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2006.11.25 [土] バリ島の手紡ぎ木綿糸 |
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熱帯の楽園と言われるインドネシア、バリ島。
憧れて最初に訪れた80年代後半から、何度も第二の故郷のように通い詰めている。バリから教えてもらった事はとても多く、日本人としての誇りを感じられるようになったのも、きっとバリに通っていたから。自然と共に暮らし、善悪のバランス感覚に優れ、平和を愛する人々。
人間が地球で平和に暮らす為に、バリから学ぶ事はきっと多い。
観光地としてのバリと、普段のバリはだいぶ異る。
バリの田舎の暮らしは、民族学者がこぞって調査するほど複雑で面白い。最初の頃は、床に穴が開いたオンボロジープでバリ島中を探検した。CDというメディアが出始めた頃、“ジェゴグ”という巨竹のガムランの存在を知り、バリ島の西の果て「サンカルアグン」という村を探してたどり着く。ここで始まった縁は、どんどん広がって今に至るわけだけど、ここには音楽だけじゃなく独自の織物も伝承されていた。バリの他の地域では見かけない浮織は、小さな地機で織った独特の布。素材は木綿で、カラフルな色は草木染めではないらしい。何枚か入手してストールとして使っている。
さて、数年前に訪れた時、このサンカルアグン村で育った棉の手紡糸をもらってきた。手紡したままの状態でビニール袋に一袋。どうしたものかと考えあぐね、一衣舎の木村さんに相談した。その後、アジアの手紡糸を上手に扱う京都の川村成さんを紹介していただいた。川村さんは、ここ数年の一衣舎展でもおなじみの若手のホープ。半巾帯にならないか?と糸を託したら、経緯ともにこの糸を使うと足りないらしい。「とても柔らかくいい糸ですね」とおっしゃってくださるので、ならば無理せず、素材として自由に使っていただく事にした。
そのまま私の記憶から消えていたこの糸は、この秋、素敵なマフラーになっていた。川村さんが、糸を染め、手織りして、プレゼントしてくださったのだ。じんわりと嬉しさがこみ上げる。体に巻くと、木綿の素朴な暖かさに包まれる。手仕事のぬくもり。
この布は、これまで私が授かった縁を紡いで出来た布なのだ。ご縁の結晶。
どうもありがとうございます。大切に使います。
この布を見せたいという理由もあって、もうすぐまたバリに行く。
※写真はマフラー。
上:糸のアップ。生成り色は糸そのままの色。
中:全体的にあったかい茶系が素朴で素敵。
下:バリの地図。赤丸がサンカルアグン。青丸がベースにしているUBUD。車で3時間位の距離。 |
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2006.11.19 [日] 陰影礼賛 |
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日本的な美しい時間が流れていた一日。
冷たい小雨が降る茅山荘に数寄者が集う。
そこかしこの木々が色づき始め、
ハラハラと赤い葉が川面へ散る。
薄暗い屋内から眺めると、
窓の外の景色が絵のように映える。
障子越しの光が映す着物姿の影。
囲炉裏の鉄窯から立ち昇る白い湯気。
日本的な美にとって、
暗さは要なのかもしれないと思った。
音の景色も美しかった。
衣擦れの音。
湯の湧く音。
雨の降る音。
竹薮の上を騒めく風の音。
素養も教養も無い私には分からないけれど、
たぶん、この空間に相応しいそれぞれの道具。
暗くて静かな空間に身を置くと、
脳は情報を得ようと五感を研ぎ澄ませる。
静謐な時間が本来の自分に目を向けさせる。
美しい時間の中で、
人としての格を考えさせられた。
今回の様なイベントでなければ、
立ち入る事の出来ない世界だけれど、
快く一般公開を許してくださった主に感謝します。
貴重な一日をどうもありがとうございました。 |
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2006.11.16 [木] 色無地 |
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先日の日記に書いた葉山庭園ミュージアムのイベントのひとつに、「茅山荘の茶会」がある。“近代最後の数奇者”のひとりに挙げられる畠山一清が創建者で、葉山で最も美しい別荘と言われる茅山荘。ここを会場に、現在のオーナーが席主となり茶会が行われる。お茶の事に詳しくない私でも、なにやらスゴイ....という事がまわりの反応から伝わってくる。今回は、主催する地元NPOのスタッフとしてお手伝いに入るのだけれど、どうも全てにお茶のルールが適用され、NPOスタッフも着物で対応する。
で、そうなってくると、紋付色無地が相応しいとの事。
若い頃に作ってもらって、一度も袖を通していない若草色の色無地があるので、先日実家に取りに行った。帯も、母の箪笥から白地に糸菊の袋帯を借りる。白の冠の帯締めと蘇芳香色の帯揚げも、ついでに母の箪笥から。
これまで色無地は無難な装い....というイメージがあり、あまり興味が無かった。でも、今回ちゃんと手に取って、組み合わせなどを考えていると、これはこれでシンプルで奥が深い装いなのだなぁと、新鮮で面白かった。茅山荘は、山荘風な侘び寂の世界なので、華美でない抑えた装いが似合うと思う。また、「お客様を迎える」という気持ちを装いに表す場合、確かに色無地は控え目で無敵だ。そして、そうした制約の中で、更に“相応しい装い”を目指すのだから、難易度は高い。なんだ、ちっとも無難ってわけじゃないじゃん。(笑)
シンプルだからこそ、ごまかしが効かない装い。
色無地も面白いかも?と認識を新たに、四半世紀寝かせた色無地をもうすぐ着る。
※写真を撮ろうと広げたら、下前に落款が入っていた。
「梶山伸」とある。調べたら加賀友禅の作家の様だ。色無地なのに....? |
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2006.11.14 [火] 焼き上がり |
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しょうちゃんも報告してますが、
平川さんの工房で土いじりをさせてもらった結果が届く。
うわぁ〜!素敵だぁ。
いや、土と釉薬が魅力的なので、
形はどうあれ素敵なのだ。
同梱されてた平川さんからの手紙には、
+++++
お二人の作
とても素直にスットして
いて、良いと思います。
+++++
....と、ある。
スットの上に黒ポチ。
嬉しい。
確かに頭であんまり考えずに、
手の作りたがる感じで作った。
しかし、素材というか本質が魅力的だと、
出来上がった物も輝くのだなぁ。
深いなぁ。
※写真は、
上:私の結果/総菜鉢・片口・ぐい呑み
中:ぬほりん作/湯飲み・ぐい呑み・小鉢セット(シチューボール?)
下:私の片口の単体ショット
ちなみに、ぬほりんは初めての陶芸でしたが、ぽってりした湯飲みはとても素敵な仕上がりでした。手に納まる感じも良かった。陶芸、面白いなぁ。 |
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2006.11.8 [水] 葉山邸園ミュージアム |
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葉山を散歩していると、素敵な昔の別荘や旧家をよく見かけます。でも、最近は急速に開発が進み、そうした建物があっと言う間に壊される現場もたくさん目撃しました。とても哀しく思いますが、とは言えただ単に「残せ!保存しろ!」と声をあげるだけでは、何も解決しないようです。どうすれば、この素敵な景観を次の世代に残せるのでしょう。そんな事を、県と住民が一緒になって考えるため、今年から湘南邸園文化祭が始まりました。葉山邸園ミュージアムは、葉山からの参加企画です。
私の秋は、これらのイベントスタッフとして大忙し。私に出来る事は小さいけれど、でもきっと何もしないよりはまし。頑張ります。
古い建物が好き。
景観保存やまちづくりに興味がある。
そんな人には、なかなか魅力的なイベントもたくさんあります。
締め切った所も多いし、たくさんあり過ぎてちょっと分かりにくいかもしれませんが、秋の湘南方面には掘り出しイベントが隠れています。探してください。
そして、着物が似合う空間ばかりなので、着物で是非!
※写真は、
上:旧宮城道雄別荘「雨の念佛荘」
下:旧畠山一清別荘「茅山荘」 |
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2006.11.3 [金] 田んぼのその後 |
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今年の春に雑草取りを手伝った田んぼが、収穫を迎えたので行ってみた。「不耕起農法」という、無耕起、無肥料、無除草、無農薬、無剪定....な自然農法で育った稲は、収穫量こそ少ないけれど、とても立派に育っていた。何もしなくても、病気にもならずちゃんと育つんだね。籾を剥いて、生のお米をかじってみたら甘かった。今日は、足踏み脱穀機で脱穀作業。なんだか、一粒一粒の籾が愛しい。このお米は、田んぼを手伝った人が集まって皆で食べる。
自然の恵み。
自然に生かされている事を実感する田んぼでの一時。
帰りがけに、もんぺとひっぱりを脱いで、友人のグループ展へ。彫銀の草(kaya)さんのかんざしがとても素敵だった。メキシコで彫金を学んだそうで、モチーフが面白い。和の小物も、こうゆう若いアーティストの新しい感性でもっともっと自由に生み出していって欲しいなぁと思った。 |
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2006.11.2 [木] 形を作る |
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キーワードにもした先日の平川鐵雄展でひょいひょいと話が進み、昨日は、守谷にある平川さんの工房へ器を作りに行った。もうずいぶん前から「茶碗でも作りにおいで」とおっしゃってくださっていたのだけれど、なかなかスケジュールも合わず実現しなかった。でもそんな事を言っていたらいつになっても叶わない。思い立ったが吉日、いけいけどんどん!
というわけで、相棒としょうちゃんの三人で、巨匠に手ほどきを受ける秋の一日。
平川さんは、いつもハッとする事をぽろりとおっしゃる。見えないナニカを形に表現していくのが仕事だからか、おっしゃる事はシンプルで鋭い。昨日もいっぱい発見があった。
実は“書”に関しても、平川さんは心の師匠なのだ。昔、平川さんの書く文字が好きで、「私もこんな風に書きたいけど、どうすればいいのかな?」と聞いた時、「そんなものお習字じゃないんだから、好きに書けばいいさ。」と言われ、「あぁなるほど。」と、シンプルな気持ちで筆が持てるようになった。
師とは、教えてくれるのではなく、気付かせてくれる人なんじゃないかな?
そういう意味で、平川さんは私の師匠なのだ。片思いかもしれないけど、とにかく勝手にそう思ってる。
器作りは、葉山での陶芸教室通いが役に立ち、扱い難い特殊な土でも、なんとか思い描いた形を作る事が出来た。私は、きっとこの日の為に、陶芸教室で土に親しんできたのかもしれないなぁ。総菜鉢と片口とぐい呑みを作った。
焼き上がりがものすごぉ〜く楽しみだ。
※写真は、
上:工房の内部。のどかで落ち着く空間。
中:片口の肝心な部分、口の先のかえしを作って見せてくださる平川さん。
下:ずらりと並んだ土と薬の見本。土や灰は、日本中を掘りに行ったり集めたり。平川さんの器は、ナニ焼きと分類されないどこまでいっても平川さんの器なのだ。 |
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2006.11.1 [水] 落ち葉の絨毯 |
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霜降が過ぎ、まもなく立冬を迎える今日この頃。
ご近所での会話に「家はストーブを出したよ」
という声も聞かれるようになりました。
今時分に吹く寒い北風を“木枯らし”と呼ぶそうですが、
家のまわりの道や庭にも枯れ葉がたくさん落ちて集まり、
落ち葉掃除が大変です。
でも、カラフルな落ち葉の絨毯もいい感じ。
葉山もそろそろ冬じたくです。 |
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