| | てっさい堂の貴道裕子さんによる本『おびどめ』をきっかけに、帯留というものの魅力に気づいた人、取り憑かれた人、きっと少なくないと思います(はい、私もそのうちの一人です)。
その続編にあたる『おびどめ 2』が昨年12月に出版されました。前作と比べて“作者にとらわれず、可愛くて仕事の良いものを主として”選ばれた帯留が掲載されています。
1ページ1ページが、映画のワンシーンのよう。
本の帯に“小さな帯留にも春夏秋冬、森羅万象が宿る”とあります。突然風に煽られぶわっと花びらが揺れた瞬間の牡丹の花、時が来て水面にはらりとおちた蓮の一片の花びら、満開の桜の向こうに晴れわたる富士山を見たときの印象…などなど、一瞬をとらえて小さな帯留のなかに籠めた繊細な美意識と技術に感嘆のため息です。
主役たる帯留のすばらしさもさることながら、本づくりの面でも本当にスゴイ。帯留のバックになる布や紙、帯留に通された組紐のセンス、そして緩急ある配置に脱帽です。
例えば純銀の(いぶし銀の)椿は真紅の布の上に、春を告げる福寿草はやわらかい光の雪のような白い布にくるまれて、満開の葉桜はゆらゆらと風になびく柳文様の型染の布の上に、牙を剥きだしたコウモリはメタリックな墨色の布の上に。
たぶん数にして250くらいの帯留が、ひとつひとつ、これ以上ないくらいに最大限活かされた形で撮影されています。実物をみるより、この本を通してみたほうがその帯留のよさを知ることができるに違いない、と思います(つまり本として大成功)。
途中に挿入される著名な方々による帯留にまつわる短いエッセイもよいです。・・・とにかく絶賛。いい本です。 http://www.superedition.co.jp/...
| | | 貴道裕子 スーパーエディション
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2007/2/2更新 2007/2/2 登録 3817クリック/ 1回更新 |
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