見られる上に紹介したような植物に潔く重きを置いているのがいいところ。手近な初心者向けの図鑑には載っておらず、かといって重くて大きな図鑑を手繰るのは面倒な時、こういう図鑑は役立つことでしょう。(手近な図鑑でオススメなのは「花の色別道ばたの草花図鑑」偕成社,2分冊)
植物目録には三浦半島における生息状況(絶滅、絶滅危惧、減少)を示す記号が付されます。自然を守るということは、ひとえに、これらの草花がたとえひっそりとでも花を咲かせ続けることを意味するのでしょう。
ちなみにこの図鑑、一般の書店には置いてないと思います。ISBNもありません。博物館に立ち寄った際にお求め下さい。 http://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/
| | | 【ミウラハントウノヤセイショブツ】
横須賀市自然・人文博物館 2000円
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2004/10/6更新 2004/10/6 登録 3030クリック/ 2回更新 |
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