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2005.3.28 [月] 雨の銀座 |
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東京に出て色々。
まずは、銀行関係の処理を新橋で済ませ、「銀座たくみ」へ寄る。
のれんの生地を探しているのだけれど、今日も出会いは無く。
ずるっと横移動して、小松屋へ。
下駄の修理の相談とかかと修理。
いくらプロでも欠けた下駄は元に戻せない。(泣)
いただいたチケットで最終日の「池田重子展」。
相変わらず、すごいコレクション。
今回は特に帯留がこれでもかという程の展示。
やっぱりどうも私は、着物の“布”や“糸”が好きらしい。
帯留はさらっと流す。
展示を見て、そのまま「日本のおしゃれ展」。
お目当ては黒田商店さん。
都会で履けるシャープな下駄が欲しかった。
欲しいイメージはあったので、相談してさほど迷わず決定。
きっぱりと潔く。
葉山には似合わないからお出かけ専用の“下駄”。(笑)
雨は相変わらずけっこう降っている。
今日は洋服。
バッシューに押し込んだ足が窮屈で痛い。
鼻緒でひっかけるだけの履物に慣れた足には、
布製の靴でもなんだか辛い。
伊東屋でサクッと買い物を済ませ、
行った事の無かった「アンティークモール銀座」へ。
時間が無かったのでそれぞれのお店を軽く見て回る。
銀座の端っこにこんな場所が出来てたのね....と、今更。
最後に、Ecru+HMで今日からの
「津田明子展-島の暮らし・日々の布-」へ。
http://www.ecruplushm.com/...
心を鷲掴みにする小さな布を見つける。
石垣の糸をベースに赤城の糸、三年寝かせた藍染めの糸、
繭の色そのままの糸。糸がきれいな布なんだなぁ。
さりげないけど、顔の近くにあると素敵だろうなぁ。
半襟に使ってみたい....と話したら、とても喜んでくださった。
小さな布には、石垣の自然や津田さんの思いなどが織り込まれ、
私はそのきれいな布を身につけられる幸せに感謝する。
今日、思ったこと。
時間の使い方・お金の使い方、そこに個性が現れるのかも。 |
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2005.3.21 [月] 100年前のお雛さま |
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写真のお雛さまは、新年会で集った「音羽楼」に飾られていた約100年前の物。
この別荘の創建者である玉塚家に伝わる由緒正しいお雛さまだ。
とても高貴で、上品なのだけれど優しそうな顔立ちに、うっとりと見とれてしまう。
大切に保管されてきた為、保存状態が大変良く、すべての素材が“本物”である。
絹地の着物地、髪飾りの珊瑚、蒔絵の金、ミニチュア琴は象牙、簪の銀細工、べっ甲....などなどは、じっくりと細かな観察をすればするほど“本物”の力を感じた。
今日は、このお雛さまを片づけにいらっしゃった持ち主にお目にかかった。
この別荘の創建者の娘さんである目の前の女性は、まるでこのお雛さまの様に美しく上品な方だった。子供の頃のここでの暮らしをいろいろ伺う。兄弟姉妹にはそれぞれにお付きの人が居て、夏の別荘暮らしは、生活道具一式を運び込み、「日帰りなんてとんでもない」という人と物の大移動だったそうだ。いわゆる“別荘族”と言われた上流階級の暮らしぶりを聞きながら、品格というのは持って生まれた血筋だなぁ....などとぼんやり考える。
着物の事にも話が及ぶ。
昔は、身分によって着る着物は違った。女中は綿や紬の絣だし、粋筋の人はそれっぽい衣装として、良家の子女は伝統柄の柔らか物。立場によって着る物が決まっていたし「それが当たり前」だと思っていたと言う。
今は、どんな着物だって自由に着る事が出来る。着ているものから身分を推測される事もない。それだけ、女性の生き方が多様になったのだろうと思う。反面、今は一人の女性が「奥様」も「女中」も「職業婦人」も全部やらなければならないわけだ。
自由と不自由。
お雛さまは、優雅で高貴だけれど不自由な気もする。
いや、不自由だからこそ、何かに守られて、優雅で高貴な雰囲気を醸し出せるのか。
お雛さまと、お雛さまの様な女性に会って、そんな事を考えた。 |
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2005.3.13 [日] 布と語る |
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日曜日の午前中、お風呂場で木綿の着物を洗う。
この館山唐桟は一衣舎さんの洗える仕様の仕立てだから、安心して洗える。
金たらいに粉石鹸を少し溶かし、そこへざぶぶぶぶんと畳んだ着物を沈め、糸と布が充分に水分を吸収するのを待つ。水から引き上げてまた入れて優しく押し洗い。何度も。糸と糸の隙間から砂やほこりが石鹸水と一緒に吐き出される。繊維の隙間を水がいったりきたりする。布が「あぁぁ、気ぃ持ちいぃいぃぃぃ!」と喜んでいる....気がする。衿と袖口と裾は、柔らかいボディブラシで優しく洗う。「あっ、そこそこ」と布が言う....気がする。(笑)水を取り替えながら押し洗いしつつ濯ぐ。何度も。
春とは言え、足の裏のタイルが冷たい。もちろん水も。
こんな風に手洗いはなかなか大変な作業だ。
真冬はちょっとやりたくない。
でも、糸や布と語り合いながら丁寧に洗う作業は、とっても好きだ。自分が纏う布はなるべく自分で洗いたいと思う。布と語り合いたいと思う。
洗濯機は便利だ。でも、きっと、こうした布との語り合いは出来ない。機械に洗ってもらうわけだもの。なんだか便利だけど、ちょっと寂しい。とは言え、軽い脱水は洗濯機任せ。ココはお任せ。
裏庭に干す。パンパンと叩いて形を整えながら、風をいっぱい孕んで、水分が大気の中へ逃げていく。庭の梅でめじろが遊ぶ。とんびはくるりと輪を描く。
夕方には、ふうわりと糸が蘇り、さっぱりとした布。
キモチイイ日曜日。 |
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2005.3.10 [木] 別荘ツアー |
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地元のボランティア活動で、ご近所ガイドさんの日。
http://www.kanshin.jp/...
ここのところ忙しかったので、お引き受けできず、今日はかなり久しぶり。
元職場仲間という9名の女性グループを二人のガイドでご案内した。
このツアーの一番の活動目的は、葉山の別荘や景観の保存と町づくりの為....なのだけれど、私自身もかなり楽しくガイドさんをやらせてもらっている。初めてお目にかかる色々な方と半日お付き合いするわけで、それがとても新鮮だし学ぶ事が多いと感じる。今までは、あうんの呼吸で分かりあえるスタッフや、初対面でもその道のプロなど、いわゆる業界用語が通じ合う人達との仕事が基本だった。もしくは、もくもくと一人で作業する仕事。だから、ガイドの様な不特定多数の様々なジャンルの人と、利害関係無くお話するのは面白い。しかも、自分の住んでいる近所の自慢話が出来るわけだし。(笑)
今日も、一色の浜を案内してたら、天然若布を収穫し終えた漁師さんに出会い、その場で採ってきたばかりの若布を分けてもらう。私が「若布のしゃぶしゃぶが美味しいんですよ。」と自慢するものだから、皆さん遠くからいらっしゃった方も、1kgづつの若布をビニール袋に入れてもらってお持ち帰り....と相成った。帰りの横須賀線、車内が磯臭かったかもしれないな。(笑)
こうした活動も、やっぱり自分が楽んでやらないと続かないと思う。
抱えていた仕事も片づき始めたので、またぼちぼちガイドさん業も復活な兆し。
※着ていたのは、
・館山唐桟の長着/斉藤さんの無地
・絹竹素材の長襦袢/一衣舎
・館山唐桟五十鈴縞と唐草模様更紗の昼夜帯を唐草を表にしてお太鼓
・青白コンビの細目の帯締め
・卵色の縮緬帯揚げ |
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2005.3.9 [水] 豊後梅 |
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裏庭の梅が一気に咲き始めた。
お隣さんに教えていただいたのだけれど、
この梅は、どうやら「豊後梅」という種の様だ。
果樹として栽培される梅の変種らしい。
調べたら、
直径5センチ程の大きな梅の実がなる....と、
どこかのサイトに書いてあったが、
確かにこの梅も大きな実がたくさんつく。
遅咲きで、ほんのりピンク色。
青空と三ケ岡山の稜線とふうわり咲いた豊後梅。
一日づつ暖かくなり、命がイキイキと元気づく。
なんとなくウールな気分ではなくて、
古着の絹物を身に纏う。
昼間はコートもマフラーも、もぅいらない。 |
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