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2004.2.29 [日] 4:27 pm

いざ館山へ。

今日は斉藤さんのお父様は外出されているということで、息子さんが迎えてくださった。織っているところを見せていただいて、まず機のユニークさに驚いた。杼(ひ)は手で投げるのではなく、機に組み込まれた糸を引くと杼が自動的に動いてくれる。故・柳悦孝氏が女子美で考案された「バッタン」という機なのだそうだ。この機は良く考えられていて、経糸に負担がかからないようにもなっているという。

矢車附子やコチニールなどの染料も見せていただく。科学染料を使っているという赤も、自然染料を重ねて、他の色と馴染む色合いになっていた。藍で染める色は6種類(瓶覗き—上紺のグラデーション)だけれど、縞によって少し染め色を変える事もあると仰っていた。

糸のことも質問。80番手はエジプト綿、60番手はエジプト綿と米綿の混紡、42番手は米綿(べいめん)を使っている。エジプト綿は繊維が長いので糸を細く紡げるのだそうだ。染められる前の80番手の糸は少し茶がかって、光沢が美しい。そして何を訊いても隠したり誤魔化したりすることなく教えてくださる斉藤さんのお人柄にも感動してしまった。

地中に埋められた藍甕も見せていただいた。藍を染める作業は風のない晴れた日に行うことが多く、特に冬の乾燥した日が向いているという。なぜ風がない日が良いかというと、館山は海が近いので潮風の塩分で色が変化してしまうからだそうだ。気圧によっても染めあがりは変わる。染められた色は、その日のその時間の自然によって決まってくるのだ。

さて、恋した反物は私を待っていてくれたので、近いうちに木綿の着物が1枚増えそうだ。染められた時の自然がうつされた藍色の唐桟。これから更に時間をかけて良い色に育てたいな。

画像左:今日の着物(藍色の帯締めをおろした)
画像右:今日のてぬぐい(花喰鳥)

(カメラを忘れてしまった為に館山の画像はありません...)

2004.2.25 [水] 9:18 pm

仕事を終えてから、会社の前にあるタリーズ(スタバボイコット中http://palestine-heiwa.org/...)へココアを買いに行った。なんと大学の先輩がその店で働いていた。その先輩とはキャンパスで3回程度話しただけなのに。向こうから話し掛けてくれたのだけれど、よく私がわかったなあ。

ココアを飲み終えた後はKバレエカンパニーの公演を1幕だけ観た。幕間に帰ろうと館内を歩いていると犬子さんhttp://www.kanshin.jp/...がペリエを持って歩いているではないの!びっくりー。犬子さんもバレエを観にきたのだそうだ。「2幕が面白いのに」と犬子さんとお母様に言われ、後ろ髪引かれながらも帰宅。

今日は「ばったりびっくり」な1日だった。

2004.2.24 [火] 11:17 pm

日曜日に館山唐桟の斉藤家へ訪う事になった。OZONEで見た、経と緯に白い糸が少しづつ入った青い縞、あの白の入り具合に心が動いた。恋してしまった。というわけで、日曜は念願の館山。楽しみ!

画像左:ミケランジェロの天地創造の様な枝ぶり
画像中:昨日の湯島の白梅
画像右:この季節に活躍の梅の小銭入れ

2004.2.23 [月] 10:03 pm

梅といったら菅原道真公でしょう!と、道真公が祀られた湯島天神へと梅見にでかけた。境内に入ると白梅の匂いが迎えてくれた。小さな神社なので、梅の木は少なかったけれど、花は盛り。梅の香を存分に楽しむことが出来る。目を閉じてしばしの間、梅を楽しんだ。

牛を撫でて、天神さんを後にする。向かうは道明http://www.kanshin.jp/...。湯島天神からは歩いて5分もかからない。

店内は写真で見慣れた風景。そこに自分がいると思うと、少し不思議な気分になる。ずらりと並んだ帯締めの中ですぐに青系の濃い色に目が行った。冠組の縹色と藍色を手にとったが、より濃色の藍に決める。もっと悩むかと思ったのだけれど、すんなり決まってしまった。

『家庭画報』に掲載されていた雪華紋様下緒が素敵だったと伝えたところ、「あれも帯締めにできます」と教えていただいた。ただ、雪の結晶柄ひとつにつき数萬円するのだそうで、お値段は張りそう。いつか誂えることができたらなあ。

名前をいれるのも同じで、難しい文字は少し値が張り、一文字幾らという事になるのだそうだ。漢字でも平仮名でも組むことができるけれど、どちらが奇麗に仕上がるかは名前によって違う。私の名前は画数が多いので、平仮名になりそうだ。

帰りに近所の呉服屋さんにも寄り道をする。ウィンドウに飾ってあった都城の大島紬をみせていただいた。椎と五倍子で染められた淡い色の大島。ポツ絣が縞状に並んでいる。あー。体にあてたら離せなくなりそう。他にも大島を見せていただいたけれど、やっぱりその大島が一番好きだった。

さて、誕生祝いの伝言をくださったみなさま有難うございました。暖かい言葉に感激至極。

画像左:梅の匂いを移そうと おろした帯+綿薩摩
画像中:湯島天神
画像左:藍色の帯締

2004.2.22 [日] 6:52 pm

午後過ぎになか志まやhttp://www.kanshin.jp/...へ伺う。仕立てあがりの着物は既に縁組が決まってしまったものばかりで、やっぱり初日に行かないと駄目なのだと実感したのだった。中島さんの私物だという柴崎さんデザインの烏の浴衣が素敵だった〜。縞の唐桟に染めてあって、黒い烏が渋い。烏柄を見てしょうさんの日記を思い出し、八咫烏や金烏の話などをする。烏って意外に縁起が良いのよね。

せっかく伺ったので、自分への誕生日プレゼントの意味もこめて保多織の半襟(一衣舎製)を頂戴した。一衣舎さんで見せていただいた時から気になっていたので丁度良かった。

銀座へ移動して銀座もとじのSALE。菱一の襦袢と、岡重の貝殻柄の襦袢が気になった。ブルーグレーの千筋江戸小紋着尺も、あててみたらすごく良かった。淡い寒色ってどうしてこんなに魅力的なのか。困った困った。

伊勢型は1枚の型紙で100枚以上染められるものだと思っていたら、さにあらず。染められる小紋は20枚もないのだそうだ。これには驚いた。

さて、今日は誕生日だった。また1年、素敵に年をとることができるようにと祈る。

(画像は友人から届いたカード。ありがとう。)

2004.2.20 [金] 11:47 pm

本屋で立ち読み+買い物。

『日本の美術 No.453 染織品の修理』(至文堂)http://www.maruzen.co.jp/...
大学時代によく読んだ雑誌だったこともあって、手にとる。学芸員の資格を取得しなかった私には、珍しい話ばかりだった。修理に使用する絹糸は日本の原種に近い繭「小石丸」からつくるのだそうだ。当然ながら、品種改良された繭より小さい。

『美しいキモノ』2004年春号( アシェット婦人画報社)
今日が発売日だったのね。巻頭特集では『日本の美術』に掲載されていた小袖の写真も...。復元の過程を少しでも知っていると、小袖の写真を見る面白さが増す。型絵染めと長襦袢の頁も気になった。

『別冊和楽』(小学館)http://www.kanshin.jp/...
江戸小紋にうっとり。地機の無地結城も気になった。

2004.2.16 [月] 10:03 pm

会社に出入りしているクリーニング屋さんに「シミ抜きに使う白い粉と言われたら何だと思います?」と訊かれる。TVで京都のクリーニング店が「タンパク質を分解する白い粉、企業秘密です」と言っており、その粉の正体が気になって仕様がないらしい。

その粉のヒントは
・45度くらいの湯に溶いて使う
・普通のクリーニング店では使わない
・タンパク質を分解する
・偶然水に落として、シミ抜きに使えると発見した
・生地をいためない

「うぐいすの粉?...いや、パパイヤ?」。
とりあえずその2つの名前を挙げておいたけれど、私も答えが気になる。

2004.2.14 [土] 2:19 am

京友禅のTV番組で、着物を表装した襖が紹介されていた。投扇の扇や 伏籠にかけられ香を焚きしめている着物の部分に、古い友禅が組み込まれている。この目で見てみたい!と、ネットで検索。どうやら一般公開されているらしいことをしるhttp://www.kodaiyuzen.co.jp/...。京都、行かなきゃ。

襖と云えば、私はずっと襖を「からかみ」と呼んでいた。唐紙ではない襖も私にとっては「からかみ」だった。母がそう呼んでいたせいだ。襖ばかりか障子までも からかみだった気がする。からからと横に引く扉は みな区別なく、からかみと呼んだ。情緒もへったくれもない。

障子の紙をはりかえる手伝いは好きだった。その日ばかりは堂々と障子紙を破くことが出来たから。糊を塗るために障子が外され広間に寝かされると、部屋の仕切りがなくなる。そうして広くなった部屋は風通しが良くて新鮮な気持ちがした。寝かされた障子も、木で組まれたただの格子のようになり、新鮮に映る。その新鮮さがまた障子のはりかえが好きな理由となった。

今の部屋には障子がないのはすこし寂しい。いつか障子のある部屋に住みたいなあ。

さて、伊佐ホームズ駒沢 ギャラリー櫟 http://www.isahomes.co.jp/ で3月に田島隆夫展が催されるようす。これも観に行きたいところ。

2004.2.12 [木] 11:25 pm

こへさんのHPに紹介してあった似顔絵作成サイトhttp://www.abi-station.com/...でぴこっとな。

たしかに5女http://www.tbs.co.jp/...にも似ている。

2004.2.9 [月] 5:14 pm

お花を活けなおす。「お花を大切に」という言葉を思い出しながら、桜の芽が落ちないよう気をつけた。桜もアイリスも昨日より開いているのがわかる。2月になると、少しづつ草花が芽ぐむ。如月という言葉は萌揺月(きさゆらづき)からなったともきく。そんな季節に活花を始めることができて良かったな。私も奇麗に花を咲かせることが出来ますように。

さて、活花。花瓶に投げ入れると、どうしても扇状になってしまう。単調なところに目をつむれば別に扇状でも良いような気もするのだけれど。駄目かしら。

お花を活けてひといき。KWになった落語協会インターネット放送http://www.kanshin.jp/...を観た。「くしゃみ講釈」で スル=アタル という話をしていた(あたりめ、髭をあたる 等)。これと似たような話で コン は 来ん に繋がるので「こんにちは」は縁起が悪い。興行業では挨拶は必ず「おはようございます」なんて話があった。げんを担ぐ言葉には面白いものが多い。日本語って遊びがあるなあ。

2004.2.8 [日] 10:04 pm

活花 初体験の日。

お花は啓翁桜とアイリスに、花器は水盤(+剣山)にしてみた。まずは見様見真似で活けてみるが、空間が2つに分断されてしまう。しょうさんのアドバイスで2つの空間を繋げる一枝を投入してみると、不思議と一体感がでた。たかが一枝されど一枝。

指摘されて気づいたけれど、似たような流れの枝も2〜3本ある。そうか、同じような流れがいくつもあるからすっきりしないのね。指摘された点をどうにか活け直し、なんとか形となった。花を美しく見せながら空間を構成するのは、思うより難しい。

お花の後は、さっぱり美味しい豚しゃぶだった。ビールをちょっと飲んで酔っ払い気分。

家に帰ってお花を花瓶に移した。活けかえるのはまた明日にしよう。ビールを飲むと眠くなる。

2004.2.4 [水] 10:09 pm

昨日は、一人で黙ってまるかぶり。初めて京都で迎えた節分会の時は、「家族で恵方を向き、黙ったまま太巻きをまるかぶりする」という説明を、冗談とばかりに思ったのだけれど...。

NHK趣味悠々「香りを楽しもう」http://www.nhk.or.jp/...(毎週水曜)という番組を見た。リリコさんの日記を読んで、香道体験にも興味が湧いていたのでグッドタイミング。初回の今日は匂い袋づくりだった。誰が袖型の匂い袋を見た講師のかたが「(和歌でも)誰が袖といえば梅ですね」と一言。おお!そう言われてみればそうだと膝を打つ思いがした。

和歌の時代からぐっと時代はさがるけれど、江戸時代の梅見では梅の匂いをうつそうと、新しい着物ででかけたそうだ。どの時代の人も梅の匂いを袖にうつして楽しんでいたのね。

2004.2.2 [月] 5:56 pm

玄関の鍵が開かなくなって、朝からおおわらわ。12時近くになってようやく鍵を開けることができ、急いで太田屋さんへ向かう。

浜町の駅で いかつい体躯にザンバラ髪の着物の男性とすれ違った。一瞬「明治座?」と思ったけれど、すれ違う時に仄かに鬢付け油の匂いがして、はっとした。そういえば荒磯部屋が近くにあったんだ。(荒磯部屋は荒仁という力士さんがいる部屋)

太田屋さんではお願いしていた麻絽の襦袢を引き取り、ウールの着物を預けてきた。ご主人の見事な手さばき(しみ抜き)も拝見させていただいた。

そのあと青山で化粧品を買い、薬局で体脂肪を計測した。体脂肪が11パーセントから14.3パーセントへ増えていた。わーい。指もむちむちしてきたもんねえ。体脂肪率に喜びながら根津美術館方面へ向かった。美術館で「能面-序破急、そして華-」http://www.nezu-muse.or.jp/...を観ようと思ったのだけれど月曜休館。寒い中、美術館の正面まで来て閉館だった時の落ち込みようといったらない。がっくり。2/22まで開催されているのでまた来よう。

銀座へ移動して、型絵染めの帯めぐり。色々なお店へ行ってみた。見たものの中で作者のお名前を覚えているのは、佐藤圭子さん、 板倉眞理子さん、岡本紘子さん、森田麻里さん。同じ方のものでも雰囲気が違ったりして面白い。そして、たくさんのものを見てからでないと買い物は出来ないなと思った。たくさん見ているうちに自分の好みが見えてくる。

築添純子さんの着尺も見た。触らせてもらったのだけれど、なんとも形容し難い張りとしなやかさがあった。あれが本当に木綿なのかと思う。見て感動、触って感動。

今日見たものはとても手が出せる値段じゃないけれど、足があるうちに帰ろうと思った。じゃないと歩いて帰れないからね。

帰りしな、肺の中まで届くほど、梅の匂いがした。うん、良い匂い。
(画像は2月のカレンダー)

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