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2004.3.30 [火] 桃の着物 |
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26日の日記に書いた桃の着物の事で、かずさんから
「大丈夫じゃないでしょうか」と伝言をいただく。
桃は、ミチトセ(三千歳)とも言い、長寿の印。
場所によっては4月末まで見られるし、
兆し=将来の予知=転じて魔よけにも。
妊娠の兆しととる場合や、
結婚などにふさわしい花でもあるらしい。
知識が深ければ、的確なアドバイスも出来るのですね。
「三千年に一度のめぐり合わせのよいご縁で、
二人で実をつけ、長寿の命もいただけるということで! 」
素敵な解釈です。ありがとう。
本人にも早く伝えたいな。
あぁ、嬉しい。
そして、持つべきものは真楽仲間と
しみじみありがたく思う勉強不足なワタクシでした。 |
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2004.3.28 [日] 花見 |
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山肌が春色になってきたので、裏の三ケ岡山に登る。
それぞれの木の枝先に柔らかな新芽が出ていて可愛らしい。
大島桜も満開だった。
写真を撮りながらゆっくりのんびり。
休日にもかかわらず、ほとんど人とすれ違わない。
大島桜の大木が固まる高台には、木のテーブルとベンチがある。
ここでしばし休憩。
鶯が鳴き、まるで小鳥の楽園。
とても高い所で咲くこの山の大島桜は、肉眼ではよく見えない。
でも、今日は相棒がバードウォッチング用の双眼鏡を持ってきていた。
チョット借りてのぞかせてもらう。
うわぁ、なんという美しさ。
青空を背景に大島桜が花の形まで認識できる。
ベンチに寝ころび、360度ゆっくりPAN。
きれいだぁ〜。
うっとり眺めていたらメジロがフレームインして鳴いている。
まんま友禅の裾模様だぁ〜。
三十分以上双眼鏡の世界に嵌っていたかな?
でも、人間は私達二人だけ。
満開の桜の下で、この山を独占してる気分。
そう言えば、その後鳴いている鶯の雄と近づく雌も間近で見つけた。
でもちっともいわゆる鶯色じゃないんだね。
どうやらメジロと鶯が混同してメジロの色が鶯色になったとか?
なんだかとてもいい加減でいいなぁ。(笑)
山の下り口にあるあじさい公園は、海を背景に染井吉野が咲く穴場。
今日は一本だけ咲いていた。
ここは来週辺りが見頃だろうか。
街に降りて、イタリア食材店で昼飯を買い、
ついでにスクリュートップのハーフワインも買い、森戸海岸で浜ランチ。
磯遊びしながら帰ってきたらすっかり夕方。
あぁ、極楽な春の休日。
※写真は、
上:新芽の色も形も可愛らしい
中:高いトコロで咲く大島桜
下:浜ランチのイタリアおむすび***美味し! |
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2004.3.26 [金] 枝物 |
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お向いさんから貰った大島桜が満開になった。
1メートル以上ある大きな枝。
なんと、ホワイトデーに彼がプレゼントしてくれたと言う。
我が家にも糸鋸で切り分けてくれた。
ロマンチックなお福分け。THANKS!
大島桜は、開花と一緒に葉も育つ。
花の量も控え目なので、遠目で見ると染井吉野の様な豪華さはない。
でも、私は大島桜の楚々とした咲き姿がとても好きだ。
白っぽい花の色と柔らかな緑と空間をつなげる枝のバランスがいい。
裏山の大島桜も山肌にぼかし模様を作っている。
きっとそろそろ見頃だろうな。
さて、枝物と言えば、これで悩んだ一件があり午後から来客。
じつは地元繋がりで、四月下旬の結婚式の着付けを頼まれた。
結婚式とはいえ、何もしないつもりで入籍も済ませた本人達だが、
簡単な式と親戚だけの食事会をする事になり、
手持ちの訪問着を着たいと言う略式なものだ。
先日、その着物を見せてもらったのだが、綺麗な加賀友禅だった。
聞けば、若い頃に一生懸命バリバリ働いて自分で買ったそうだ。
すごいなぁ。そして、これがまたとてもよく似合う。
ところが、その友禅に描かれていたのは枝ぶりも見事な桃だった。
本人はまったく何の花か?なんて事は意に介してない。
他のモチーフは一切無く、枝に咲く桃の柄を、四月下旬にどうだろう?
親戚にお茶を嗜む人や着物にうるさい人が居たらどう思うだろう?
その時は何も言えずに別れたのだが、一晩悩み、
翌日母にも相談して、やっぱり着る本人の意見を聞く事にした。
なんならココに置いてある私の手持ちを貸してもいいし。
そんな経緯もあり、今日その本人が再度打ち合わせにやってきた。
私の着物を三枚ほど着てみるが、どうもしっくりこない。
似合わないわけじゃないけど、ダンゼン自分の加賀友禅がピッタリなのだ。
結局のところ、本人は桃の訪問着を着ると決めた。
「いろいろ検討させてもらったし、コレでいきます!」
一生に一度きりの結婚式。
季節がどうのこうの言うより、自分に似合う着物を着ればいいじゃない。
うん。私も応援するよ。
きっと素敵な花嫁さんになると思う。
とは言え、私のアドバイスは間違っていなかっただろうか?
着物というのは、ほんとに奥が深くて難しい。
でも色々なしきたりは知りつつも捕らわれずに自由に着たいと思う。
頭もカラダも柔らかくなくちゃね。 |
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2004.3.18 [木] 五十鈴 |
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館山から荷物が届く。
二年前に初めて館山を訪ね、
見本帳からお願いした反物のうちの一つだ。
山田五十鈴の為に織ったという“五十鈴”という縞。
爽やかで可愛らしい縞だと思う。
これは義妹と分けて帯にするつもりでお願いした。
さてさて、では具体的にはどんな帯にしよう。
これからまた楽しく悩もう。
BBSの話題や皆の日記など、
いろんな流れがみんなちゃんとリンクしてるみたい。
真楽は、どんどんその言葉の意味通り進化してる。
素晴らしい。
※真楽(しんらく)
自分も相手もその他の万人も、ともにうるおう楽しみ |
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2004.3.13 [土] 工房見学 |
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さらProjectの「職人さん訪問」企画に参加して、朝霞にある“染色工房稲木”へお邪魔させてもらった。こちらは、東京手描き友禅の工房で、デザインから蒸しの工程まで全てを一環して行っている。分業が当たり前な世界なので、この工房はかなりユニークな存在らしい。
見学者は案内人ののりさんを含めて総勢5名。バスを降りて住宅街の中を歩き「ここです」と、のりさんが示した先は、住宅街の中にある普通の住宅だった。しかも一階のガレージにはBMWなどの大型バイクがごろごろ置いてある。かなり、ユニーク。(笑)
ガレージ奥の階段を登るとそこが工房で、乾燥中の反物の下をくぐってお邪魔する。
スタッフは、稲木久さん・稲木昇さん・河村玲子さん・稲木実さんの4名で、今日は河村さん以外の皆さんにお目にかかれた。久さんが図案、昇さんが工芸の技術的作業を受け持っている様だが、素晴らしい連携プレーで一枚の着物に仕上がる。染めの工程を間近で見るのは初めてだったので、見る物、聞く物、全てが興味深くて面白い。百聞は一見に如かずとはよく言ったもんだ。とても楽しく大変勉強になった。今度からは、友禅を見ても「おぉ、この柔らかな線はもち糊?」なんて鑑賞できるかもしれない。
見学のレポートは、さらProjectのサイトで後程公開される予定なので乞御期待。
最後に、作品展に入賞した久さんの作品の数々を羽織らせていただいた。衣桁に掛けてある着物も素晴らしいが、身に纏ってみるとその美しさには声も出ないほどだった。なんか、友禅って女心をメロメロにする力があるね。
お話を伺うと、こちらの工房では直接のオーダーもお願いできるそうだ。自分の体形や好みの色・柄、柄出しの位置など、予算に応じて作ってもらえる。考えてみたら、標準寸法で百貨店や呉服屋に並ぶ友禅の方が不自然なわけで、これからは着る人と職人さんがもっともっと近づくべきだと思う。久さんも「何でも相談して」と、同様な意見をおっしゃってくださった。本当のお誂えはこうでなくちゃ。私も、いつか自分にぴったりな友禅を作りたい。ま、その前に貯金ですけど、私の場合。(笑)
気がつくと、外はとっぷり暮れていた。
染色工房稲木の皆様、今日は貴重な時間をどうもありがとうございました。
そして、ここに案内してくれたのりさんにも感謝!
楽しい一日でありました。
●染色工房稲木
http://www.asahi-net.or.jp/...
●さらProject
http://www.sala33.com/...
(ここを主宰しているのりさんも、最近真楽メンバーに!)
※写真
上:乾燥中の反物。一年中ストーブがかかせない。
中:昇さんの作業を見守る見学者達。
下:イグアナは実さんのペット。この辺もユニーク。 |
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2004.3.12 [金] 春の海 |
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問い合わせがあったので追記。
10日の日記で書いた宮城道雄の随筆集は、
「新編・春の海」という岩波文庫。
<ISBN4-00-311681-X>
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/...
※写真は、ここで使っていたと言うステッキ |
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2004.3.10 [水] 雨の念仏荘 |
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「春の海」などを作曲した盲目の筝曲演奏家・宮城道雄は、葉山に別邸を持っていた。
雨の念仏荘と言う。
この建物の五年がかりの修復が完了し、建物全体が大きな茶室とも言える美しい空間が蘇った。これを機に修復の記録を映像で残したいと、その制作を承る。その為、天気のいい日はここんところ撮影だった。スタッフを雇う予算は無いので、全部自分たちで動く。大勢のスタッフを集めて制作する仕事もやりがいがあるけれど、好きな物をマイペースで制作していくこんな仕事はじつに葉山っぽくていい。感謝。
宮城道雄は、邦楽家という仕事柄か、残された写真のほとんどが着物姿だ。海外演奏などでピシッと羽織袴を着ている姿もいいが、それこそ葉山で普段着をクタクタっと着ている姿がとてもオチャメで私は好きだ。縁側の日だまりで、柱の傷などを眺めていると、ふとそこに宮城道雄の気配を感じる。縁とはほんとに不思議な物だ。そしてやっぱり感謝の気持ちでいっぱいになる。
随筆家としても彼は素晴らしい才能を発揮した。視覚のない世界は、“目明き”の私には到底想像出来ないが、その世界はとても豊かで研ぎ澄まされている。四季の情景や失敗談などが、つい笑ってしまうほど軽やかな文体で綴られている。
ストレスでくたびれた人もきっと元気になれる随筆集だと思う。
※写真
上:路地を出ると真名瀬の浜。ワカメを干す春の風物詩。
中:離れの居室は、正面が海。音にも眺めがあるのだろうか。
下:自然光のみでの撮影はお天気次第。 |
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