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地元の友人に誘われて、彼女の実家で行われる一族総出年末大餅つき大会(私が勝手に名づけた)に混ぜてもらった。
朝7時には迎えに行くから、と言われ、ずいぶん早くから始めるんだなーと思っていたら、実家の彼女のお母さんはもう6時から支度を始めていた。なんでも、毎年10臼以上は餅をつくので、このくらい早く始めておかないと日が暮れてしまうのだとか。
この日は、友人の夫の実家は年内に不幸があったために不参加となったが、他に、友人夫婦と子供3人、友人の両親、友人の姉夫婦と子供2人、友人の妹、友人の叔父夫婦と子供3人、友人の従妹夫婦と子供1人、が集まり、各家族の分以外に、近所の人に頼まれた分まで餅をつく。私も、我が家の分の餅をついてほしければ、お米を持参するかお米代をもらえれば一緒につくよ、と言われたけれど、せっかくなのだけれど我が家では毎年、お歳暮でもらったわずかなお餅すら食べきれないのでもう何年も自分では買っておらず、ここ数年分の食べ残しがたくさんたまっているので、と言って遠慮した。
それにしても早朝からの外での作業はなかなかきつくて、特にこの日は朝から風がつよく、気温もここ数日で一番の低さだったため、道具を洗い流した水が地面でそのまま凍ってしまい、まだ日が射してこないうちに炊き上がったご飯をつくときには、杵を持った人の足元がつるつる滑って恐かった。
餅つきの手順はこんな感じ。薪を燃やして釜に湯を沸かし、その上に蒸篭を二段載せてそれぞれでもち米を炊く。どっちかが炊き上がったら臼に移し、間髪入れずに杵でまず揉むようにして米粒をつぶす。米粒がばらばらにならなくなったら、いよいよぺったんぺったんお餅つき、である。ここまでの作業をちゃっちゃとやらないと、ご飯が冷えてなかなか餅にならないのだとか。また、杵でぺったんぺったんやるときも、力の強い男の人が一気にやったほうがよい餅になるのだそう。とにかく冷めないように、手際よくやるのがコツらしい。
つきあがったお餅は、まず第一号をその場で絡み餅やきなこ餅にして朝ごはんにし、それからお供え用の丸餅にしたり、あんこ入りの大福をつくったりして、残りはのし餅にする。つきあがったばかりの臼に手を突っ込んで、ほしいだけにゅーっと引っ張り出して豪快に食べる、おいしさよ!大人も子供もみんな一緒にお行儀悪く食べるのがまた、たのしくておいしい。こうした作業の合間に、いつのまにか誰かがカニを焼き始め、また誰かがイノシシ鍋(昨日獲ったものらしい)を作り始め、そして友人のお母さんが蕎麦を打ち始めた。皆、時々手を休めてはこういうものをつまんでいく。相変わらず外は寒く水は冷たいのだけれど、こんなごちそうに囲まれているのだから、あまり気にならないものだ。
この一大イベントを仕切っているのは、友人のお母さんとお姉さんだ。マンマ2人態勢で頼もしいが、友人によれば、お母さんはだんだんとおっくうに感じてきており、かといってお姉さん一人ではまだ仕切れないのだそうで、今年はやめようかと毎年考えるのだとか。
次々とお餅がつき上がっていくけれど、全員がやる気満々で参加している訳ではなく、特に男衆はいつの間にかいなくなっており、気が付いたらカニに夢中になっていたり、子供たちと缶蹴りやっていたり、そして早く来て手伝ってよ!とマンマに怒鳴られたり、それでも誰も来ないとまだ若い男の子が俺がやってやるよと手伝ってくれたり、で、なんだかんだでうまいこと収まるのがおもしろい。
頑張った甲斐あって、日が傾く前にすべて終了することができた。今年はいつもより少なかったそうで、だいたい10臼ついた。お米を持ってこなかった私も、結局少しおすそ分けをいただいてしまった。ごちそう様です。 |