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  家には、野菜を売りにくる女性が二人居る。
 
 
ひとりは、ママチャリの荷台にトロ箱二段重ねで芦名からやってきて、葉山中のお得意さんを回っている。その脚力や働き者っぷりは、驚きと共に地元仲間の話題によく登場する。
 
すごく元気はつらつで若く見えるけど、なんと昭和5年生まれ。
 
三浦半島の道路はアップダウンがあって、自転車はかなりキツイ。
 
よく装備バッチリなロードレーサータイプの自転車族もトレーニングで走っているけど、おばちゃんは、ママチャリに野菜満載で鼻歌交じりで同じ道を走っているんだ。どうゆうこと?(笑)とにかく、おばちゃんの野菜は、見てくれは悪いけど、それぞれ味が濃くて美味しい。おばちゃんの元気の源は、きっと自分で作った野菜をモリモリ食べているからに違いない。
 
 
さて、もうひとりは、手押し車に野菜を積んで久留和という所からやってくるおばあちゃん。笑顔が
 
キュートで越してきたばかりの頃からファンだった。
 
ある日、このおばあちゃんから野菜を買った直後に、ママチャリおばちゃんがやってきたので「ごめん、今、買っちゃった。」と話したら、「おやまぁ、まだ売りに来てるのかぃ?あの人は、私よりもひとまわり年上なんだよ。」と、昭和5年生まれのおばちゃんが言う。
 
「えぇ〜?まぢですか?」
 
その後、ご本人に確認してみた。
 
大正7年生まれだった。90歳。
 
実は、ライフワークのつもりで、昔の葉山近辺の事をおじいちゃんやおばあちゃんにビデオでインタビューしている。このおばあちゃんも昨年取材させていただいた。とてもしっかりお話してくださって、葉山の別荘時代の面白い話がたくさん聞けた。こうした滋味深いエピソードを伝えていきたいなぁと思っている。昔の人は、ほんとうにスゴイ。
 
さて、今日も「ほうれん草、最後だから一束オマケするよ。」と、訪ねてくれた。200円。「ありがとう」と言いながら、小さながま口に売り上げた小銭をパチンと仕舞う。キュートな仕草。
 
いえいえ、こちらこそ、どうもありがとうございます。オマケのお礼に庭の花を小さな花束にして渡した。「あぁ、かぁわいいねぇ。」と、くしゃっと笑う。あぁ、かわいい。
 
 
我が家の食卓は、こんな素敵な人生の先輩達に支えられているのです。
 
野菜と共に、元気をもらって、たくさんの事を学んでいます。
 
私も、お二人のようなおばあちゃんになりたい。目標なのです。  |