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  朝から冷たい雨が降っている。 
今日は浜でどんど焼きの日。 
やってるかなぁ?と思いながら浜へ出ると、 
大きな炎と集まる町の人達が見えた。 
温かい珈琲と福餅やお菓子をいただき、 
炎の中へ去年のお札などを投げ入れる。 
そのまま手をかざす。 
暖かいなぁ。 
顔がポッポとしてきた。 
今度はお尻を向けて背中側を火にあてる。 
はぁ、暖かい。 
体のオモテ・ウラ・オモテ・ウラ....と、 
交互に炎にあたりながら、 
近所の人達とたわいないおしゃべり。 
ものすごく寒いんだけど、 
火の周りだけは暖かい。 
そこに人が集い、食べ物を分かち合う。 
それは火の持つ根源的なチカラだと思う。 
原始時代から続いてきた、 
ありがたくて幸せなニンゲンの営み。 
こんな小さな幸せを私は大切にしたい。 
セントラルヒーティングの部屋を飛び出して 
三回目の冬。 
火が身近にある暮らしは、心がぬくい。 
 
その後、 
新しいお札を求めにバスで森戸神社へ行く。 
と、あいにくの雨の中、結婚式だった。 
参列は私の前を通り過ぎて本殿へ消えた。 
さて、お札。 
でも作務所には誰も居ない。 
宮司さんは結婚式が終るまで戻らないらしい。 
20分程だと言うので待つ事にする。 
どこの誰かは知らないけれど、 
「お幸せにね。」とお祈りし、 
作務所に戻った宮司さんからお札を受け取り、 
再びバスに乗って帰宅した。 
 
着ていた着物が、燻されて煙り臭い。 
でも嫌いじゃないんだ。 
冬の匂い。  |