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2003.9.23 [火] 散歩の季節 |
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秋の散歩。
葉山は、何と言っても散歩がホントに楽しい所だ。
今日は下山川に沿った旧道を御用邸の水源近くまで散策した。
道端には、庚申塔やら御稲荷さんやら、昔からここで暮らしてきた人達の痕跡が
至る所に残っていて面白い。
歩き始めは住宅街だった周りの景色も、
どんどんよくある田舎の里山風景に変わっていく。
田んぼは穂を付けた稲が黄金色に揺れている。
ビビッットな鳥居の色と同じ様に鮮やかな彼岸花。
風に踊るすすき。
ずっと人々を見守ってきた様な巨木。
ここで暮らしていると、ニンゲンもダンゴムシも命を持った同じイキモノで、
豊かなこの自然に生かされてるんだなぁ....って事をとても身近に感じられる。
普通でいいから、毎日を丁寧に暮らしていきたい。
若い頃は、ジェットコースターの様な波乱万丈な人生がイイ!なんて言ってたのに。
歳を重ねると考え方も変わるんだなぁ。
そんな事を考えながら、歩く、歩く、歩く。
昼飯は、お寺の門前で、持ってきた鯖寿司&穴子寿司を食べる。
美味いなぁ。
着ていたのは、
先日自分で洗ってしまっておいた単衣の男物(綿&絹)。
綿の黒い半襟を付けた半襦袢。
六寸位の変な幅の博多帯を半分の巾に折ってカルタ結び。
黒い久留米絣のもんぺ。
ウエストバッグにはカメラ。
足下はたくさん歩く事を考慮してジャングルモック。 |
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2003.9.17 [水] 唐桟七々子で別荘を巡る |
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嬉しくて、昨日届いた唐桟七々子をおろす。
朝、昨日より暑くなるかな?と思ったけど、
やっぱり着たいから、着た。
今日は、縁あって、
葉山に現存する別邸をいくつか巡る事ができた。
ちょうど、拓ちゃんがキーワードにしている
「和風が暮らしいい。vol.14」のp.78から特集が組まれている。
http://www.kanshin.jp/...
葉山らしい景観の小道を歩きながら、
散策エリアに固まって存在する別邸の説明を聞く。
別荘ブームと言われた大正〜昭和初期の一時期、
葉山には「財」と「技」が結集したのだろう。
ちょうど銘仙が流行っていた時期だけど、
当時の本当のお嬢様達は何を着ていたんでしょうね。
建物の中までお邪魔出来たのは、
・中西邸
・玉塚邸(現音羽楼)
・最上邸
・伊藤邸(現本ふじ)
どの邸宅も、それぞれに個性的で、建て主のこだわりがあって、
職人技が光っていて、住み続けた人が丁寧に維持していて、
確かにこの葉山の地に「居た」人々の思いが伝わってくる。
いい仕事は、時を越えて人を感動させられるんだね。
今、葉山でもこうした別荘がどんどんと無くなりつつある。
簡単に「壊すな!残せ〜!」とは言えないけれど、
でも、でも、なんとか、こんな素晴らしい空間を残せる様に、
私もできる限りなにかしたいと思っている。
散策後は、伊藤邸でお昼をいただく。
ここは、現在「本ふじ」という名で完全予約制の食事処として
営業なさっている。
料理は、地の野菜がふんだんに使われていて美味しかった。
実はここ、ずっと気になっていたのだが、敷居が高そうで(笑)
なかなか近寄りがたかった。
が、敷居は高くなかったし、ほぼ貸し切り状態で寛げるここは
葉山の穴場だと思う。
ちなみに今日と同じ様なコースで葉山を巡るツアーが始まる。
http://www.kanshin.jp/...
写真上_最上邸の広縁
写真下_本ふじ前で、唐桟七々子デビュー記念。(笑)
藤本染工芸の半幅をつぶれちゃってるけど花文庫に。
下着は暑かったので、晒&湯文字にそのまま麻の長襦袢。
半襟は水色の絽。足袋は白鼠の麻。下駄は小松屋の右近。
で、正直言いますと、夏日な炎天下を歩いたので暑かった。
単衣とは言え、居敷当がぐるりと付いてる冬仕様なわけですし。
ま、これも勉強。
もう少し秋らしくなったら、着心地のレポートも改めて....。 |
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2003.9.16 [火] 唐桟七々子届く |
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今日の葉山は、清々しく晴れて秋らしい風が気持ちいい。
そんな午前中に、一衣舎さんから荷物が届く。
そうです!
今年の春の個展でお願いしていた斉藤さんの唐桟七々子が、
仕立てあがって届いたのです。
唐桟七々子
衿衽通し袖布総居敷当付
遠目では無地に見えますが、よく見ると縞。
上質な男物のスーツ地....といった趣の布。
改めてじっくり眺めてみても、やっぱりほんとにとっても素敵。
そして、しっとりと柔らかい風合い。
纏ってみると、布に触れた細胞達が「気持ちいい!」と
絶賛してる様に感じます。
幸せ。
明日、さっそく袖を通す事にしました。
ふふふ、しつけをとらなくちゃ。 |
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2003.9.10 [水] 満月の夜に大鼓が響く |
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満月の夜、長者ケ崎の浜へライダー達が集結するらしい....。
そして、松明を焚いた浜に大鼓が響くらしい....。
そんな噂を聞いて、真夜中の浜をぷらぷら歩いて行ってみた。
本当だった。
バイク乗り集団「横浜ケンタウロス」のメンバーでもある大倉正之助は、
重要無形文化財保持者であり、能楽囃子大倉流大鼓奏者だ。
つまり、バイク乗りが満月の夜に終点を決めて集まり、
そこで大鼓奏者の大倉氏が大鼓を叩く。
まるで、月に捧げる様に、ずっと前から密かにここで満月の度に....。
冬の凍えるような寒さの晩も、雲に隠れて月の見えない夜も。
九月の月は、完璧だった。
眩いほどに輝く月、右下に赤く浮かぶ火星、流れる雲。
対岸にはめったに見る事の出来ない黒富士がくっきりと見えた。
波の音と、澄み渡る大鼓の音。
幻想的な音が、長者ケ崎の岩肌にこだまする。
ここに居合わせてもらえた全ての偶然に感謝した。
ありがとう、月。
ありがとう、海。
ありがとう、素敵な人々。
さて、写真撮り忘れたけど、
切り絵の様だった自分の月影は、着物。
茶系ベースに桔梗と流水の麻着物。
半襦袢に生成の麻の半襟。
インド綿で自作した兵児帯。
足下はビーサン。
この着物もこれで着納め。
http://www.kanshin.jp/... |
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