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フーの空間
『天の虫天の糸—蚕からの着物づくり』 本・雑誌 本・雑誌



財団法人大日本蚕糸会・蚕業技術研究所が、37年の歳月をかけて研究し、2006年に生み出した新しい蚕は「オスだけが孵化する」品種、通称“プラチナボーイ”でした。

この本は、プラチナボーイ誕生までのストーリーと、それを商品として、結城紬や大島紬、白生地にして型染をほどこし世に送り出した「銀座もとじ」さんまわりのドキュメント。取材は1年がかりだったそうです。

蚕を育て、繭をとり、糸にして、着物にする。今このことを国内でまっとうするのは、易しいことではないと、いろんなところで耳にします。同時に日本の絹を見直すプロジェクトもいくつか起こっています。これもその内のひとつ。

雄だけが孵って雌は孵らないプラチナボーイ(雄のほうは白く細く、質のよい糸をはくと昔からいわれてきた)は、「家蚕の歴史は品種改良の歴史」ということを踏まえても、あまりに不自然というか、感傷的かもしれない抵抗を感じてしまいます。その点は最後までひっかかりつつも、この本はとても読み応えがありました。

今の日本の養蚕の置かれている現状をしっかり教えてくれているし、結城紬や大島紬などの作り手たちがたくさん登場し、それぞれ大変魅力的です。例えば結城紬は真綿問屋、真綿掛けをする人、糸問屋、染、織り手が登場します。繭から着物になるまでの道のりを楽しく読み進められました。おすすめです。

『天の虫天の糸—蚕からの着物づくり』
第一章:糸づくり、染め、織りのつくり手たち
第二章:蚕がたどってきた歴史、繭ができるまで
第三章:泉二弘明の着物哲学

http://www.rutles.net/...

【てんのむしてんのいと—かいこからのきものづくり】

1,995円
ラトルズ
長町美和子

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2007/7/31 登録
3924クリック
感想
07/8/1 しょう  私もこの本持っています。写真もいいですよね。装丁も好きです(山口デザイン事務所・山口信博+川添藍)。“雄だけ”というのは確かにひっかかる(笑)
フー  そう、写真もとてもいい。お蚕さんの交尾シーン(P116)の写真など、現代アートっぽいです。
えりりん  家蚕と野蚕、栽培と野生。“素材”を気にするようになってから、その大きな差に驚き、考えさせられます。そういう面からもプラチナボーイは象徴的な品種でした。この本は拝読していませんが、現状認識の為に読んでみようかな。交尾シーンもキニナルシ。(笑)
しょう  うんうん、美しいです、必見です>P116 ところで染色体で言ったら人間の女性がお蚕さんの雄なわけで、そうするとやはり軍配は女性?ってそう言う問題じゃないか(笑)
07/8/2 むかし桜  プラチナボーイは呉服店で勧められてから気になっていました。買いません(買えません。笑)でしたけれど..
08/3/19 しょう  保原の真綿掛けや結城の糸取りの話など、詳しく出ているのでお勧めです。特に結城オフへ参加した皆さま、当日の説明のフォローにもたいへん役立ちます。
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