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友人からのメールを読んで、ふと幸田露伴の「五重塔」を思い出し、久しぶりに読んでみようかと本を開いたら、同じ露伴で「菊 食物としての」に目が止まる。ちょうど私の右手には重陽の節句(菊の節句)にとっておいた菊花酒がぷるぷる震えていたのですから。
こういうタイミングを、偶然と思わず神さまの必然と思うことにしている。
旧暦9月9日に祝う重陽句。今年は平日ゆえ忙しく何も出来ずじまいだった(残念)。それにしても菊花に之ほど種類があるとは。露伴の散文の中だけでも:
大笑い菊
ヒョロケ菊
モジャモジャ菊
バサケ菊
富士菊
戸隠菊
食べる菊は普通、「黄の千葉」又は「万葉の小菊」
薬用の菊では「ぬれ鷹」
どれも現代国語辞典に載らない菊のようで。
イタリアでは菊花をCrisantemo(クリザンテモ)と呼ぶ。野菊のようなものから、花弁の裏表色違いでくす玉のように鮮やかな大きなものまで様々な品種があるけれど、全てに”クリザンテモ”と同じ名前が付けられているのはいかがなものかな。細かいところまであまりこだわりが無いのはやはりこの国の特徴。
この時期にはイタリアでもシニョーラ(奥さん)が菊を買って買える姿がみられます。でも食用をみかけたことはまだありませんが。 |