| | 図説 着物柄にみる戦争 乾 淑子 編著
Images of War ; Kimono / Yoshiko Inui
戦闘機、戦車などの兵器や兵士を図柄にした、戦時下のきものを体系化した図説です。
日本は明治から昭和に、日清、日露、第二次世界大戦と、大きな戦争を経験してきました。
日本のきものの最盛期とは、明治22年頃〜昭和15年くらいまでの約50年間だそうで、西洋からの織機や染料の移入、需要の増加に応じ、質量ともに江戸時代を越えるきものの生産が成された時代です。これはちょうど日清戦争の開始(明治27年)から、日中戦争の最中に出された贅沢禁止令(昭和15年)までの時期と重なり、まさに戦争柄が隆盛した頃。明治30年代には、戦争柄が大流行となりました。
が、敗戦とともに着ることもできなくなり、戦争柄のきものは忘れ去られました。
はじめこの本を手に取ったとき、子ども兵士の柄が珍しく、また対照的に精緻な戦闘機や戦車との組合わせが奇異に思えて、読んでみると、戦時下の子供たちのきものだと書かれていて、衝撃を受けました。
国による戦時宣伝が身近な衣服にも及んでいたのかと思いましたが、どうやらそうではなく、どちらかといえば、兵士=英雄、戦闘機や戦車=かっこいい、というように吉祥柄としての認識のもとに流行していたようです。戦争柄は男児のきものと男性の襦袢が主で、花柳街の女性も襦袢に用いたとか。
きものとして見たとき、とてもモダンで大胆なデザインが多いのも、最盛期を思わせます。背中右肩から左腰にかけて大きく絞りの日本列島が配された襦袢とか、地球儀に桃太郎の絵本と破れた楽譜が描かれた一つ身とか、将軍柄の木綿着物とか、意匠も素晴らしい。とても興味深く読みました。
着物柄に見る戦争
各地で展示も行われるようです。
戦争柄の着物が、時を超えてやってくる
| | | 【きものがらにみるせんそう】
商品を見る 2,310円 インパクト出版会 2007/07
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2007/8/24更新 2007/8/24 登録 3672クリック/ 1回更新 |
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