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い草の香りがここちよい。青々とした畳表がすがすがしい。ようやく玄関と客間に畳が入りました。
玄関の畳はだいぶ古かった。畳表は「中継ぎ」という手法で作られていて、今ではほぼ作られることのない珍しいものだという。2005年に竣工した京都迎賓館の大広間の畳にはあえてこの中継ぎ表の畳が用いられている。準備はい草の栽培からはじまったそうだ。
『京都迎賓館 ものづくりものがたり』を熟読した私は、この仕事に携わった人たちに尊敬とアコガレの念を抱いておりました。
そしたら今回工務店さんの呼んでくれた畳屋さんがまさにその大広間の畳を納めた方(以下「匠」と呼びます)なのだとあとから教えてもらい、ちょっと感動。チーム・ミヤタ、すごいじゃん!
家の畳の多くは「スタイロ畳」と呼ばれるいわば発砲スチロールを畳表で包んだ最近の畳に替わっていて、私はどうもこの感触になじめないのだけども、まだまだ使えるとのこと。今回はほぼ「表替え」のみお願いしました。
ただ玄関は床から新調することにしたので、床について相談していたときのこと。
「最近は藁床はダニの温床になるからと敬遠されることもあるけれど、本当はそんなことはないんですよ。確かに時に発生することはあるけど…。スタイロ畳はいわば断熱材。湿気が床上に上がってこないのは事実。でもそれは逆に床下に湿気が溜まることになり、部屋は快適だしダニの心配はなくても、建物の土台がやられてしまうことにつながりかねない」と匠。なるほど、なるほど。深く納得するとともに、匠が畳より家を主に考えていることに感動しました。畳屋さんだけど畳のみを見ていない。当たり前といえば当たり前。でも、今の世の中、自分の仕事さえうまくいって、自分にクレームが来ないことを優先させることのほうが多いのではないかしら。(畳の話、つづく) |