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帰りの「さざなみビュー」の行き先を見ると新宿だった。
とにかく、これを着た自分に早く逢いたい…念の為用意していた一衣舎さんの電話番号メモを取り出す。
「今から伺いたいのですが、そちらはどこにあるんでしょうか?ここは…館山です。」
車内では、何度も反物の包みを開け眺めていた。裕司さんの織るところを見せて頂いたが、すごいスピードで横糸が走っていた。それでも、60番手の糸だと20時間以上かかる…そこにいくまでも幾多の手がかかっている「人の手のオーラ」?みたいなものがびゅんびゅん伝わってくる感じ。まだ先があるので、アルコールはいれていないのに私は相当酔っぱらっていた。
ぼうっとしたまま、「一衣舎」さんに到着。真楽の皆が好きだという気さくな木村さんと、しっとり美しい奥様に会えた。時間も遅いというのに沢山話してくれる内容がとてもおもしろく、つい長居をしてしまった。航空絹布の裾除けと胴裏を選ぶのは楽しい。初めての縞の着物に、初めて色のついた胴裏をつけることにする。振りからのぞく色が白じゃないなんて、贅沢。
そして、うちを出てから8時間半も電車にすわった(移動時間だけでも10時間)旅は終わった。でも、これから膨らむ着物の楽しみを思うと「まだまだ、もっともっと。」と欲は終わらない。恐ろしいところにハマってしまった…。 |