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花兎の空間
死者の書 本・雑誌 本・雑誌

『死者の書』
2005年 日本 70分  
配給:桜映画社
監督: 川本喜八郎  
原作: 折口信夫(「死者の書」中公文庫)
脚本: 川本喜八郎  
音楽: 廣瀬量平
声の出演:宮沢りえ 観世銕之丞 榎木孝明 江守徹 黒柳徹子 岸田今日子
平成17年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞 他

※ ※ ※ ※ ※

原作は、大津皇子の史実と、當麻寺(当麻寺)の中将姫伝説(※)をもとに、折口信夫が書いた小説です。

これを川本喜八郎氏(NHK人形劇『三国志』『平家物語』等で知られる)が長編人形アニメーション映画として映像化しました。

難解といえば難解でもあり、この作品の美しさを語るには私の言葉では足りないこともあり、映画全体については、ただ、いい映画です、と言うことしかできません。


ですが、きものや布が好き、という目からはあれこれと。

主人公・藤原南家郎女(声=宮沢りえ)は蓮を集め、茎から糸を引き出し、機で織ります。
その工程が、映画でも非常に細かく表されています。

また、小道具の高機は当然人形サイズなのですが、実際に布を織ることができるように作られています。

人形の衣装もすばらしい。
下記のHPで人形の一部を見ることができますが、たいへん美しい布で作られています。
先ごろ発売された別冊太陽「川本喜八郎 人形−この命あるもの」に池田重子さんもメッセージを寄せていますが、川本監督は古代裂にも素晴らしい見識をお持ちらしいです。


DVDも発売されました。
本編「死者の書」(70分)
序章「ひさかたの天二上」(15分)
メイキング オブ「死者の書」(48分)
価格:3,990円(税込・個人視聴)
21,000円(税込・団体使用権付き)


※中将姫伝説
藤原家の中将姫は、阿弥陀如来と極楽浄土の光景を五色の蓮の糸によって織り表しました。これは今も国宝・當麻曼荼羅として伝わっています。また、中将姫の伝説も能「当麻」「雲雀山」をはじめ浄瑠璃や歌舞伎に脚色され、広く知られました。
(追記:曼荼羅の実物は錦の綴織りと判明しており、また、用いられている技術が極めて高いことから、現在では中国製と推定されているそうです。)


※川本喜八郎氏 2010年8月23日、肺炎のため死去。85歳。
(以下、asahi.comより)
 川本さんは、東宝撮影所の美術担当を経てフリーの人形美術家になった。人形を少しずつ動かしてコマ撮りする人形アニメに魅せられ、制作を開始。旧チェコスロバキアに渡り、世界的な人形アニメ作家イジー・トルンカ氏に師事した。
 帰国後、「鬼」「道成寺」「火宅」など日本の伝統的な様式美と人形表現を取り入れた映画を次々と発表。国内外の映画賞を数多く受け、高い評価を得た。人形美術を担当したNHK人形劇の「三国志」(82〜84年)と「平家物語」(93〜95年)では、情感あふれる人形を造形し、幅広い層に親しまれた。
 折口信夫原作の映画「死者の書」(05年)が最後の作品となった。07年、代表作品などを展示する飯田市川本喜八郎人形美術館が長野県飯田市に開館した。95年、勲4等旭日小綬章。


川本喜八郎公式HP

http://www.sakuraeiga.com/...

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2010/8/29更新
2007/8/17 登録
3227クリック/ 11回更新
感想
07/8/18 kazura  なんとも不思議な映画でした。
DVDで、細かいところを再確認せねば〜。
花兎  DVDにはメイキング映像もあるようなので、じっくりみられますね。
青衣  この映画、とてもおもしろかったですね。
當麻寺の国宝・當麻曼荼羅は残念ながら実際には、蓮糸ではないことが科学的に証明されていますし、中将姫が実在したかどうかも、いまだ証明されていません。
でも伝説上の人物が織ったという曼荼羅がご本尊というのが、興味深いですね。
花兎  >青衣さん
ありがとうございます。追記しました。
07/8/25 こうめ  今日、文京区の60周年記念で上映されたので見てきました。美しい映画ですね。監督もいらしてました。お人形も展示されていて、思っていたより小さいのに驚きました。今度奈良に行く時は当麻寺にも行ってみたいと思います。
08/5/4 花兎  BShiでの放送があると教えていただきました。
●5月15日(木) 午後11:40〜午前1:00
「世界の人形アニメーション(3)『死者の書』(川本喜八郎)」

その前後にも人形アニメの特集番組が組まれているそうです。
10/8/29 花兎  川本氏が亡くなりました。とても悲しいです。飯田市の川本喜八郎人形美術館では、9月5日まで入館無料、記帳台を設けるそうです。http://kawamoto-info.jugem.jp/...
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