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辛夷(こぶし)の空間
江戸売り声百景 ノンカテゴリ ノンカテゴリ

初キーワードでドキドキですが、えりりんさんやちといちさんに温かい励ましの言葉をいただいて拙いながらも頑張ります。

今に生きる人は当然ながら誰も江戸の声を直には聞いておりません。従って残る断片の言語からの創造の文化です。
その創造人は“宮田章司さん”岩波アクティブ新書から03年に本も出し、今年の8月も03年に続き、NY講演もされています。

宮田さんによると間違いなくルーツは関西(京都)であろうと。おそらく室町時代の芸商人であった斉藤道三の油売りが、うそかまことか、口上とともに油の糸を銭の穴に通してみせた、ところからではないかと。

今、残っているのは東京では「とーふーい、とーふ」ぐらいで、(私が住んでいる地域は俗にいう○○○上原という、どちらかというと山の手なのですが、なぜか最近、売り声はないけれどラッパだけ復活!)あまり聞くことが少なくなっています。

ちなみに私が子供の頃いたことのある○草では、「なっとなっとー」や「しゃっこいーえーしゃっこい」(氷売り)「あさり〜あさり!」「こーもりがさ修繕、エーこうもりがさ修繕」などをよく聞きました。中でも忘れられないのは紙芝居で、そのおまけを呼び声にしてました。おまけとは“さめのにこごり”で、子供達のおやつでした。
(だんだん、三丁目の夕日ぽくなってきましたね)
宮田さんいわく『今よりも昔の方が便利だったね。欲しいものは家まで来てたんだから…』


話を芸商人の方向に戻すと、賞味期限がありアシが早いものほど、高温で通る声で、末尾も高く終わります。
話すピッチも早いです。
期限がないものほど低い声で始まり、真ん中に山をつくり語尾はまた低くなりますし、ゆっくりです。
芸としての圧巻は水戸の甘納豆が江戸まで来て船で関西に渡り、京に上るくだりです。一見ならぬ一聞の価値ありです。

なお宮田さんの売り声以外の話で違う意味で考えさせられるのは、究極リサイクル都市、江戸の話です。“とぎ(包丁)”“いかけ(鍋)”はもちろん、有名な矢切りの渡しは、江戸に入る時は野菜を、帰りはたい肥を持って帰るお百姓さんの船がルーツという話や、灰を着物洗いで使うために、それを集める人がいた、という話。それ以外でもそういう商売があったと言います。

ちなみにこれは違う本を読んでて気付いたことと符合するのですが、森鴎外が日本人の生活を見て一番最初に感動したのは『始末のよさ』だったと言っていたそうです。『くずを道に落とそうものなら…』というくだりがあり、つまり江戸に限らず少なくとも明治まではそういう国民性であったということがわかります。
自分の今の所業をつくづく見直させられる言葉です…。

宮田さんはNY講演をされた時、アメリカの少年にせがまれ、聞いたこともないはずの“朝顔売り”をした時のキラキラした眼が忘れられないとおっしゃっていました。

すみません、キーワード的になっていないかもしれません。お許しを…。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/...

【えどうりごえひゃっけい】


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2007/11/6更新
2007/11/5 登録
3479クリック/ 1回更新
感想 ▽最近の8件 [全12件を表示]
07/11/6 辛夷(こぶし)  ぬほりんさん、初心者にお教えいただき感謝です。
かんから  とても興味深く拝読しました。売り声、面白いですね〜。なかなか聞くことができないのが残念ですが、深川江戸資料館の展示室あたりでは流れていたりするのかな?江戸の物売の姿を描いた画本では三谷一馬さんの『彩色江戸物売図絵』も面白いですよ。コスプレ?って思わず笑っちゃうようなユニークなものもあったり。
えりりん  わぁ〜い、待ってました。タイムマシンがあったら江戸で暮らしてみたいと益々思ってしまうキーワードです。江戸を研究すると、豊かさや便利さって何?って再考させられますよね。
しょう  祝・初KW!以前テレビ(NHKだったかな?)で江戸の売り声を聞いたことがあります。とても面白いですよね。「始末がいい、悪い」は明治生まれの祖母の口からはよく聞いていました。よい習慣は不変にしたいですね。
nekomama(ネコママ)  以前、寄席に行った時に二度ほど宮田さんが出演されてました。大きなよく通る声で物売りの声を再現されてました。
ぼにーた  とっても興味深い江戸のお話ありがとうございます。
尾上菊之助丈主演の映画『怪談』で、菊之助さんが煙草売りとして『たーばーこー』と言っていたのも売り声ですよね。
透明感のある声で素敵でした。
もし映画をご覧になっていないようでしたら是非!
回し者ではありませんが、私、菊之助さんファンなのです。(笑)
07/11/7 辛夷(こぶし)  初KWで、こんなにもたくさんの方が関心を示してくださり、感激です。
今後も自分も皆様にも楽しんでいただけるように頑張ります!という矢先に第二弾を登録してしまいました。
ちなみに今もアチコチで聞かれる「い〜しやきいも〜やきいもっ」と「さおだけ〜え、さおだけっ」は明治以降からのものらしいです。
08/5/4 辛夷(こぶし)  5月25日(日)14時半よりに室町 福徳塾さん(地下鉄三越前)で宮田さんのイベントがあります。1.5時間ぐらいで着物で行くと1500円で、洋服だと2000円です。この催しは新日屋さんの企画〜東京きもの倶楽部〜『江戸遊学』で、タイトルは「江戸売り声から江戸のリサイクル社会を想像する」です。興味をお持ちの方はぜひ!
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