|
しょうさんの日記に導かれフーさんの日記へ。豊島ご夫妻はまさに昨年お知り合いになった尊敬すべき人生の大先輩。
昨年4月にルーサイトギャラリーで展覧会をなさった折に奥様の御著書「人と暮らしと骨董と」を知り、大感激して5月にお宅へ遊びに寄らせていただいた。
その後何度か便りを交換し、今年2月三越本店で漆学会の展覧会のためご上京された折にお目にかかったのがご夫妻お揃いでの最後となった。その時、4月の出版記念展の準備を進めていることを奥様の愛子夫人から聞いて伺いたいと思ってはいたがどうしても都合がつかなかった。
三月に清氏が亡くなられたことをを知らないまま、展覧会でのお茶菓子にと「さまざま桜」をお送りしたのが4月5日。入れ違いに愛子夫人から展覧会のはがきが届く。ご夫君ご逝去の添え書き。
豊島清氏は大手化学メーカーの研究職を勤め上げ、生来のモノ作り好きに科学的知識も加わって漆器の修復、そのための合理的な論理構築から道具作りまで手がけることになった知る人ぞ知る漆器の理解者であった。
そして、ご高齢(享年90歳)の日本人男性にしては、優れて妻とのパートナーシップの高い方でした。
漆とのかかわりもパートナーシップも愛子夫人抜きには語れないことで、漆修復の発端は愛子夫人の骨董好きにあると思われます。豊島愛子氏の骨董は著書のタイトルの通り、人ありき、暮らしありきなのである。中でも現在は「傷つきやすく手入れが大変」などと現代生活で隅に追いやられがちな漆器に肩入れし、復権のためにご夫妻で努力を続けていらっしゃる最中だった。
先日愛子夫人からお電話があり、幸い後継者が育ち当面は漆の教室を続けていきたいと気丈なお言葉をお聞きしている。この先ご夫妻の共同作業が生まれることはなくなってしまったが志は確実に受け継がれていくようだ。
フーさんもご覧になった合鹿椀、縁あって我が家にお迎えできることになりました。
人生を見事に生ききった豊島清氏に合掌。 |