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 2003.12.31 [水] お正月のしつらえ | 
 
 
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  門松を自分で飾るのは初めてだ。
 
松の茎を半紙で包み、紅白の水引で両わな結び。
 
門に麻紐で固定して輪飾りを。
 
 
鏡餅は、玄関と居間と台所に。
 
シンプルに、半紙を敷き小さめの鏡餅に葉付き蜜柑。
 
玄関は、アンティークの袋帯と三方代わりの台を使った。
 
帯がいいシゴトをしてるじゃないか....。ふふ。
 
 
玄関から見える飾り棚の一番上には、
 
庭の水仙を活けてみた。
 
ここ数日の風でだいぶ倒れていたので、
 
この際、水仙だけでここもシンプルに。
 
室内にいい香りが漂う。
 
 
今日は、母のお下がりの生成り色の結城を着ている。
 
お正月はいつも白っぽい着物が着たくなる。
 
長襦袢は、白地に赤い鈴の柄。白半襟。
 
帯は、縞柄の木綿をカルタ結び。
 
たぶんこのまま近所の神社へ初詣でに行くと思うのだが、
 
今履いている臙脂の別珍足袋を
 
白足袋に履き替えるべきか悩み中。(笑)
 
お正月は基本的にこの着物で、
 
帯を替えながら着ていようと思う。
 
 
....というわけで、2003年の着物周りは、
 
実りの多い充実した一年でした。
 
多分に、KIMONO真楽の皆さまのおかげです。
 
ありがとうございました。
 
良いお年を....!  | 
  
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 2003.12.25 [木] 年末年始 | 
 
 
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  毎年、年末年始は寒い日本を脱出して熱帯の楽園バリで過ごすのが定番だった。
 
でも今年は、新しい土地に越してきて初めて迎えるお正月なので、やはり土地の神様にきちんとご挨拶しておきたいな....と、久々に日本でお正月を迎える事にした。
 
とは言え、あまりに久々なので、いろいろテキパキ準備が出来ない。
 
いかんいかん、こんな風にして伝統は伝承されなくなってしまうんだな....と、反省しつつも、仕事もダラダラ終わらない。
 
まずぃなぁ....。
 
なんて日記なんか書いてないで、とにかく今年の仕事は終わらせなくちゃね。
 
 
※写真は、バリで毎日の様に見る光景。人間と神様がとても近い。バリヒンドゥーの知識はこんなに増えたのに、肝心な日本の神様の事をよく知らない。そんな自分にチョット焦る。  | 
  
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 2003.12.14 [日] 暖かく暮らす | 
 
 
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  窓からふと見える雲なんかが、いい感じで赤く染まり、
 
「あ、今日の夕焼けはキレイかも?」と思う時は、
 
カメラを持って、浜へ走る。
 
間に合うんだな。
 
ちゃんと夕焼けに。
 
今日は、浜に出てみたら雲の形がちょっとイマイチ。
 
でも、たいていそんなもん。
 
 
ところで最近は、だいぶ寒くなったので、
 
色々自分なりに防寒している。
 
普段用に、ネルの湯文字と腰巻きを一枚づつ持っていて、
 
今はそれを交代で使い回している。
 
ネルの布を買ってきて、湯文字を作ろう作ろうと思いつつ、
 
こんなに本格的に寒くなってしまった。
 
早くやらなくちゃ。
 
肌に直接触れる布がネルだと、ほんとうに暖かい。
 
でも裾捌きが悪いので、丈の短い湯文字の方が動き易い。
 
長着はやはり普段はウールが重宝している。
 
男物も気にせず普段着にしている。
 
それからやっぱり別珍の足袋は暖かい。
 
ただし、下駄は別珍専用を決めておかないと鼻緒が緩む。
 
長着の上に羽織るのは、つんぬきだったり半纏だったり、
 
大きめの洋服のコートなんかも活用している。
 
今日は、久留米絣の半纏。
 
家を出る時、赤いマフラーをぐるっと巻いた。
 
襟元に、この一枚があると随分違う。
 
で、カラダが冷える前に、とっととお家に帰りましたとさ。  | 
  
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 2003.12.13 [土] 冬の始まり | 
 
 
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  久々に、裏の三ケ丘山に登った。
 
たいていカメラを持って、
 
気ままに写真を撮りながら、ゆっくり登る。
 
お山は、訪れる度に違う表情で迎えてくれる。
 
今日の三ケ丘山は、
 
どこを撮っても“冬の始まり”という絵。
 
スタジオでライティングして作り込む映像より、
 
フィールドの中で、そのまんまを撮る方が好きだ。
 
冬の三ケ丘山は、太陽自体が斜光な上に、
 
午後は海が巨大なレフ版となり、
 
眩しいけど、面白いロケーションだ。
 
写真を撮りながら散歩。
 
楽しくてスゴク好き。
 
こうした時間を求めて、
 
きっとココを選んだんだと思う。
 
きっとココに暮らしているんだと思う。
 
 
着ていたのは....、
 
追丈で着られる男物のウールに、もんぺ。
 
上からネパールポンチョ。
 
足下は、別珍足袋を靴下に履き替えてスニーカー。  | 
  
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 2003.11.30 [日] 百周年の母校へ | 
 
 
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  中学・高校・短大と、八年間も女子校通いだった。
 
その反動のせいか、乙女チックが割合苦手だ。
 
さて今日は、中学・高校時代の同窓会で、在校時の1/3にあたる100人が、母校に併設された同窓会館に集結した。卒業後初めての同窓会は、五年前で、私も幹事だった。その時は、初回だった事もあり、ニューオータニで気張ってしまったが、150人が集まった。今回は、社会状況も反映しての同窓会館だったのだが、久しぶりの母校は懐かしかった。
 
ちょうど創立百周年を迎えた事もあり、宴の途中、学校の中を見学させてもらう。
 
卒業後25年も経つので、校舎の半分は新しくなってしまったが、懐かしい校舎もそのまま残っていて、皆、中学生に戻った様にキャアキャアと声を上げる。
 
教室の窓から見える景色は、随分と変わってしまった。
 
新しくなったTBSが邪魔をして東京タワーは、全く見えない。
 
富士山だって見えたのに、すっかり空も狭くなってた。
 
でも、大きなビルの谷間に見えるそこここの路地はそのまま残っていた。
 
四半世紀だもんなぁ。
 
変わるよね、町も人も。
 
同級生達の元気な顔を見ながら、気持ちはしばし少女だった昔に戻る。
 
それぞれ、いろんな25年だったと思う。
 
いろんな人生の断片を聞いた。
 
どんな時間を積み重ねてきたか....は、やっぱり顔に表れているような気がした。
 
次の同窓会は、5年後。
 
 
着て行ったのは....、
 
着物のつもりで用意していたけど、朝の雨にめげて洋服。
 
フォーマルシーンは着物にお任せなので、洋服となるといきなりカジュアルしか持っていない。
 
開き直って、イタリアンカジュアル。ま、それはそれで結果オーライ。
 
 
※写真はダンジョンの様に複雑な校舎。上:校庭の下は教室。下:教室の屋上は校庭。  | 
  
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 2003.11.29 [土] 百歳と鼓童 | 
 
 
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  遠縁の告別式で、中野坂上まで。
 
今年百歳になった故人は、中野で床屋さんを営み、なんと90歳まで現役で働いていたと言う。
 
一世紀の人生ってスゴイよなぁ....と、棺に花を入れながら年月の重みを噛みしめる。
 
 
その後、久しぶりに「鼓童」の公演へ。
 
80年代後半に鼓童の存在を知り、ずっと見守ってきた。
 
佐渡で行われる打楽器の祭典「アース・セレブレーション」にも二度ほど足を運んだ。
 
が、今や初期のメンバーは皆ソロで活躍していて、最近の鼓童はよく知らない。
 
今年は坂東玉三郎氏が演出。
 
前半は、これまでの鼓童らしい体育会系の男っぽい構成。
 
大太鼓が腹に響く。
 
太鼓を叩く為に鍛えられた筋肉はとても美しく、全身から「気」が溢れ出てくるのが目に見える様だ。日本男児は、全員子供の頃から太鼓で心と体を鍛えたらいいと思う。カッコイイぞ。
 
後半は、玉三郎色が感じられる演出だった。
 
演奏する後ろを、シルエットで「おけさ」の列が通り過ぎる。
 
静かに流れる様な動きに、控え目な日本女性の精神性が感じられた。
 
音と音との間にある空白や、拍子木の余韻....。
 
そうした部分にこそ、日本人の美意識がある様に思う。
 
私も「おけさ」を踊れるようになりたい。なりたいなぁ。
 
 
●鼓童
 
http://www.kodo.or.jp/...  | 
  
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 2003.11.22 [土] 恋だね、それは。 | 
 
 
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  なんて葉山らしくて素敵なお店!と、
 
いっぺんで好きになったSUNSHINE+CLOUD。
 
 
この店で、HENRY CUIRというイタリアの革製品ブランドに出会う。
 
トレードマークの小さな自転車の刺繍が、
 
可愛くて忘れられなくて夢にまで出てきて、困った。
 
 
何度かお店を覗いていたら、
 
白地の小さなショルダーバッグが飾られていた。
 
カワイイ。欲しい。
 
こんなにモーレツに欲しいと思った物は久しぶりだ。
 
 
でも、忘れようと思った。
 
時が経てば忘れられると思った。
 
 
パチン!
 
「欲しい」気持ちは、逆にむくむく膨らんではじけてしまった。
 
 
そして、恋い焦がれた小さなバッグは、
 
忘れられてた半年遅れのお誕生日プレゼントとして、
 
今日、私の物になった。今日から一緒。
 
始まりの記念に、ここに記す。
 
 
 
●SUNSHINE+CLOUD
 
http://www.sunshine-cloud.com/...
 
●HENRY CUIR
 
 http://www.henrycuir.it/   | 
  
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 2003.11.16 [日] 放浪記 | 
 
 
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  たまには親孝行でも....と、義妹や母達を連れて、森光子の「放浪記」を観に行く。
 
http://www.toho.co.jp/...
 
ちょっと待って下さい。森さんて、おいくつ???
 
カフェーのエプロン姿で舞台上を飛び跳ねる彼女は、娘にしか見えない。
 
肌なんか透けるように白く、顔にだって皺ひとつ無い。うわぁ〜、スゴイなぁ。
 
母達も「私達の方が若いのよね、年取ったなんて言ってられないわね」と、元気をたくさんもらった様だ。私も同じく。
 
前から四列目と言う超特等席だったので、細かい所までよく見えた。
 
消え物の味噌汁の具は豆腐だったとか、カフェーの女給が着ている銘仙はみんな紅絹裏なんだネとか、足袋は別珍かぁ....などなど、話の筋からは全然関係無い所まで後から話題に出来て楽しかった。特に、お金持ちになった林芙美子の元に、尾道から呼び寄せられた芙美子の母親役の着付けが笑えた。豪華なお被布の下に柔らか物を着ているのだけど、それがちゃんとツンツルテンなのだ。リアル。母とバカウケしてしまった。(笑)
 
舞台の上も、客席も、着物がいっぱいで幸せな一日。
 
みんな、とても喜んでくれたので、また面白そうな芝居を見つけて連れて行こう!と、心に誓う孝行娘なのでございます。
 
 
着て行ったのは....、
 
・唐桟七々子/雨かもの予報だったし....
 
・草木染めの紋袋帯/小森草木染工房
 
http://www.kanshin.jp/...
 
・鴬茶色の長襦袢にクリーム色のちりめん半襟
 
・帯締めは、朽葉色の冠/道明
 
・帯揚げは、深緑ベースに水玉みたいに顔が並ぶロングスカーフ/IGREG
 
・白足袋に、畳表の草履  | 
  
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 2003.11.9 [日] 葬式と選挙とSoundEdit | 
 
 
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  地元の知人の母上が亡くなり、通夜と告別式に参列。
 
葉山は、色々な意味でマニュアルから外れた生き方をしてきた人が多い。そんなわけで、冠婚葬祭もマニュアル通りには進まない。でも、いろんな事をプロと言われる誰かに任せて、思考を停止させてしまうよりも、周りの人間みんなで考えて、動いて、なんとかする....という方が、あちこちに不備があっても、ずっと素敵な事の様に思う。そんなあたたかい印象のお葬式だった。
 
 
自宅で形式にとらわれない葬儀だったので、通夜には、
 
・黒地の紬(SoundEdit柄と呼んでいる)
 
・紺の半幅をカルタ結び
 
・それまで着ていた白地に緑の格子縞の半襟が付いた半襦袢
 
・それまで履いていたベージュの足袋に、黒地布草履
 
 
告別式は、
 
・黒地の紬(SoundEdit柄)
 
・白地の長襦袢に白の塩瀬の半襟
 
・喪服(袷)用の名古屋帯・帯揚げ・帯締め
 
・白足袋+黒地布草履
 
 
告別式の後、投票所が帰り道の途中にあるので、そのまま立ち寄って投票。
 
越してきて初めての選挙。投票所のこぢんまりさ加減に驚く。考えてみたら、東京以外の場所では初めての選挙だ。ふぅん。どうやら私の中には、無意識な「東京スタンダード」がある様で、たまにガツンと反省させられる。この一年はガツンガツンな日々。(笑)
 
さて、政治も「この人に任せておけば大丈夫!」と思考を停止してしまってはダメなんだと思う。任せておけば大丈夫な人なんて居ないし、自分の考え方とまったく同じ人なんて居るわけないんだから。だから、今日の結果がどうなろうとも、ずっと自分の一票の行方を見守らないとね。
 
 
※写真はSoundEdit柄の紬と、SoundEditの波形画面。  | 
  
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 2003.11.2 [日] お茶会&バザー | 
 
 
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  ギャラリー陶花を一日丸ごとお借りして、「お茶会講習&バザー」。
 
メンバーやメンバーのお友達、50人の着物姿が集まった。すごいなぁ。
 
茶室や庭もある日本家屋に、それぞれの着物姿が映える。美しい。
 
 
今回は、準備のほとんど全部をしょうちゃんがやってくれたので、私はお客様モードで、うきうき浮かれて秋の一日を楽しませてもらった。
 
バザーは、出品するとは言ったものの、ホントに不用品しか無いので、前日、値札などをかわいらしく付けて「それなり」な商品に見える様に手をかける。こんなに小さなスペースだけど「自分のお店」って感じで、「売れるかなぁ?」と、わくわく楽しい。お陰様でほぼ完売。お買い上げ下さった皆さま、どうもありがとう。
 
 
夜のオフ会は、お店で食事する状況よりも自由が利いて、大変良かった。台所でおしゃべりしたり、庭に出て月を愛でたり、ほんとうに寛いだ時間が流れていた。
 
 
それにしても、みんなの進歩が早くて驚く。
 
この間まで、「何にもわからない」なんて言ってた人も、会う度に着物力がアップしているのが如実に分かる。組み合わせ方や着付けが、どんどん板についてきて、魅力的になっていってる。素晴らしい!
 
私も精進しないといけないなぁ。
 
 
着て行ったのは....、
 
・唐桟七々子/バスケさんとは色違い
 
・大正ロマン風な柄のちりめん染め帯/萌で購入
 
・母の着物を仕立て直した長襦袢に、黒地の麻の葉柄半襟
 
・松葉色の綸子(麻の葉柄)の帯揚げ
 
・帯締めは道明の朽葉色の冠/唯一のお初モノ
 
・ベージュの柄足袋に右近下駄
 
 
【写真提供:リリコさん&絵織ちゃん】  | 
  
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 2003.10.31 [金] ジャズで u*fu*fu な夜 | 
 
 
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  突然のお誘いがあって、鎌倉芸術館まで山下洋輔のライブへ。
 
今晩は、「山下洋輔NYトリオ結成15周年記念コンサート」のツアー初日。
 
山下洋輔さんは、以前、我が家のすぐ近所に住んでいた。
 
すぐ裏が山なので、近所にも気兼ねなくグランドピアノをぶっ叩いていたらしい。
 
また、私達が今住む家の前住人も音楽プロデューサーで、山下さんもこの家に遊びに来ていたらしい。そんなわけで、この場所には、山下ジャズのエキスがしみ込んでいる。....気がする。(笑)
 
ライブはね、「シャボン玉」がすごぉ〜く良かったなぁ。
 
終わってから、新譜にサインを入れてもらった。
 
NYトリオの三人のサインが揃うなんて、なかなか無いよ。嬉しいな。
 
 
着て行ったのは....、
 
ジャズ・夜・モダンを意識して。
 
蚊絣が入った黒地の大島に、臙脂の博多帯をカッチリお太鼓。
 
長襦袢は、八掛の草色に合わせて、白生地から染めた鶯茶色の物。
 
半襟は薄いクリーム色のちりめん。
 
帯揚げは、細かい柄入りの深緑色。
 
帯締めは、銀鼠の冠。
 
黒地に麻の葉柄の足袋に黒いエナメル草履。
 
大島の光沢と軽さが、ジャズの音色に合うと思った。  | 
  
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 2003.10.25 [土] 笑天 | 
 
 
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  鎌倉の友人に誘われて、「笑天」というイベントへ。
 
http://www.partie.net/...
 
 
会場は、鶴ケ岡八幡宮の奥にある鎌倉宮。
 
ライブもショップもフードショップも南半球メインに国際的。
 
楽しいなぁ、好きだなぁ。
 
フラフラしてたら、バリ仲間や葉山仲間に次々遭遇。
 
こんなに世界は広いのに、
 
よくすれ違う人って決まっているみたいだ。不思議。
 
 
ライブの合間に、西アフリカ/マリの布を買う。
 
テーブルクロスにもなりそうな大きな木綿の布。
 
10cm位の帯状の布をはぎ合わせてある。
 
綿を栽培して収穫し、紡いで糸にして、織って、泥染め。
 
地色を染め、はぎ合わせて大きくした布に、模様は手描き。
 
家族単位で作っているそうで、質感や模様に違いがある。
 
どんな人達の手がこの布を生み出したんだろうなぁ。
 
 
着て行ったのは....、
 
茶の紬は、紅絹裏の付いた古着。八掛の裾が擦り切れてきた。
 
黒地にベージュの麻の葉柄の半襟がついたままの長襦袢をそのまま。
 
木綿の縞柄の半幅を角だし風、たれ長目でブラブラさせる。
 
臙脂色の紬地の足袋に右近下駄。
 
草色の編みバッグを肩に斜め掛け。
 
 
ライブのラストは、アフリカンドラム。
 
友人知人が次々と踊り出す。つられて、私も踊り出す。
 
前にも書いたと思うけど、
 
着物で踊るのは、袖が揺れてスゴク楽しい。
 
楽しいったら、楽しい!
 
KWにあった地下足袋だったら、もっとカンペキに踊れるかな?  | 
  
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 2003.10.24 [金] ナコイカッツィの日 | 
 
 
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  amazon.comから、「ナコイカッツィ」のDVDが届く。
 
region1だけどね。
 
早速、夜に鑑賞。
 
 
【NAQOYQATSI】とは....、
 
アメリカ先住民ホピ族の言葉で、「互いに殺しあう命」「日常と化した戦争」「文明化された暴力」
 
 
公開前なので、印象を一言。
 
“アスペクトレシオの歪みがリアルとバーチャルを曖昧にする”
 
 
http://www.conversation.co.jp/...  | 
  
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 2003.10.18 [土] ポワカッツィの日 | 
 
 
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  【POWAQQATSI】とは....、
 
アメリカ先住民ホピ族の言葉で「変容する世界」「自己の繁栄の為に他者を食い物にする生き方」などの意。
 
 
昨日に引き続き、カッツィ三部作の第二作目であるポワカッツィのライブ演奏上映。
 
1988年製作だが、こちらは今年になって初めてDVDで観た。
 
二作目は、テクノロジーが自然や伝統文化に浸透し侵略していく過程と、その結果として失われてしまった伝統文化の輝きを描いている。
 
被写体は、ペルー、ブラジル、ケニア、エジプト、イスラエル、パレスチナ、香港、インド、ネパールなど、12カ国の人々や自然。映像は、場所も時間も脈絡無く“すべてのものが同時に生きる”という視点で描かれている。
 
音楽と映像に飲み込まれながら感じるのは....、
 
肉体を使って働く人間の姿は躍動的で美しい。祭りの様子は文化の多様性を感じる。自然は荘厳で偉大。エトセトラエトセトラ。
 
経済優先の北半球に生きる私には、テクノロジーの浸透していない第三世界の人々や文化がとても豊かで幸せそうに見える。そしてテクノロジーが人間らしく生きる事を侵害している様に感じる。
 
でも、もはや、地球上のニンゲンはテクノロジーを無視して生きる事は不可能な時代なのだと思う。
 
ならば、せめて、テクノロジーをどう利用するか....を、一人ひとりのニンゲンが意識して、考えて、選択して、行動するしかないんだろう。
 
KIMONO真楽は、インターネットというテクノロジーのお陰で存在し、尚且つ、着物というキーワードで伝統文化の一端に貢献できていると思う。とても素敵なテクノロジーの使い方。世界を牛耳る人達も見習って欲しい。(笑)
 
カッツィ三部作の第三作目「NAQOYQATSI」は、来春公開予定。人間とコンピューター、生命とテクノロジー、知識と支配、そして、戦争と未来。
 
叶うならば、またフィリップ・グラス・アンサンブルのLIVE演奏と共に体感したい。
 
 
着て行ったのは....、南半球のイメージ。
 
10/12のMaciTokyoとほぼ同じで、赤い着物に木綿の半幅をカルタ結び。
 
その他、小物も一緒。
 
少し寒くなってきたので、厚手の綿素材の腰布をショールにして羽織る。
 
この布はバリ島西部のヌガラ地方の織物。
 
カラフルな模様は、刺繍に見えるけれど手織物で、反物の様に狭い巾でしか織れない為、二枚の布をはぎ合わせてある。昨日の帯の読谷花織と似た様な技法に見える。
 
厚手で暖かいからショールに最適なのだが、現地では気温と湿度が下がる乾季でなければ暑くて着られない。したがって現地でも割合マイナーな織物なのだが、様々な要因で今では織り手が減少している。
 
なんだか、いろんな事柄が繋がっているんだね。  | 
  
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 2003.10.17 [金] コヤニスカッツィの日 | 
 
 
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  【KOYAANISQATSI】とは....、
 
アメリカ先住民ホピ族の言葉で、「平衡を失った世界」などの意。
 
 
この映画を初めて観たのは、1984年。
 
今は無き六本木WAVE地下のシネ・ヴィヴァンのこけら落としではなかったか。
 
当時、とある制作会社に席を置き、映像演出で食べていこう!と決心した頃で、映像の持つ力と可能性を再認識した、私の中のマイルストーン的な映画だ。
 
今回は、その映像と共に、音楽担当のPhilip Glassが、フィリップ・グラス・アンサンブルを引き連れて来日し、ライブで演奏をするのだ。チケットは6月に予約済み。
 
http://www.kanshin.com/...
 
 
映画には、ストーリーもセリフも無い。
 
1975年から82年に製作され、徐々にテクノロジー偏重に傾きつつある都市生活の映像が淡々と続く。テーマは観る人に委ねられている為、観客が自ら思考する映画なのだと思う。
 
驚くべき事は、20年以上前の映画なのに、今まさに世界が直面している問題を孕んでいる。
 
つまり、ちっとも世界は、人間らしい方向へは進化していないという事なのか。
 
この映画の後、「POWAQQATSI」「NAQOYQATSI」と製作され、カッツィ三部作で完結する。
 
 
着て行ったのは....、
 
唐桟七々子に沖縄・読谷花織の名古屋帯をお太鼓に。
 
母の着物を仕立て直した長襦袢に、黒地に灰色の細かい麻の葉柄の半襟。
 
松葉色の綸子(麻の葉柄)の帯揚げ。
 
ひよこ色の冠の帯締め。
 
黒地に灰色の麻の葉柄の足袋。
 
萌葱色の鼻緒の右近下駄。
 
 
ところで、ちょうどこの日は狙ったように、バカチンブッシュがカツアゲしに(笑)来日した為、羽田線が交通規制されてしまった。しょうがないので、早めに出て銀ブラでも....と思ったら銀座通りでしょうちゃんに会う。びっくり!(笑)
 
それにしても、世界を牛耳る人達にこそ、この映画を観て欲しいと思う。
 
ブッシュもコイズミも、ビンラディンもフセインも、この人達を操っている裏に居る人達も、
 
「みんな揃って、ここに座って観れ!」....と、思う。  | 
  
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 2003.10.12 [日] * aka * | 
 
 
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  所用があって、丸ビルで開催されている「Mac iTokyo」というイベントに行く。
 
ケ鼓たんが「着物で行こうかなン」なんて言うので、春に鎌倉の花ぐるまで衝動買いした真っ赤な着物に袖を通した。
 
40も半ばになって、こんな赤い着物を新たに買うのはどうなのよ?とも思ったが、このアフリカンテイストな赤に魅せられてしまったからしょうがない。(笑)
 
写真では分かりにくいけれど、黒くて細いよろけ縞が入っている。
 
麻の葉柄のポリ長襦袢に、黒地にベージュの麻の葉柄の半襟。
 
木綿の半幅帯は貝の口に。
 
黒にベーシュの入った細目の帯締め。
 
赤地の麻の葉柄の足袋はめうがや。
 
萌葱色の鼻緒の下駄。
 
 
ちなみに写真の場所は、10月11日にオープンした「神奈川県立近代美術館・葉山館」。
 
http://www.kanshin.com/...
 
丸ビルへ向かう前に、バス待ちをする間、ちょっと立ち寄ってみた。
 
いやぁ〜、すてきなロケーションだよ、ここは。
 
近所に美術館がある....って、すごく幸せ。うふふ。
 
 
ところで、この着物の着心地も、昨日の久留米絣と同等な位、ゴワゴワだった。
 
一応、絹素材なのだが、地が厚くて木綿の様な風合いの紬だ。
 
素材感がゴワついていると、着た時の皺が美しいドレープにならない。
 
まぁ、この着物は風合いより「色」が重要だからいいんだけどね。
 
それにきっと丈夫そうな生地だから、雨の日なんかもいいかもしれない。
 
目立つし、気持ちが多少「るん!」ってなるしな。
 
 
で、現地で落ち合ってみたら、ケ鼓たんは洋服だった。
 
ダメじゃん!(笑)  | 
  
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 2003.10.11 [土] 初めての本久留米絣 | 
 
 
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  鎌倉のギャラリーで近所に住む画家さんが個展をやっているので、お邪魔する。
 
こんな帯があったら素敵かも....なんて思えるきれいな色合いの抽象画が並んでいた。
 
そう言ったら「よくテキスタイルやらない?とか言われる」とご本人。
 
そうは言っても、紙と布ではイロイロきっと違うんだろうなぁ。
 
http://www.kanshin.jp/...
 
 
いい機会なので、これから着倒そうと思っている本久留米絣の着物をおろした。
 
この着物は、今年の誕生日に母がプレゼントしてくれたものだ。(詳細は5月13日の日記)
 
普通の絹裏の付いた袷仕立。
 
実は、私、斉藤さんの唐桟を着るまで木綿の着物に縁が無かった。
 
今、普段に着ている木綿も、いただきものなので、既に柔らかく着やすくなったものばかり。
 
いわゆる普通の木綿の新しい着物を着るのは、これが初めてかもしれない。
 
母が「木綿はゴワゴワするからキライだ」と言っていた理由が、着てみて分かった。
 
ほんとに布同士がもたつくと言うかゴワゴワすると言うか、確かに新しい木綿の着物はチョット着にくい。それでも、これは裏に絹が付いているから、その分、布の滑りはまだいい方だと思う。
 
ふぅむ、なるほどなぁ。
 
でもきっとずくずく毎日着ていれば、風合いも変わってくるだろう。
 
ゆっくり育てていくつもり。
 
そして、更に確信した。
 
斉藤さんの唐桟を一衣舎の木村さんに洗える様に仕立ててもらう....というのは、これは単なる「木綿の着物」とは別物の、そうとうなスペシャル仕様なんだなぁ....と。
 
今頃、今更、実感してる私です。
 
 
この着物に合わせたのは、
 
白地に緑の格子柄の保多織り木綿の半襟をかけた半襦袢。
 
付け袖も付けずにレースの筒袖のまま。
 
ブルー系の半幅ミンサー帯をカルタ結び。
 
ビデオ業界で言うトコロのクロマキーブルー(笑)の足袋。
 
萌黄色の鼻緒の右近下駄。  | 
  
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 2003.10.4 [土] 土浦花火_ハジケル | 
 
 
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  遊ぶための労力は惜しまない。
 
今日は、土浦全国花火競技大会。
 
全国の花火師達がココに集結して、その技を競う。
 
今年も先月徹夜で並んで、スターマインの真ん前に升席を確保。
 
三日前から干しぜんまいを戻したり、朝五時半起きでおいなりさん50個を作ったり、宴会準備も怠らない。
 
一年に一度、この花火を見る為に、仕事だって調整する。(笑)
 
花火は、一瞬の消えて無くなる光の藝術だから、こんなにも魅かれるのかな?
 
澄み渡った秋の夜空に描かれるスターマインは、目眩く光のシャワー。
 
10号玉は、大きく丸く開いた後、すぅっと全てが同時に消える様が美しい。
 
一瞬だけど永遠。
 
心にずっと残る花火が観たくて、毎年ここにやって来る。
 
かずさんも毎年通っていると聞き、升席にご一緒出来た。
 
来年も、元気にみんなでここに集って花火が見られますように....。
 
 
着て行ったのは、
 
随分前に買ったものの初めて袖を通した縞柄のお召し。
 
紅絹裏の付いた中振り袖は、大正か昭和初期のアンティーク。
 
こんな機会じゃないと着れないからね。(笑)
 
その他は、麻の葉柄づくし。
 
黒地にベージュの麻の葉柄の半襟。
 
かすれ麻の葉柄の半幅帯は、短いので適当に片結びっぽい結び方。
 
足袋も紺地に鼠色の麻の葉柄。
 
手拭も麻の葉柄。ふふふ、楽しい。
 
下着は、裄が極端に短いし、中振りなので、付け袖も付けずに筒袖のまま半襦袢。
 
まぁ、その辺はテキトウに手抜き。
 
赤い鼻緒の右近下駄。
 
そして、極め付けは、おかっぱのウィッグ。
 
たまには違う人になるのも楽しいのだよ。  | 
  
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 2003.9.23 [火] 散歩の季節 | 
 
 
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  秋の散歩。
 
 
葉山は、何と言っても散歩がホントに楽しい所だ。
 
今日は下山川に沿った旧道を御用邸の水源近くまで散策した。
 
道端には、庚申塔やら御稲荷さんやら、昔からここで暮らしてきた人達の痕跡が
 
至る所に残っていて面白い。
 
歩き始めは住宅街だった周りの景色も、
 
どんどんよくある田舎の里山風景に変わっていく。
 
田んぼは穂を付けた稲が黄金色に揺れている。
 
ビビッットな鳥居の色と同じ様に鮮やかな彼岸花。
 
風に踊るすすき。
 
ずっと人々を見守ってきた様な巨木。
 
ここで暮らしていると、ニンゲンもダンゴムシも命を持った同じイキモノで、
 
豊かなこの自然に生かされてるんだなぁ....って事をとても身近に感じられる。
 
普通でいいから、毎日を丁寧に暮らしていきたい。
 
若い頃は、ジェットコースターの様な波乱万丈な人生がイイ!なんて言ってたのに。
 
歳を重ねると考え方も変わるんだなぁ。
 
そんな事を考えながら、歩く、歩く、歩く。
 
 
昼飯は、お寺の門前で、持ってきた鯖寿司&穴子寿司を食べる。
 
美味いなぁ。
 
 
着ていたのは、
 
先日自分で洗ってしまっておいた単衣の男物(綿&絹)。
 
綿の黒い半襟を付けた半襦袢。
 
六寸位の変な幅の博多帯を半分の巾に折ってカルタ結び。
 
黒い久留米絣のもんぺ。
 
ウエストバッグにはカメラ。
 
足下はたくさん歩く事を考慮してジャングルモック。  | 
  
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 2003.9.17 [水] 唐桟七々子で別荘を巡る | 
 
 
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  嬉しくて、昨日届いた唐桟七々子をおろす。
 
朝、昨日より暑くなるかな?と思ったけど、
 
やっぱり着たいから、着た。
 
 
今日は、縁あって、
 
葉山に現存する別邸をいくつか巡る事ができた。
 
ちょうど、拓ちゃんがキーワードにしている
 
「和風が暮らしいい。vol.14」のp.78から特集が組まれている。
 
http://www.kanshin.jp/...
 
 
葉山らしい景観の小道を歩きながら、
 
散策エリアに固まって存在する別邸の説明を聞く。
 
別荘ブームと言われた大正〜昭和初期の一時期、
 
葉山には「財」と「技」が結集したのだろう。
 
ちょうど銘仙が流行っていた時期だけど、
 
当時の本当のお嬢様達は何を着ていたんでしょうね。
 
 
建物の中までお邪魔出来たのは、
 
・中西邸
 
・玉塚邸(現音羽楼)
 
・最上邸
 
・伊藤邸(現本ふじ)
 
 
どの邸宅も、それぞれに個性的で、建て主のこだわりがあって、
 
職人技が光っていて、住み続けた人が丁寧に維持していて、
 
確かにこの葉山の地に「居た」人々の思いが伝わってくる。
 
いい仕事は、時を越えて人を感動させられるんだね。
 
今、葉山でもこうした別荘がどんどんと無くなりつつある。
 
簡単に「壊すな!残せ〜!」とは言えないけれど、
 
でも、でも、なんとか、こんな素晴らしい空間を残せる様に、
 
私もできる限りなにかしたいと思っている。
 
 
散策後は、伊藤邸でお昼をいただく。
 
ここは、現在「本ふじ」という名で完全予約制の食事処として
 
営業なさっている。
 
料理は、地の野菜がふんだんに使われていて美味しかった。
 
実はここ、ずっと気になっていたのだが、敷居が高そうで(笑)
 
なかなか近寄りがたかった。
 
が、敷居は高くなかったし、ほぼ貸し切り状態で寛げるここは
 
葉山の穴場だと思う。
 
 
ちなみに今日と同じ様なコースで葉山を巡るツアーが始まる。
 
http://www.kanshin.jp/...
 
 
写真上_最上邸の広縁
 
写真下_本ふじ前で、唐桟七々子デビュー記念。(笑)
 
藤本染工芸の半幅をつぶれちゃってるけど花文庫に。
 
下着は暑かったので、晒&湯文字にそのまま麻の長襦袢。
 
半襟は水色の絽。足袋は白鼠の麻。下駄は小松屋の右近。
 
で、正直言いますと、夏日な炎天下を歩いたので暑かった。
 
単衣とは言え、居敷当がぐるりと付いてる冬仕様なわけですし。
 
ま、これも勉強。
 
もう少し秋らしくなったら、着心地のレポートも改めて....。  | 
  
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 2003.9.16 [火] 唐桟七々子届く | 
 
 
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  今日の葉山は、清々しく晴れて秋らしい風が気持ちいい。
 
そんな午前中に、一衣舎さんから荷物が届く。
 
 
そうです!
 
今年の春の個展でお願いしていた斉藤さんの唐桟七々子が、
 
仕立てあがって届いたのです。
 
 
唐桟七々子
 
衿衽通し袖布総居敷当付
 
 
遠目では無地に見えますが、よく見ると縞。
 
上質な男物のスーツ地....といった趣の布。
 
改めてじっくり眺めてみても、やっぱりほんとにとっても素敵。
 
そして、しっとりと柔らかい風合い。
 
纏ってみると、布に触れた細胞達が「気持ちいい!」と
 
絶賛してる様に感じます。
 
幸せ。
 
 
明日、さっそく袖を通す事にしました。
 
ふふふ、しつけをとらなくちゃ。  | 
  
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 2003.9.10 [水] 満月の夜に大鼓が響く | 
 
 
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  満月の夜、長者ケ崎の浜へライダー達が集結するらしい....。
 
そして、松明を焚いた浜に大鼓が響くらしい....。
 
そんな噂を聞いて、真夜中の浜をぷらぷら歩いて行ってみた。
 
本当だった。
 
バイク乗り集団「横浜ケンタウロス」のメンバーでもある大倉正之助は、
 
重要無形文化財保持者であり、能楽囃子大倉流大鼓奏者だ。
 
つまり、バイク乗りが満月の夜に終点を決めて集まり、
 
そこで大鼓奏者の大倉氏が大鼓を叩く。
 
まるで、月に捧げる様に、ずっと前から密かにここで満月の度に....。
 
冬の凍えるような寒さの晩も、雲に隠れて月の見えない夜も。
 
 
九月の月は、完璧だった。
 
眩いほどに輝く月、右下に赤く浮かぶ火星、流れる雲。
 
対岸にはめったに見る事の出来ない黒富士がくっきりと見えた。
 
波の音と、澄み渡る大鼓の音。
 
幻想的な音が、長者ケ崎の岩肌にこだまする。
 
ここに居合わせてもらえた全ての偶然に感謝した。
 
ありがとう、月。
 
ありがとう、海。
 
ありがとう、素敵な人々。
 
 
さて、写真撮り忘れたけど、
 
切り絵の様だった自分の月影は、着物。
 
茶系ベースに桔梗と流水の麻着物。
 
半襦袢に生成の麻の半襟。
 
インド綿で自作した兵児帯。
 
足下はビーサン。
 
この着物もこれで着納め。
 
 
http://www.kanshin.jp/...  | 
  
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 2003.8.31 [日] 森山神社例大祭 | 
 
 
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  八月末の週末は、近所にある森山神社の例大祭だった。
 
両日とも出かけ、31日は朝から一日中、神事を含めくっついて回った。この神社には1200年も続く“世計り神事”という神事が伝承され今でも毎年行われている。瓶の中に聖水と麹を入れ、一年後の祭礼時にこの瓶を開け、中の様子によって翌年の天候や農作物の収穫を占う....というものらしい。平成16年の世計りは「五合一勺・気候平穏・晴天の日多し」という結果で、土曜日の夕方、神社の柱に貼り出された。ちなみに今年の夏は最悪の天候だったわけだけど、去年の世計りはこれを予想できていたんだろうか?今度近所の人に聞いてみよう。
 
そして日曜日の朝から、少し離れた滝の坂神社という所まで、来年の世計りの為に、お水取りへ出向く。白装束の担ぎ手が、これまた随分年季の入った漆塗りの籠のような物で聖水を運ぶ。先頭では木遣隊がいい声を響かせ、これにお囃子隊の山車、神輿と続き、最後尾にお水取りの籠。なかなか壮観。
 
この日私は写真が撮りたかったので、動きやすさを考慮して、鰹縞の阿波しじらにもんぺを履いた。そんな姿でお囃子の山車なんかも引っぱってみた。(笑)
 
昼頃、お水取りの籠だけ神社に戻り、神殿でいろいろ神事が執り行われる。その中のひとつ“八乙女の奉納”は、美しい八人の娘達が神殿の中で静かに舞う。揃いの衣装もとても雅びやかで美しく、少し緊張した表情が初々しかった。目尻に入れた紅も綺麗だった。
 
夕方から、本格的に神輿が町内を巡る。担ぎ手の中には、いつも近所で見かける人達の顔も見かける。そんな人達と少しづつ言葉を交わしながら、顔見知りも増えていくわけで、まさに地元の祭りはそこに住む人達の交流の場なんだなぁ....と納得する。
 
そんなお神輿隊を町内各所で休憩時に接待するわけだが、私の住む所でも町内会のボランティア募集があった。勿論、喜んでご奉仕。でも朝から動いて汗だくだったので、一旦戻って行水し、浴衣に着替える。たすき掛けで、お神輿隊を接待してみた。休憩所を出る100メートル程、接待した町の人がお神輿を担がせてもらえるので、担いでみた。むむむ、これはもう少し若かったらきっと嵌まってるかも。なんだかわけもなく気持ちがいい。
 
ところで、森山神社の神輿は、黄金に輝く雅な神輿だ。神社の祭神が奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)という女神なので女性的な神輿だそうで、担いで揺れる度に、黄金の帷子もキラキラ揺れて美しい。またよく天辺に鳳凰が飾ってあったりする場所には、稲穂をまとめた物が付けられている。きっと色々な事にそれぞれ由来があるんだろうと推察されるが、1200年も脈々と続いている祭りなわけだから、私もあせらずゆっくり何年かかけて勉強していこうと思う。
 
二日間とも天気に恵まれ、いい祭りだった。
 
夜、裏山からいい風が吹き下ろしてきた。
 
町中の民を慰労する神の風だったのかもしれない。
 
 
http://www.kanshin.jp/...  | 
  
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 2003.8.27 [水] 布が導いてくれたのか? | 
 
 
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  先週行っていた撮影仕事は、八重山の自然や文化を色々と収録する必要があり、その題材の中には「八重山の布」というシーンも盛り込んであった。撮影する場所や人の手配は、基本的に現地のコーディネーターさんにお任せしていたが、出発直前まで詳細が判明せず、ちょっと心配だったがそのまま現地入り。こちらの要望としては「赤瓦の家の縁側で、機を織るか糸を績んでいる雰囲気のあるおばぁに、レポーターがインタビューしたい....」と言うもの。
 
で、現地で詳細を教えてもらったトコロ、なんとコーディネーターさんが手配してくれていたのは、去年プライベートで石垣に行った時に買ってきた八重山上布を織ったまさにその人だった。よりあい工房の寄合富さん。先月フーさんが「絣の郷」で出会ったピンク色のグンボウもこの富さんが織った物だ。あぁ、なんだか布が導いてくれたとしか思えないような不思議なご縁。
 
撮影は、沖縄の古い建物が移築されている「八重山民俗園」の一角に、機を持ち込んでの撮影となった。
 
これまで富さんは、マスコミや観光系の媒体には一切顔を出した事が無く、「あがっちゃうかなぁ?」と心配していたそうだけど、いざ撮影が始まって、機の前で手を動かし始めると、とても自然でチャーミングにカメラに収まってくれた。撮影前から「どれを着ようかねぇ?」といそいそ準備してくれたという衣装は、豊年祭用にとご自分で織った綿&芭蕉のグンボウ。とても涼しげで、グッとくる色の取り合わせの縞柄がすごく素敵だった。細いミンサー帯の色も素敵だったなぁ。
 
そして、撮影終了間近に、ちょうどその日が富さんの77歳のお誕生日だった事が判明!何も用意していなかったので、撮影スタッフみんなでハッピーバースデーの唄を合唱する。なんだかいろんな縁がありがたくて、歌いながらウルっとしてしまった。
 
富さんは、帰りがけにニコニコと「二時間だけ女優さんになったみたいだったねぇ」と言い残して帰っていった。
 
着物の神様が出会わせてくれた素敵な出会いに、全身全霊で感謝します!ありがとう。
 
 
それから、布。
 
撮影前のご挨拶にと「絣の郷」へ立ち寄った際、気になるグンボウがあった。白地の縞柄。あててご覧なさい....なんて言われて鏡の前に立ってみたりはしたものの、ゆっくり考える時間も無いしと、その時はお土産用のミンサー帯だけを買い求めて帰った。が、その後もどうも気になっていた。とは言え、その後お店に立ち寄る暇も無く諦めていた最終日に、突然、絣の郷まで行かねばならない用事が出来る。いやん!(笑)これは、着物の神様の粋な計らいとしか思えない....と、富さんの織った反物を持って飛行機に乗った。
 
 
あぁ、八重山、サイコー!アリガトウ!  | 
  
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 2003.8.24 [日] なんくるないさー | 
 
 
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  ただいま。
 
西表島のジャングルロケは、覚悟してた以上にハードな撮影だった。
 
汗まみれになった後、目の前の川が気持ち良さそうで、そのまま飛び込んで泳いだ一時がサイコーだった。自然は偉大だ!
 
布絡みでは、涙が出そうなほどの偶然の縁が重なり、着物の神様に感謝した。この話は、後日改めてちゃんと書きます。  | 
  
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 2003.8.17 [日] 八重山へ | 
 
 
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 今日から一週間、仕事で八重山。
 
順調にいい仕事が出来ますように...。  | 
  
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 2003.8.12 [火] 布さえあれば | 
 
 
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  八月は、普段も含めて数える程しか着物を着てない。その理由は、浜遊びが忙しいのと(笑)、腰布+ランニングというアジアンな装いが、夏の葉山暮らしに心地いいから。素肌にアンティークバティックをスルリと巻いて、脇が詰まったランニングをかぶる。以上。昔のバティックに使われた綿生地は目が詰まっていて綿なのにシュルシュルと滑りがいい。ランニングは、バリのanimaleの手染め品で、気に入って5枚ほど持っている。泳ぐ時は、この下に水着を着て、浜まで行ったら布とランニングを脱げばいい。腰布はそのまま敷物になる。あぁ、一枚布の臨機応変さと言ったらなんて素晴らしいンだ。
 
夜、浜でライブがある時なんかは、麻着物を湯文字&晒にそのまま着て、ふらりと出かける。そんな程度なので、お出かけ夏着物の出番無し。まぁ、もう既に真っ黒クロスケな状況だから、どうせお出かけ着物は似合わない。成すがまま、焼けるがままの浜暮らし。日常とリゾートが曖昧になる夏の葉山。かなり楽すぃ。でもヤヴァイ。(笑)  | 
  
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 2003.8.3 [日] 箪笥の中の着物達 | 
 
 
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  母から宅配便が届く。中身は、染み抜きを頼んでいた羽織・母のお下がりで裄出しした絹芭蕉の夏着物・母の着物を仕立て直した長襦袢・叔母の羽織を色抜きして染め替えて仕立て直した羽織・道明の冠の帯締め....、以上。道明の箱に入った帯締めは、母がお店に行った際に私用にと買ってくれた物。嬉しい。
 
しかし、こんな感じで、私の着物まわりは私の意思とはあまり関係なく、母のお陰で増えていく。ありがたいけど、微妙に複雑な気分だって事を説明するのは難しい。
 
着物に全く興味が無かった若い頃から、実家の箪笥には訪問着やら千總の小紋やらが増えていった。そして、そうした着物達は、着物の知識が全く無かったにもかかわらず、うっとりするほど素敵だった。畳紙を広げ「素敵でしょ?」という母に、私はいつも曖昧な感想を返した。そりゃぁ、素敵な着物だけど、いつ着るんだ?しつけがかかったままの着物が増えていくうちに、この着物達を着てあげないとあまりにも可哀想だ....と思うようになった。そこで、毎年お正月に皆で着物を着て家族写真を撮る様にした。良かった、良かった。そんなこんなしている内に、もう少しマメに着てあげよう....と、普段着の一部を実家から持ち出して観劇や買い物に着るようにした。これで着物達も浮かばれる。なんて思っていたら、着物に興味を持ち始めた私を嬉しく思ったのか、母の買い物は更にエスカレートしてしまった。しかも、母が選んでくる着物や帯は、そんなに私の趣味を逸脱していないから、悩ましい。さすがに最近は仕舞う場所も無くなり「お願いだから、もう充分だから」と訴え、多少ペースダウンされてきた様に思う。「持つ」事に喜びを見いだす母の世代と違って、私はしつけがかかったまま箪笥に仕舞われている着物達が可哀想だと感じる。だから着る。じゃんじゃん着る。
 
更に、母の箪笥には、しつけがかかったまま身幅が狭くなったという着物達がたくさん眠る。最近は、そんな着物達も可哀想なので救済して着るようにしている。今回の荷物もそんな類いの物だ。自分で選んだ着物とは、微妙に趣味やサイズが違う着物達。とは言え、そうした着物を受け継いで着る....というのは「私はコレが好き!」という西洋的な個人主義の“点”では無く、曽祖母・祖母・母と繋がる“線”の一端を担っている様な気がして少し嬉しい。そんな気持ちで着物を着ている。着物は、物を大切にしたい....という気持ちに無理なく答えてくれる。ありがとね。
 
 
※写真は、絹と芭蕉のグンボウなのか、芭蕉を真似た絹なのか、どっちか判然としない「絹芭蕉」と母が呼ぶ着物。くすんだ瑠璃色地に花柄が染め抜いてある。仕立てが素晴らしいので、裄だけ出して着る事にした。  | 
  
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 2003.7.29 [火] 森戸の花火 | 
 
 
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  先日、狩集さんに描いてもらった帯をして、森戸海岸の花火大会へ出かける。
 
そう言えば、これを描いてもらってた時、海の彼方の江ノ島とお隣の逗子で花火大会だった。森戸の浜からは、少し遠いけど、二つ同時に花火が楽しめた。この帯は花火づいてる帯なんだな。
 
森戸の花火は、その適度なマイナーさ加減と水中花火と浜に寝っころがって眺めるユル〜イ感じがとてもいい。まぁ、どこの地方にも地元の花火ってのがちゃんとあって、そののんびりさ加減が風情があっていいもんだと思う。...と、究極の土浦花火を知ってる身としては、余裕の発言も出来るのさ。ふふふ。
 
さて、締めていった狩集帯は好評だった。ただ、このあいだかなりいい加減にセンター決めをしたせいか、浴衣の上から着付けてみると手が短くて、結ぶのに難儀した。また、ウール素材は意外とクテクテと柔らかく、形が定まらず、赤い冠の帯締めで補助して位置と形を固定した。まぁ、こうゆう遊びな帯だから結び方も含め自由に色々と試してみようと思う。
 
 
ところで、8月のお盆あけにロケで八重山へ行く事が決まった。が、大所帯の撮影隊は単独行動が出来ない。以前も小浜島のロケの時、既に八重山の布関係に興味深々だったのに、ちーっともそうした所には立ち寄れず悔しい思いをしたんだった。やっぱり今度もそうかなぁ。「絣の郷」くらいは覗いてみたいなぁ。  | 
  
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 2003.7.25 [金] ライブでアートな曼荼羅帯! | 
 
 
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  5月にあった葉山芸術祭で、狩集広洋さんの奉納ライブペインティングを見た時から「この曼荼羅ペイントを帯にしたらカッチョエーなぁ」と企んでおりました。で、根回ししたり、描いてもらう帯を調達したり....の準備が整い、帯の素材感を見てもらおうと、海の家オアシスに持参してみたところ、ソッコーその場で「よっしゃ!描こう!」ってな事になり、いきなりライブペインティングが始まってしまいました。キャー、嬉しい。まず「どこがどう出るの?」という事で、その場で巻いて見せ、前板のセンターを決めました。そこに緻密な龍っぽい柄を描き始め、その後、そこをセンターに両側へ曼荼羅模様がシンメトリーに繋がるようにどんどん描いていきます。いやぁ〜、ユニーク!あれよあれよと筆は進み、1時間もかからずに曼荼羅帯の出来上がり。うふふふふ、正当派からは大きく逸脱する作品だけど、私にとっちゃ宝物だわ。「洗っても大丈夫かな?」と尋ねた所「大丈夫だよ、薄くなるかもしれないけど。ま、薄くなったらまた描くし....」と、メンテナンスのお約束までいただいて、にまにまほくほく。なんか、こゆのってスゴク楽しい嬉しいらんららん!
 
帯の素材は、浅草のミドリ屋さんで買ったウール素材の黄色い無地。ペイントは、狩集さんご用達の布用マジックの黒。それはそれでキッチュでチープな感じが軽くていいと思うのです。
 
伝統は伝統としてきっちり大切にしたうえで、今を生きるアーティストとも「着物」で繋がれるのは、とても楽しくて刺激的です。
 
この帯は、29日の森戸の花火大会でデビューさせます。あ〜、楽しみっ!
 
 
■狩集さん
 
http://funky802.com/...
 
■葉山芸術祭
 
 http://www.hayama-artfes.net/ 
 
※上の写真は芸術祭の時の狩集さんと作品の末端。下の写真は描くのを見入っている私。  | 
  
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 2003.7.20 [日] 島唄の夜 | 
 
 
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  昼過ぎに、東京から友達が泊まりがけで遊びに来た。ちょうど陽が出てきたので浜へ出て生ビール!サロンの下には水着を着てきたし、暑くなってきたし、で、今年初めて海で泳ぐ。気持ちいい!沖で、仰向けになってぷかりぷかぷか。地球って素敵な星だよなぁ...なんて思いながら、太陽に晒されてみる。八重山上布は海晒しされて白くなるけど、私の顔は黒くなる。ま、なんくるないさー。
 
一旦、家に戻ってシャワーを浴び、白地の麻の着物に着替えた。この着物は少し汚れていたし男物だったせいか、配布会で貰われ手が無く、のれんにでもしようかな?と貰ってきた物。洗ったら見違えるほどキレイになったので、そのまま着る事にした。下着は湯文字と胸に晒を巻いただけ。素肌に羽織った麻が心地いい。帯は半幅ミンサーを文庫に結ぶ。夜は浜で島唄ライブがあるからね。
 
友達を連れて葉山を案内し、食べる物が美味しい海の家「松」で晩ご飯を食べ、ブルームーンに移動。既に大島保克さんの島唄ライブは始まっていた。三杯目の泡盛ロックを飲んでいるうちに気持ち良くなって、波打ち際でゆらゆら踊る。あぁ〜幸せだぁ〜!そのまま、浜にゴロンとねっ転ぶ。波の音と三線の響きにココロは遠い八重山へ飛んでった。そして、私はそのまま壊れた。(笑)どうやらビーサンを無くした模様。ついでに後半の記憶も無い。
 
翌朝、気付くと家中のあちこちが砂だらけだった。袂にたくさん砂を入れたまま家に上がり込んだらしい。海より深く反省し、朝から掃除。
 
浜での泡盛は、一杯だけ!とココロに誓った。(笑  | 
  
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 2003.7.16 [水] 喪 | 
 
 
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  すぐご近所でご不幸があり、顔見知りのお嫁さんから着付けを助けてもらえないかと相談された。近所には美容院も無く、よくふらふらと着物で出歩いている私を思い出した様だ。とは言え私の方は、身内以外の着付けは経験無いし、ましてや着付け教室にも通った事すらないので「私で大丈夫だろうか」と言うのが正直な気持ち。でも昔はきっと、近所でイロイロ助け合って暮らしていたわけだし、これからもこうした近所の助け合いはとても必要だと思うので、頑張ってみることにした。亡くなったのは彼女のお姑さんで、着付けるのは、お嫁さんの立場である彼女と、そのお姉様....、つまり故人の娘さんの二名。お姉様は、故人が生前に着ていた喪服をお召しになった。少し小さかったが、なんだかそれもひとつの供養の様で、柔らかい布を扱いながら、じぃんとなる。喪服は、喪という追悼の意を表す衣服だ。乱暴な意見だとは承知の上で言わせてもらえば、日本人が装う場合は、同じ黒でもフォーマルドレスではどうしても軽い印象になると思う。喪服を着た女性の佇まいは、凛としていて美しい。また、人の一生を越えて、受け継がれて着用される“着物”という衣服は、気持ちも一緒に受け継いでいくのだと思う。越してきたばかりの私は、残念ながら故人には直接お目にかかれなかったが、彼女の着物を通して、良いご縁をたくさんいただいた。ご冥福をお祈りします。
 
さて、自分が参列する時に着て行く物には少々悩んだ。母に相談したら「洋服の方が無難でしょ」と言う。うーん、着物を普通に普段に着たいんだよぉ〜という気持ちで暮らしているのに、無難クンには負けたくないなぁ。ガチガチなルールで決めるのもなんだか違う様な気がするし、前例も無いし。....で、自分に正直に、追悼の気持ちを表した無理のない感覚で決める事にした。
 
15日のお通夜は、その日に着ていた絣が入った黒地の上布に、それまで締めていた半幅の裏が濃紺だったので、裏返してカルタ結びにした。生成りの麻の半襟をかけた筒袖半襦袢もそのまま。白足袋を履き、喪服用の布製の黒草履を履いた。
 
16日の告別式は、昨日と同じ黒地の上布。お二人の着付けをした後、半幅を喪服用の夏帯に締め直した。帯締めと帯揚げも喪服用の黒。白足袋と草履も昨日と同様。帯をお太鼓にするだけで、かなり改まった印象になるのだな....と思った。ちなみに、告別式でも喪服の方は、お二人以外に身内の方でお一人だけだった。現代社会では、着物と実生活が乖離しているのが現状だと思う。それだけに、フォーマルなシーンでの着物の装いもある意味難しくなってきている。マニュアルに頼らず、自分で考える力も身に付けたい....と思う。  | 
  
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 2003.7.13 [日] 一周年記念パーティー | 
 
 
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  案の定、挨拶はアガってしまって話そうと思っていた事の半分も言葉が出てきませんでした。情けないけど、しょうがない....と、改めてココに書かせていただきます。
 
あっという間の一年でした。あっという間の100人でした。
 
KIMONO真楽は、100人がそれぞれ主役で、100人100様の着こなしと着物に対する思いがあります。そして、100人分の知恵と知識とアイディアがあり、それらが繋がって刺激しあって、こんなに素敵な「場」となって、更に進化しています。心から素晴らしいサイトだと思います。それは「関心空間」というコミュニケーションの為のエンジンがとても優れていたからに他なりません。この「場」を提供してくれているユニークアイディの前田さんを始め、スタッフの皆さま、ありがとう!また、関心空間を作ってくれたプログラマのバスケさん&デザイナーのこうへいさん、ありがとう!そして、ここに集ってくれたメンバーの皆さまありがとう!
 
着物をキッカケに、和の心地良さに目覚めるDNAが、きっとたくさんの日本人にモトモトあるんだと思います。曖昧さを受け入れる亜細亜的な心の広さが世界中に広がれば、地球はもう少し幸せになれると思います。
 
やっぱりね、考えてたってなんか恥ずかしくて口には出せませんよね。....と、アガっちゃった言い訳ですけど。
 
 
みなこさんの南京玉すだれ、はづきさんの電報、思い掛けない花束、感激でした。
 
あぁ、着物が好きで良かった....!
 
鮮烈に心に焼き付く素敵な一日を、ありがとうございました。
 
感謝でいっぱいいっぱいです。  | 
  
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 2003.7.1 [火] 海開き | 
 
 
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  今日から葉山は海開き。いよいよ夏だぁ〜!という気分にしてくれなきゃならないのに、雨は降り出すし肌寒いし。いやん。とは言え、夕方から森戸海岸にある海の家「OASIS」のオープニングパーティーに出かける。こんな天気だし平日だし、人出はそんなに多くないかな?....と思っていたのに、ものすごい賑わいぶり。OASISごはんは相変わらず旨いし、ライブは盛り上がるし、酒は豊富だし、なんかTVカメラやら取材がいっぱい来てるし、みんなハイだし、スゴイスゴイ。雨なんかそっちのけで浮かれまくった。(笑)
 
http://www.kanshin.com/...
 
そんなわけで、今日の着物はラスタに着崩す。寒いので6月に着倒した単衣の黒地に蚊絣の男物(綿&絹)をベースにした。天気(雨)と場所(砂浜)を考慮して、かなり短く着付ける。木綿の帯を平べったいカルタ結びにして、その上からネパール製のレインボーなヒップバッグをアクセントに。去年石垣島で買った帽子が同じニュアンスだから、それもかぶる。足下はげんべえのビーサン。なかなかジャマイカンぢゃ〜ん。エヘン!と悦に入るお出かけ前のショット。(笑)
 
+++ちなみに着物で踊るのは袂が揺れて気持ちいいです。私はよく家で音楽に合わせて踊り出してる事があるんですが(笑)、少し重めのちりめんなんか揺れるシルエットも美しく最高です。+++
 
ところで、雨と砂と、更に酔っぱらって焼き鳥のタレとタコスのサルサソースをボタボタこぼした着物は、ダメモトで水洗いしてみたトコロ、すっかりキレイになった。前回は悉皆屋さんで「絹が入っているから自分で洗うのは無理ですよ、丸洗いしましょう」とアドバイスをもらってそうしたが、風合いは悪くなるものの綿も入っているお陰で型くずれも縮みも無く大丈夫そうだ。普段にガシガシ着る物はやっぱり自分で洗いたい。で、この単衣は、夏が終わって海の家も閉まる秋までお休み。さぁ、いよいよ夏本番!楽しむぞぉ〜!  | 
  
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 2003.6.22 [日] お山は夏 | 
 
 
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  裏山へ登る。朝のうちに出かけるつもりが昼近くになってしまい、お山の上も暑かった。梅雨時の雨をたくさん含んだ山は、湿気と言うか熱気がむんむん。緑がうっそうと茂り、野生の百合や紫陽花が咲き、シダ類も元気で、すっかりお山は夏の雰囲気だ。麻の蚊絣の男物にみんさー帯を締め、上からもんぺを履く。足下はいわゆる上履きズック。湿気で汗だくになったけれど、洗えるからオッケー。途中、茅葺き屋根の日本家屋を上手にレストアしていたお仕覆作家の工房がすっかり無くなっていて驚く。立地も含めすごく素敵な家で、憧れていただけにとても残念。ちょっとシオシオな気分で山の尾根を歩いたが、終点のあじさい公園では紫陽花が満開だった。紫陽花の花言葉のように、世の中も移ろうのだなぁ。  | 
  
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 2003.6.21 [土] 町内会 | 
 
 
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  引っ越してきて初めて町内会の会合に顔を出す。朝から暑かったので、麻の着物で出かける。花柄が縞のように連なる品の良い模様が織り出されている頂き物の着物。木綿のレースの長襦袢には、水浅葱の保多織り(綿&絹)の半襟をかけてある。麻の着物も、半襟をかけたままの襦袢も、汗をかけばそのまま自分で洗える素材。気が楽。帯は綿の半幅みんさー。去年の今頃に石垣島で買ってきたこの帯は、締めやすいので普段に随分締めた。機会があったら違う色も欲しいな。足下は素足に下駄。
 
ところで、町内会の会合は、出かけてみたら十数人しか出席者が居なかった。ゆうに百世帯以上は同じ町内会のはずだが、毎回だいたいこの程度と言う。私はこの町に馴染みたくてこちらから入会させてもらったが、役場には「町内会に入って欲しいと誘われたが、何かメリットがあるんでしょうか?」という新住民からの問い合わせがあると言う。違うだろ?それ。その土地に暮らす、同じ場所に住む人々が助け合う、持ちつ持たれつの関係を築く....、それが町内会なんじゃないかなぁ?私は、自然に挨拶をかわせるこの町の雰囲気がすごく好きだ。でもこの町ですら住民同士の関係が薄くなりつつあるとしたら、この先は、日本中がどんどん東京的な個人主義になってしまうのだろうか?寂しいなぁ。  | 
  
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 2003.6.19 [木] 一周年の着物 | 
 
 
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  着々と「着て行くキモノ決まったぁ!」というみんなの日記に焦る。(笑)今日は湿気も少し収まってる様なので、箪笥から夏着物を引っぱり出してみる。これまで漠然と琉球絣かなぁ?と思っていたが、目の前に広げてみると、ちょっと素朴過ぎる気がしてきた。ん〜。あれこれ畳紙を広げ、悩む。で、やっぱり一周年でおめでたいし、パーティーだし、八芳園だし、なんてったって会場の名前は“グレース”だもん....という事で、少し華やか方向へシフト。絽の黒地の小紋で仮決定。帯は絽つづれ。帯揚げ・帯締めもチョイス。サッパリめな小紋なので、刺繍半襟を持ってきてみる。ピンポン!絽縮緬だけど、合うから良し。足下は、グレーかパールの草履でなんとかなるかな。
 
....というわけで、私も決まったぁ〜!
 
なんだかんだ、これが着物の楽しい時間。あっという間に時が経つ。
 
※写真は却下された琉球絣。  | 
  
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 2003.6.8 [日] 夕暮れ散歩 | 
 
 
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  浜へ抜けるお気に入りの小道。車の入って来られない路地が好きだ。着物もそんな道の方が似合うと思う。最近知った事だけれど、法律では道は4m以上なければイケナイらしい。変な法律。ローマの旧市街やモロッコのフェズなど、狭い道が昔ながらのまま残っている街の方が魅力的だ。日本中がみんな一律に同じような町並みになったって面白くないじゃないか。私はここの不便な暮らしを大切に思う。不便を守っていかなくちゃ。変な話だけど。
 
写真は、胸に巻いた晒が下がってきたのを直しているの図。一日中着てると、こんな風によく晒を直す。今日は男物を着ているから身八口が無く、袖から手を入れてモソモソしてる。普段着の着物は着崩れして当たり前。こっそり直せばいいのよ。そんなちょっとした仕草もその人らしさだったりするわけだし。それにしても、こうして見ると男物はシルエットがやっぱり男っぽいんだね。知らなかった。  | 
  
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 2003.6.7 [土] iza! 鎌倉 | 
 
 
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  熊蔵のお誘いで、今日は、鎌倉パークホテルで「鎌倉清酒研究会」。日本全国から100銘柄の日本酒が集まり、それらを呑んで“研究(笑)”するのだ。ならば、着物で!と真楽で呼びかけたところ、ゆわさんが参加。長谷駅で待ち合わせ、長谷寺に寄り、花ぐるまへ。するとなんとそこには、フーさんが京都からワープしてきていた。嬉しかったなぁ。バーチャルなKIMONO真楽で仲良く着物話を語るのもいいけど、やっぱり“会える”って一際嬉しい。それが待ち伏せなら嬉しさ倍増。フーさんとはそこで別れて、KWにもなっている二人展を見に行く。http://www.kanshin.jp/...展示されている布達はどれもみな素敵で、やさしさと力強さを感じる。たかが布、されど布。布から大地や地球、太陽、自然の恵み、そして哲学、いろんなメッセージが伝わってくる。
 
その後、潮風に吹かれながら、海沿いの道をみんなで歩いてパークホテルへ。会場には、幻の銘酒もズラリと並び、お猪口片手に美味しくて幸せで顔がニヤつく。ゆわさんもにこにこしながら呑んでいた。研究の末、分かった事は、いいお酒は酔い心地もいい!って事。ゆらゆら酔っぱらっていい気分。
 
そんな酔っ払いが着ていた着物は、先週と同じ麻の襦袢&単衣の本塩沢。あざみ柄の紅型を銀座結び。絽の青い帯揚げに、白&苔色の帯締め。半襟は錆浅葱の絽。  | 
  
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 2003.6.5 [木] もんぺと梅の実 | 
 
 
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  庭の梅の木に、青梅がたわわに実った。とても自分達では消化出来ないので、欲しいと言う友人達にお裾分け。で、今日は天気もいいので、その分の収穫とついでに枝の剪定をする。馬鹿は高い所が好きと言うが、子供の頃から木登りは大好きだ。木の上は、木漏れ日がキラキラ輝き、裏山からは爽やかな風が吹いてくる。極楽。
 
そして、木登りにはもんぺ。母が選んだ久留米絣(木綿)を、義妹の母上がミシンで仕立ててくれたもんぺが、先週出来上がって届いたばかり。諸々具合を見る為に今週はずっともんぺの人だった。形は、祖母が着ていた物を元に、私サイズに直してもらった昔ながらの袴式のもんぺ。最初は少し大きかったが、水洗いしたらちょうど良くなった。裾もゴムではなく共布を輪にして絞ってあるので楽。脇も大きく開いているのでトイレも楽。とにかく、洋服のパンツスタイルよりも、ゆるゆるガバガバなもんぺは、楽ちんな事この上なしなのだ。しかも、こんなに活動的!見た目も、チョットおばあちゃん臭さは否めないけど、意外とキリリとカッコイイのでは?なんて思ってしまう。(笑)
 
もんぺいいです。最高です。女としての大先輩である母と義母と祖母に感謝!ありがとう!  | 
  
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 2003.6.2 [月] 蕗のスジ | 
 
 
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  岐阜の親戚から山のような蕗が届く。翌日煮付ける為に夕飯後に下処理をする。蕗は湯がいて周りのスジ皮を剥くのだが、なんともミニマルな作業。リズミカルに手を動かしていると結構無の境地になれる。(笑)大量の蕗からは、大きなボールに山盛りのスジが出た。昨日、もとじで自然素材の芭蕉やら苧麻やらの布や素材を見てきたせいか、ふと「この繊維でも布が織れるんじゃないか?」なんて思う。パイナップルだって帯になるんだもん。どうよ?蕗の帯。
 
それにしても、自然素材の布は、こうした繊維を糸に績んでいく作業が根気の賜物なんだと思う。越後上布も織り手よりも糸にする人がどんどん居なくなっていて深刻らしい。雪に閉ざされた山奥の底冷えする家の中で、農閑期に女達が続けてきた手仕事。現代にそんな辛い作業をする若い人も居ないだろう。「好き」というだけで続けていけるほど単純な話ではなさそうだし。蕗の繊維を見ながら、布の背景を思う静かな夜。その後、蕗は水に晒して一晩置く。台所中が蕗の香りで満たされる。夜が更ける。アクが抜ける。私は眠る。  | 
  
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 2003.6.1 [日] 銀座へお出かけ | 
 
 
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  植物が元気で、雑草を苅ったり青梅を収穫したり、仕事そっちのけで家の事に追われる日々。田舎暮らしは意外と自分の時間がとれないんだね。でも今日は、そんな日常から開放されて、銀座へお出かけ。前々から眼鏡を新調したかったし、なんてったって今日は、しょうちゃんの走墨作品展&KIMONO真楽オフなのだ。東京に居た頃より、お出かけ気分がぐっと増し、選ぶ着物も“銀座へお出かけ”な着こなしになる。着ていった着物は、単衣の本塩沢に、確かこの着物と一緒に買った袋帯。レースの様に透けた素材だが、紬地の裏が付いてリバーシブルでも締められる応用範囲の広い帯。麻の長襦袢に絽の半襟。絽縮緬の帯揚げと細目で夏仕様の黒基調の帯締め。足下は白足袋に、黒い台のエナメル草履。あまりに銀座なコーディネートは、真楽で浮くかな?とは思いつつ、まぁ年相応って事で許していただこう。
 
走墨展は、墨のにじみが美しく、モノトーンの世界なのにとても広がりがあって面白かった。私も筆で書く線の流れが好きなので、よく筆を取る。ただし、我流。きちんと先生について自分を磨いている人は、どんどん世界を広げてるんだな。スゴイなぁ。
 
真楽オフでは、お初にお目にかかった皆さんも居て、楽しいおしゃべりが出来た。毎度思うのは、ホントにみんな自分のキャラに似合う着物を選んでいて、十人十色で魅力的。ある意味、装うと言う事は、己を見つめる事に繋がるのかもしれない。着物の道は深いなぁ。  | 
  
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 2003.5.24 [土] 東伏見宮別邸 | 
 
 
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  町内会主催の浜掃除を終え、サクっと着替えて、近所にある旧東伏見宮別邸で行われた「美しい葉山の表情」というシンポジウムに参加した。ここは、東伏見宮依仁親王の別邸として、大正3年に竣工した。塔のある二階建ての洋館と和館が繋がった壮大な別荘だったらしいが、現在残っているのは洋館のみ。コンサートなどで一階のホールはたまに開放されるが、今回は館内全てを見学させてもらえた。驚いたのが、二階に突如現れる和室。当時の皇室の暮らしぶりが伺われる。建物から伝わってくるのは、建て主の究極の美意識、棟梁のプライドとこだわり、磨いて維持してきた使用人達の心意気と几帳面さ。直球で五感を刺激される。人が美意識を高めるには、やはり本物を生で感じる体験を積み重ねる事が大切だと、つくづく思う。着物も然り。“情報”だけではダメなんだよ。シンポジウム自体のテーマも「葉山の別荘と景観」という切り口で、とても勉強になったし考えさせられる現実の状況もよく分かった。良い経験が出来た素晴らしい一日だった。
 
さて、着て行った着物は、生成りに亀甲の結城紬に、ピンクの入った博多帯。薄いヘチマを枕に小さくお太鼓にして、錆青磁色の帯揚げ、薄紅色の帯締め。半襟は灰色のしぼりが少し暑苦しいかな?とは思いつつ、付いてたからって事で手抜き。(笑)足下は、ピンクの足袋に二枚歯の下駄。今日の組み合わせは「皇族の建物という格式ある場所」なのに「すごく近所」という、きちんとした方がいいのか、着崩した方がいいのか、なんだかチョット迷いのある組み合わせ。(笑)白草履を合わせたら、妙にお出かけ風になってしまい、下駄に履き替えた辺りに、迷いが現れてる。難しいゾ。(笑)  | 
  
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 2003.5.13 [火] 本久留米絣 | 
 
 
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  「木綿、もめん」と騒ぐ私に、母がお誕生日のプレゼントにと、手織りの本久留米絣を仕立てて持ってきてくれた。素朴な絣は、台所が似合いそうな心和む雰囲気。さすがに手織りだけあって、厚手な生地だが柔らかく手にぬくもりが伝わる。母は当初これを“もんぺ”にしようと手にしたらしいが、呉服屋さんから「手織りなのにもったいない」と説得され、もんぺ用には機械織りを別に求め、これは私の袷に仕立ててくれた。ただ、母はあまり木綿などの素材には明るくないので、呉服屋さんの言うままに普通の絹裏を付けた“洗えない木綿の袷”に仕上がっていた。くぅ、ちと残念。分かっていれば、一衣舎で“洗える仕立て”にしたかった。(笑)「ありがとう!」の気持ちがちょっと濁って複雑な心境。でも、これって、斉藤さんの館山唐桟×一衣舎の洗える仕立て....の“究極の味”を知ってしまったからこそ湧いてくる気持ちなんだろうなぁ。いい男を知ってしまった女の性と似た様な....って、ソレは違うか。(笑)とは言え、この着物はとても素朴で暖かそうで、寒く冷えるここの冬の暮らしには重宝しそうだ。仕付け糸は付けたまま、箪笥に仕舞う。夏が終わるまで、しばし、このまま。  | 
  
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 2003.5.5 [月] 葉山芸術祭 | 
 
 
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  今、地元では「葉山芸術祭」をやっている。町のあちこちで、アーティストが自宅を開放したり、神社や浜辺を利用したりして、いろんな事をやっている。11回目の今年は4月19日から5月11日まで。だから、GWは遊ぶのに忙しかった。初夏のような陽気の5日もイベントめじろ押し。散策しながらあちこち顔を出す。写真は、真砂三千代さんの風着展へ寄り、アトリエ前の特設カフェでお茶した後。http://www.hayama-artfes.com/... 生い茂る若葉に川面の光がゆらゆら揺れて心地よい場所。ここで、オーガニックコットンのタンクトップを買った。ふわふわと肌触りが気持ちいい。最近は、洋服でも素材のいい物を求めるようになった。結局その方が長く大切に着られる気がする。
 
この日に着ていた着物も、同潤会江戸川アパートにお住まいだった室さんからいただいた物。今日の様に少し暑い季節に心地よい、生地に張りのある綿と絹の混紡素材。黒地に細かな十字絣の男物は追丈で着ると私にちょうどいいサイズ。下は先日新宿で買った綿レースの筒袖長襦袢。半幅帯をカルタ結びにして、バティックのポシェットを斜め掛けして、足下は葉山名物げんべいさんのビーサン!あんまり気張らない着こなしの方が、なんとなく葉山という場所には似合っている。
 
私の場合、普段着は“その時々の天候に着ていて心地よい素材”“場所に馴染む雰囲気”“人に不快感を与えない着方”を考えて箪笥から選び出している様だ。つまり着物って、人それぞれのいろんなポリシーで着こなせる懐の深い衣服なんだね。  | 
  
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 2003.4.27 [日] 山菜 | 
 
 
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  土曜日、東京で仕事をしていたら、岐阜の親戚から山菜が届いた....という連絡が入る。飛んで帰りたい気持ちを抑え(笑)仕事する。その日は帰宅が遅くなったので、日曜日を山菜DAYにした。箱を開けると、筍・たらの芽・コシアブラ・うど・わらび・山芋が入っていた。と、そこへ宮城の親戚からもたらの芽が届く。嬉しい悲鳴。筍は巨大なのが三本。大鍋が二つしかないので鍋をやりくりしつつ筍の下ゆでをし、調理は翌日。わらびもあく抜きするから翌日。そのまま食べられるたらの芽とコシアブラは、晩ご飯にてんぷらにしてサックリいただく。コシアブラはあまり流通に乗らない珍しい山菜で、苦味のあとに甘味と香りが立ち昇る。山の生命力を食べてる実感に、元気もりもり。切り口も瑞々しいうどの先っぽは、生でホタテと一緒に和風サラダにして食べた。あぁ、この食感がたまらない。うどの根の方はぬか床へ。翌日、筍とわらびは油揚げも一緒に田舎風な煮含めにした。もう一度さっとゆがいたわらびを生姜醤油で和えた一品も。うどのぬか漬けも味が丸くなりつつ食感はうどのままで美味しかった。
 
山菜は手間がかかると敬遠されるけど、その面倒な手間をかけて調理したそれぞれは、ほんとうに美味しい山の恵みで命の糧だと思う。
 
着物も、面倒なアレコレを超えた先に、たくさんの喜びがある。
 
何でもかんでも“簡単&便利”な現代の暮らし。
 
でも、山菜や着物の様に、面倒な手間ひまの向こうに、とても大切な何かがあると実感する今日この頃。  | 
  
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 2003.4.20 [日] お誂え足袋 | 
 
 
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  朝から薄ら寒いので、着ていた洋服の上からウールの着物を羽織り、インド綿スカートをばらして作った兵児帯をぐるぐるぐる。雨の日曜日の寛ぎ着。足下も寒いので、早速、みなこさん経由でお願いしてたお誂え足袋をおろして履いた。昨日のオフでみなこさんから受け取ったばかり。サイズは少し大きめな印象だけど、洗えばちょうど良さそうな感じ。
 
写真は、5足お願いしてたうちの一つ。キッチュな黒地に花柄なこの生地は、実は本業の撮影仕事で買い取りになった衣装のスカート生地。スタイリストさんに「米国の郊外に住む、通信販売にハマってるようなダサイ専業主婦」という設定でお願いした時に用意された三段フレアスカートだった。10年以上前の仕事の残がいが、今回の引越でたまたま出てきて目に付いて、絶妙なタイミングで足袋になった。悪趣味なプリント柄も足袋になると地味な普段着のアクセントになる。これは楽しい!家に余ってる布のハシキレが、足袋に蘇るなんて楽し過ぎる。もっと探そう!(笑)  | 
  
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 2003.4.19 [土] 水色気分 | 
 
 
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  真楽の皆と新宿散歩。
 
「三井家の着物」で見た絢爛豪華な着物達は、昔の職人さん達の精緻な技にいちいち唸りながら見入ってしまった。こんな家に嫁いでしまった女性は、家事や雑事はみんなお女中さんがやってくれるんだろうけど、野原を駆け回ったり海で泳いだりなんてオテンバな行為も出来なかったんじゃないだろうか?展示を見ながら、やっぱり晴れ着は私にとってヒトゴトで、例えば野良着なんかの方に興味がある自分に苦笑した。
 
着て行った着物は、水色が着たくて気分なお下がりづくし。塩瀬の帯は水色地にろうけつ染めで春らしい花の柄。去年、綿やウールの着物をたくさんいただいた同潤会アパートの室ママコレクションの目玉品。丸洗いに出したら、スッキリした水色に蘇った。落款があるので作家物だろうけど、私には解読不能。柔らかな春の日差しの中で、美しく映える素敵な帯だ。感謝、再び!>室ママ。
 
長着の方は、母のお下がりで、水色地に小さな薔薇の小紋。友人に貸して、返却後何故かずっと私の箪笥の中にある。(笑)仕立て直してないので、裄がものすごく短い。嘘つき襦袢で付け袖を一番短くしてもやっと着物と同寸くらい。母の着物は、仕立て直しても私のピッタリサイズまでは布が出ない。残念無念。
 
その他、帯揚げ・帯締めもブルー系でまとめ、白襟白足袋白草履....と、奇をてらわずに春らしくまとめてみる。オーソドックスな装いも、背筋がしゃんと伸びて気持ちいい。
 
夜の宴のエスペリアでは、美味しいイタリアンと共に着物話に花が咲く。それにしても同じ“着物好き”だと、初対面でも三分後には旧知の仲だ。面白いな、楽しいな。  | 
  
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 2003.4.12 [土] 浴衣の重ね着 | 
 
 
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  綿の着物の気楽さが気に入って、浴衣だって綿じゃないか....と、浴衣の二枚重ね。肌襦袢替わりに白い綿シャツ。薄曇りでまだ少し肌寒い浜の朝も、重ね着だとちょうどいい感じ。下の柄が風でめくれて見えたりして、なんだか楽しい。いいじゃないか、こんな着方も。
 
以前、男性の役者さんが楽屋着として、紬の下に浴衣を重ね着していてイイナと思った事がある。見る人が見ると“ずぼら”な着こなしらしいけど、普段に近所で着てるなら許されるんじゃないかしら?どうかしら?(笑)
 
ただ、おはしょり部分がダブるので腰回りはモコモコになる。でもまぁ、いいのよ。普段着なんだから。
 
なんて思いつつ、午後に便所掃除をしていたら、湘南仲間の熊蔵から「天青にてんぷら食べに行くけど一緒にどう?」とお誘いが。天青は、鎌倉散歩の時に行った焼鳥屋さんの一階にある姉妹店で、前から「連れてって〜!」と言ってたお店。当然GO!だ。雨も降っていたので、帯だけ織りの帯を枕無しのお太鼓にして足袋履いてシャツ脱いで、浴衣二枚重ねのまま、鎌倉へ。いいのか?そんなカッコでお出かけして。(笑)まぁ、鎌倉も“近所”ってコトで許してもらお。ふふふのふ。
 
天青のてんぷらは旨かった。ぎんぽや筍がサックリ揚がって春の味。ご馳走さま。  | 
  
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 2003.4.8 [火] 大島桜 | 
 
 
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  4月6日の日記で、三ケ岡山の桜を“山桜”と書いたが、“大島桜”だと言う情報もあったので、お詫びして訂正する。大島桜は、伊豆七島や房総半島に自生する潮風に強い桜で、桜餅にはこの大島桜の葉を塩漬けにした物が使われているそうだ。新緑の季節になったら、葉っぱをよぉ〜く観察してみよう。
 
今居るデスクからは、庭の海棠がもうすぐ満開で、下に垂れて咲くその姿がしとやかな女性を思わせる。ココに居ると季節感が養われる。季節毎の自然が、着こなしを教えてくれるって事なんだな。  | 
  
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 2003.4.6 [日] 桜咲く | 
 
 
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  天気がいいので、“三ケ岡山”へ登る。着ていた普段着の紬に、もんぺ&上っ張りを着て出かける。汗ばむほどの陽気だが、身八つ口から風が入って気持ちいい。お山の山桜は、すっかり葉桜。山桜は、ソメイヨシノみたいに絢爛豪華じゃないけれど、媚びてない楚々としたその咲き方がカッコよくて好き。山中でいろんな植物が芽吹いていて、キラキラとした生命力のパワーがそこらじゅうに溢れていた。てんこ盛りの元気をもらって山を下りる。
 
夕方、館山唐桟に着替える。近所に住む甥っ子が小学校に上がるので、家族が揃っての夕食会を近所の音羽楼(http://www.sunsun-navi.gr.jp/...)でお祝いするのだ。ここは、葉山の御用邸を手がけた宮大工が建てたという古い日本家屋で会席料理が食べられる。早い時間で他にお客が居なかったので、建物内を見学させてもらった。大正ロマンな洋間が特に素晴らしかった。弟夫妻も着物姿で、場所と着物がしっくり似合って、目に心地よい。
 
私は、唐桟に、青白コンビの紅型名古屋を合わせてみた。いつもの唐桟が、帯でぐっと春らしくなる。そしてこの唐桟は一旦着納め。仕立てていただいた一衣舎の木村さんの所へ戻って、水洗いした後に、“洗える唐桟の袷”として個展で展示される予定。カワイイ我が子が晴れ舞台に立つようで、なんだか私までドキドキする。あぁ、今から楽しみだ。  | 
  
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 2003.3.16 [日] 鎌倉オフ | 
 
 
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  KIMONO真楽で、鎌倉巡りのオフ。鎌倉巡りとは言え、お寺巡りではなくてお店巡り。(笑)「私は今日はついて行くだけだから〜」なんて言ってたのに、一文字で帯締め2本、はなぐるまで赤い晒&木綿長着&丹前、きたの屋で木綿半幅を買ってしまう。なんなんでしょ?この貪欲さは。(笑)
 
で、今日は、大島にビンハウスのサロンをそのまま兵児帯風にふんわり結んでみた。前からこの大島にこのサロンの柄は合うなぁ...と目論んでいたので、えいやっとチャレンジ。ふわふわの地紋入りな絹なので、引越で酷使した指先がひっかかることこの上なしで、やっぱりさすがに結びにくいと言うか形を作りにくい。帯板をくるみ、簡単に仕付け糸で固定して前板部分をしっかり作る。後ろは結び目を引き抜き切らずにワッカ部分をお太鼓状に帯揚げで整える。枕はタオルを小さく筒状に丸めて作ったものを使っている。結び目の上を緩まないように帯締めで固定。ちゃんと夜の宴会までそのままの形を保ってくれた模様。(写真はみなこさん撮影:ありがとう!)
 
皆に褒められちゃって嬉し恥ずかし。
 
でも、帯に仕立てちゃうと帯にしかならないからね。簡単に形作れるわけじゃないけど、素敵な布を帯としても活用できるなら、着付けの悪戦苦闘もまた楽し!ではないですか。ご賛同の皆さま、是非是非まねっこしてください!  | 
  
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 2003.3.7 [金] Friends of "X" | 
 
 
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  Friends of "X"、通称「Fox」では、昔ながらの懐かしいMac仲間にたくさん会えて、なんだかまるで同窓会のよう。夜の集まりだし、ポップに色が浮き立つマックライクな着こなしを目指す。最初に選んだのは、龍のモチーフがポップな刺繍帯。青地に色とりどりな刺繍が見事で、龍巳が赤坂にあった頃に買ったアンティーク。少し短くて柄の出し方に苦労するが、柄が無くなる前板半分は、オレンジに水色の水玉柄の帯揚げを片側だけ出してバランスをとってみる。ちなみにIGUREGのロングスカーフ代用。ベースとなる長着は、色が映えるように黒地の大島。半襟は黄色の帯揚げをむりやり代用。代用だらけ。(笑)帯締めは銀鼠のゆるぎ。長襦袢は、先日着物から長襦袢に仕立て直したオレンジ色のを初おろし。足下は紺の柄足袋に黒のエナメル草履。そして、仕上げは、レインボーなアップルマークのピアス。
 
美味しいビールにもありつけて、楽しい集いでありました。  | 
  
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 2003.3.1 [土] 引越 | 
 
 
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  いよいよ引越。前日に東京宅で搬出した荷は、一晩トラックに積まれたまま。朝イチで葉山宅に搬入...のはずだったが、色々トラブルがあって最初のトラックが現れたのは昼近く。まぁもう終わった不始末は忘れてあげよう。(笑)
 
さて、引越前後はこの木綿の着物を一枚、着たきりすずめ。着物の下着類は小さく畳めるし、重ね着で体温調節出来るし、必要な物が分かり切ってるし....で、なかなか良かった。一週間着て、ぐずぐずに埃まみれに汚れた長着は、真新しい洗濯機で
 
水洗い。あー、さっぱり!やっぱり普段着は洗えないとね。
 
ところで、ココには庭がある。水仙と白梅が咲き終わり、紅梅が咲き誇り、桃が咲き始めてる。片隅には小さな御稲荷さん。
 
自然と共に暮らせる幸せ。森羅万象に感謝する。  | 
  
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 2003.2.15 [土] 唐桟に紅型 | 
 
 
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  引越先のご近所に挨拶回りをしておこうと、唐桟を着て出かける。綿なので必要以上にかしこまらず、とは言えそれなりにきちんとした印象に見える....のではないかと期待を込めて。(笑)帯は、青地にあざみの紅型の名古屋帯を小さめのお太鼓に。帯締めはしょうちゃんがプレゼントしてくれた真田紐。帯揚げは松葉色の綸子麻の葉柄。半襟はクリーム色のちりめん。足下は柄入りの紺足袋で引き締めて、二枚歯のねずこの下駄音を、訪問のチャイム替わりにカラコロ歩く。ご近所の方々は、緊張気味な突然の珍客を暖かく迎え入れてくださった。今後とも末永くよろしくお願いします。
 
その後、上からもんぺ&作務衣を着て、大掃除。風呂掃除、廊下の雑巾がけ、便所掃除....。綿だから水仕事も気兼ねなく出来るのがとても嬉しい。日が暮れるまで掃除して、もんぺを脱いだら、さすがに唐桟の裾は皴だらけに。でも、帰宅後脱いで一晩吊るしておいたらほぼ消えていた。
 
挨拶回りから、便所掃除まで。この唐桟はなんて懐が広いんだろう。私がおばあちゃんになる日まで、末永くよろしく。  | 
  
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 2003.2.13 [木] 真田紐 | 
 
 
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  しょうちゃんから真田紐をもらった。菜種油色が渋くて素敵。ところが私は帯留をひとつも持っていない。「ブローチでも何でもいいのよ」と教えてもらい、アクセサリー箱を漁ってはみたが、考えてみたらモトモト洋服の時もほとんどアクセサリーを付けないものだから、帯留になりそうな物が見当たらない。むぅ〜ん、困った。締めてみたいのになぁ....。諦めかけていたトコロ、ふと見ると裁縫箱の中にがま口から紐がちぎれてとれた鈴付きの縮緬玉が入っていた。これは!と思い、綿テープをわっかにして縮緬玉を縫い付けてみた。うん、いいんじゃない?(笑)
 
この真田紐に合いそうだと思って引っぱり出した帯は、草木染めの吉野間道。改めてこの帯の説明書きを読むと、吉野間道とは「浮織縞を真田風に打ち込む独特な風合いを持ちます。」とある。あぁ、そうか。だからニュアンスが似ていて合うと思ったのか。こんな風に、感性の裏付けが発見できた瞬間はスゴク嬉しい。
 
ふふふ。これで私も帯留デビューだ。チリチリと鳴る鈴の音に心が弾む。ありがとね>しょうちゃん!  | 
  
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 2003.2.8 [土] 池上梅園 de 梅見 | 
 
 
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  KIMONO真楽の梅見会。池上梅園はとても好きな場所で、いつか着物仲間で集まりたいと願っていたので、とても嬉しい。みんな梅に負けない程、素敵だった。
 
さて、着て行った着物は若い頃に父が作ってくれたちりめんの小紋。絵に描いたような“父が娘に着せたい着物”な柄に反抗して(笑)あまり袖を通してこなかった。そろそろ着られなくなりそうだし、親孝行も兼ねて選んでみたが、久々に柔らか物を身に纏うと気分もなんだか“はんなり”してくる。柄は、椿・菖蒲・撫子に小菊が散っているが梅は無い。小菊が入っていれば一年中着られると言う。優柔不断な着物なので、長襦袢を梅にする。半襟は、羽裏の余り裂の麻の葉柄。帯は紫の総絞りに刺繍の名古屋帯。ひよこ色の帯揚げと、帯締めは紫色の細目の丸ぐけ。足下は白足袋に畳表の草履。
 
それにしても、毎年春を待つこの季節になると明るい色の着物が着たくなる。秋口にはあんなにほっこりした感じの着物が着たかったのに....。そんなこんなで、箪笥に着物が増えていく。  | 
  
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 2003.1.26 [日] 唐桟再び | 
 
 
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  引越準備の一環で、ヨドバシ&OZONEに用事があって新宿へ。じゃんじゃん着る約束をしたので唐桟を着て行く。真綿紬の紺地のこの名古屋帯は、いろんな着物と相性が良くてよく締める。所有する物はなるべく少なくありたいと思うので、着物も着回しの利く自分らしい物を厳選したい。とは思いつつも、大胆な意匠に惚れて買って一度も締めずに眠っている帯も随分ある。反省。そういう意味でもこの帯は優等生だ。帯締めは山吹色と黒の縞が粋で先日衝動買いした物。キリリと唐桟と相性がいい。嬉しいなぁ。
 
そうそう。昼に末広町の桂花で太肉麺をガフガフとすすっていたら、左斜め向いのおじさんとやたら目が合う。気にせずスープも残さず平らげる。いくら着物を着てたって、ラーメンをお上品には食べられないのよ。ごめんなすって。(笑)  | 
  
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 2003.1.25 [土] 裏山へ登る | 
 
 
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  引越先の北の裏山にあたる“三ケ岡山”へ登ってみた。三つの峰が連なる山へは三つのルートから登る事が出来て、休憩を含めて約二時間のコース。もんぺ式の作務衣の下は、青茶色の男物のウールを着ている。対丈でサクっと着られるので最近このウールは普段着としてお気に入り。最初は下駄で大丈夫かなぁ?なんて甘い事を考えていたが、一応ジャングルモックを履いてきて大正解!結構な山道だった。この山は最近こうしたハイキングコースとして公開されたが、トイレも自販機も何も無い自然をそのままに残した県立公園である。登り切った後、なだらかに続く尾根道は木々の向こうに葉山の海や街が覗いて、とても心地いい。引っ越したら、毎月一回は“お山の日”を設けてお山の季節の移ろいを観察しよう。桜や紅葉が楽しみだなぁ。途中、富士山が大きく海の向こうに見えていたので写真を撮ろうと構えてみたら揺れている。え?と思ったら、なんとひざがフルフルと笑っていた。運動不足を痛感する。(笑)
 
その後、引越先の家を大掃除。しばらく人気の無かった空き家っぽい雰囲気が、掃除をする事によって少しづつ家らしくなっていく気がする。掃除を終えて作務衣を脱いで、帰路につく。体を使った一日だった。  | 
  
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 2003.1.21 [火] 着物から長襦袢 | 
 
 
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 むかし着物展の長襦袢を見ながら母が言った「コレってモトは着物よ、きっと」の一言にひらめき、私も着物から長襦袢への仕立て替えをやってみる事にした。ちょうどその足で立ち寄った“ながもち屋”で、紅緋と猩猩緋の中間位のオレンジ色の色無地があった。梅と楓の地紋入りで、抜き紋が入っているところをみると白生地から染めたものらしい。前々からオレンジ系の長襦袢が欲しかったし、とても生地が上質なので、15,000円はお買い得だったと思う。「試着しなくていいんですか?」という店員さんに「長襦袢にするので」と言うと、店員さん始め周りのお客さん達に「あらまぁ、それは素敵なアイディア」としきりに褒められ、いい気分になる。(笑)
 
それを悉皆でよくお世話になる近所の呉服屋へ持ち込み、仕立て直しを頼んできた。表生地・胴裏・八掛のとき代と洗い張り代、仕立て代、三河芯代に税でしめて25,000円チョイであった。ちょうどセール中だったのも幸いして随分とリーズナブルにあがってしまった。袖だけ無双にして単衣にしたので、胴裏と八掛が余るが、これを利用して裾除けを自作しちゃおうかな?と企み中。
 
出来上がってきたら、茶系の紬や大島に合わせるつもり。ふりから覗くオレンジ色、ぐふふ、楽しみ。  | 
  
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 2003.1.12 [日] 新しい年に | 
 
 
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  お正月に新しい着物をおろすのはとても気持ちのいいものです。子供の頃は、着物を新調しなかった年も下着だけでも新しいものをおろして着せられた記憶があります。こうした節目が、日常と非日常を区切り、暮らしに彩りを与えていたんだと思います。
 
さて、そんなわけで新しい年を迎え、館山唐桟をおろしました。12月10日の日記に書いた着物です。今日は、KIMONO真楽の新年会です。昼前に銀座に寄りたかったので、この日は朝から一日着ていましたが、いやいやなんとも着やすい!おろしたてなのに、ずっと昔から着ていた様な、柔らかでしっとりした感触です。体の動きにとても自然についてきてくれます。今回着てみて初めて分かった綿素材の心地よさでした。裏が絹(航空絹布)なのも着心地の良さに繋がっていると思います。箪笥に仕舞っておくのではなく、日々、大切に長く着ていきたい一枚です。ふふふ、だって一応洗える仕立てですし。
 
帯は、沖縄の読谷花織(ゆいたんざはなゆい)を合わせてみました。昔から気になっているのですが、この沖縄の織物も、似た様な布を東南アジアで見かけます。きっと何か繋がりがあるに違いありません。今日の唐桟も江戸初期に渡ってきた古渡りを復刻した柄ですから、なんとなく“渡ってきた布”としてしっくり合うのかもしれません。
 
さぁて、今年も奥が深い着物の世界にどっぷり浸って、いい一年を過ごしたいと思います。KIMONO真楽でも仲間が増えて、ウキウキ嬉しい年明けです。  | 
  
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