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フーの空間
小説『海底の機』 本・雑誌 本・雑誌



明治の西陣を舞台にした小説。
物語は「天皇さん」が東京へ行ってしまった明治初年からはじまります。

当時、西陣織の紋柄を織り出すためには、織手ともうひとり「空引手」が必要でした。
(空引手は機の上の花楼板に座って縦糸を上げ下げをするのがその仕事。参考写真:http://inet.museum.kyoto-u.ac.jp/...

西陣の糸屋さんで番頭をつとめていた吉田忠七は、いつまでもこんなやり方ではあかん、もっと効率的に織れるようにならなければ、と西陣織機の改良に励みます。東京遷都後の西陣の停滞したムードが彼を後押しします。彼の熱意が多くの人を巻き込み、フランス・リヨンへ渡り、日本にジャガード機、そして技術を持ち帰るに至ります。

物語の基本的な部分はすべて事実に基づいているようです。『むろまち』と同じく田村喜子さんが著者です。これまたすでに絶版となっていますが、図書館などでみつかるかも。

京都のその時代の風俗、明治期のパワーを教えてくれる小説です。
機のしくみのことも・・・物語の進行上、いっぱい書かれているのですが、こちらはムズカしくてなかなか言葉だけでは理解できなかったです。


【しょうせつうなぞこのはた】

田村喜子
文化出版局
1978年

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2005/4/16更新
2005/4/16 登録
3992クリック/ 2回更新
感想
05/4/18 モーリー  博多帯の機の上にも、外国製のジャガード機が乗っているのを見ました。
ジャガードが日本の染織に与えた影響はとても大きいのでしょう。ゼヒ読んでみようと思います。
05/4/20 フー  今の時代、「昔ながらの作り方」を尊ぶむきがありますが、さすがに空引機には戻らないですよね(笑)。ジャガード機はやっぱりすごい発明だったのでしょう。
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