| | 『きものと心』
著者:武内俊子
出版社: 芸艸堂 (1993/04)
定価:2,320円
「志ま亀」の先代の女将による本です。
「美しいキモノ」に5年にわたって連載された文がもとになっています。
大正三年に京都知恩院近くで生まれた筆者は、「志ま亀」に嫁ぎます。
戦前の豊かな時代の呉服作り、老舗の暮らし。
やがて訪れた戦争。
敗戦を乗り越えて、東京へ進出し、夫亡き後は六代目として店を守っていく…という、筆者の半生が、淡々かつ丁寧に述べられています。
この本に寄せられた瀬戸内寂聴『一筋に生きた女』に
「ひとりの女の一生は、同じ時代を生きた多くの女の一生と重なり、個人史でありながら、普遍的な意味を持つ。」
とあるように、語られているその時代のにおいが立ち上ってくるような、歴史の本としても読めます。
また、掲載された写真(江戸時代の振袖や筆者の婚礼衣装など)も美しい。
数々の華やかなエピソード(大原美術館創始者・クラレ初代社長・大原孫三郎が注文したきものの話、花柳章太郎の衣装の話など)は、物語の世界のことのよう。
有名な作家との交流や、志ま亀のきもの作りを支えた名職人についての思い出も、心をこめて書かれています。
いろいろな角度から読める本です。
なお、題字は本人の筆によるそうです。 http://www.unsodo.net/...
| | | 【キモノトココロ】
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2008/4/6更新 2008/4/5 登録 2293クリック/ 2回更新 |
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