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さらの空間
籠染 着物・帯 着物・帯



【2009年7月13日 加筆・修正しました】

浴衣の季節も近いので。

一枚の布をリバーシブルに染める籠染は、大正時代から伝わる染色法ですが、その源は江戸時代の浴衣ブームにさかのぼると言われます。
いわく、白(綿生地)に藍の模様付が主流の浴衣作りにおいて、裏が白いのは情けないと考え、表と裏に同じ柄を染めつけたところに「籠染」のスピリットが凝縮されいる…
 
明治時代に入ると産業革命の流れの中で「注染染め」が生まれ、両面を染めるならリバーシブルがよかろうと編み出されたのが「籠染」でした。銅板に模様づけをする原型は確立したものの、当時は表裏に同じ柄を染めていたそうです。

やがて、表と裏に異なる柄を染めるのもよかろうと思いつき、昭和30年頃に今日に通じる「籠染」が生まれれました。現在、その絶滅が嘆かれている籠染の反物は、昔からの技術を応用して、より粋でお洒落なものづくりに対する情熱の結晶と言えましょう。

袖や裾がひるがえってもおしゃれにと、細部にまで手を尽くした粋な計らいは、職人の技術と心意気の極地と言えそうです。 柔軟な発想と、それを形にする技術の継承に、あらためて拍手喝采です。

籠染の特徴は、注染では難しい極小の柄や細い縞が染められること、表に裏の模様が写ることのないように、かなり込み入った柄付がされていることです。いずれも緻密な計算のうえ、銅版に精緻な柄を掘り出す技術あってこそ。

その技法は、異なる柄をエッチングした2個のローラーの間に生地を通し、型付けし浸染することで表と裏に別々の柄を染めだすというものです。
詳細はこちらで:http://www.chikusen.co.jp/...

当然ながら一方は「裏」と呼ばれますが、どちらを表に仕立てても良く(実際はどちらにしようか大いに迷うのです!)、シングルCDならば「ダブル両面」といったところでしょうか。

説明文や画像を見ると、籠染の技法をそれなりに理解はできますが、現物を手にすると、どうして両面ともにこんなに美しくきっぱりと染め上がるのか、やはり不思議で魔法のようです!

私のきもの熱を高めたもののひとつが、箱に入ったまま譲られた籠染の浴衣地でした。きちんと巻かれた反物の表は藍の濃淡で蛇の目傘がくっきり染められ、裏には繊細なドットと七宝柄と蔦の葉の柄が染められています。
どちらを表に仕立てるかが決められないまま、手元にありますが、いつ見てもうれしくなる技としゃれっ気です。

そんな魅力的な籠染ですが、とうとう最後の職人さんが廃業宣言されました。職人さんが現在持っている生地と染料がなくなると、籠染の歴史に幕が下りることに…
竺仙のHPには「本当に良いもの、残していきたい物が少し壊れてきているのかもしれない昨今です」とあります。一部の消費者がその価値に魅せられ求めても、商品として存続できない現状は厳しいものです。 

「安・短・楽」の対局にある、手のかかったもの、受けついてゆくべきものを軽視しがちな傾向を変えなければ、残したいものが廃れてしまう現象に歯止めがかからないようで、無念という言葉しか思い当たりません。

*竺仙さんの小冊子「竺仙湯帷子」とホームページには「カゴ染」と表記してあります。しかし反物には「籠染」とあること、また長く受け継がれてきた技術であることから、漢字表記に統一しました。

http://www.chikusen.co.jp/

【カゴゾメ】


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2009/7/13更新
2009/6/1 登録
4505クリック/ 1回更新
感想
09/6/1 辛夷(こぶし)  そうなんですよね。カゴ染の粋さって筆舌つくしがたいのです。

よく取り扱ってたお店の方は、昨年からありったけの在庫を集められたそうです。

どちらかというと男物の方がしゃれた柄が多いように思うのは私だけかもしれませんが、面白いことによーく探すと、中には片面は男の人に向く柄でもう片面は女の人に向く柄なんていうのもあります。

本当に惜しまれます。竺仙さんとお取引が多い店の方が「若い職人さんが今すぐに学んでも、商品として成り立つのはおそらく10年後です…」としんみりとおっしゃっていたのが印象的でした。

あれだけ手間をかけても小売価格で3万円前後では、若い職人さんがやりたがらないのではないかと憶測もしてしまいました。
09/6/2 きのぴー  かご染は本当に残念です。時代時代によりそれぞれの役割があるのではるのですが、この味というものは、いまのプリント技術では表現できないですね。

特選着物のような高額なものの伝統技術の継承ももちろん難しいのですが、浴衣の染織技術の難しい段階に着ていますね。一度、途絶えてしまうとなかなか復活できないのが、技術というもの。大切にしたいものです。

先週、伊勢丹新宿店の竺仙さんのコーナーには昨年最後に納品されたというかご染の反物が2〜3本残っていました。どれも素敵でした。
えりりん  ほんとに、残したいものから廃れてしまう...。(T_T) 悔しいです。
でも若い人達の中にも、“いいものを少しだけ持つ”という感覚も芽生えてきている気がします。センスのある若者たちが、消費者意識や消費動向を変えていってくれる事を期待してます。
09/6/3 しょう  う〜ん、ほんとに残念。手をかけたものや技が生き残って行くにはどうしたらいいのでしょう。それも時代の淘汰という見方もあるでしょうが、職人がいない国、技のない国、お金だけを右から左に流す国、そんな国に地球に住みたくない!そしてきのぴーさんがおっしゃるように一度途絶えてしまうとその復活は非常に難しいと思うので、細々でも続いて欲しい。そして続けた人が報われる時代が来て欲しい!
さら  初キーワードへの感想ありがとうございます!

技の伝承は、もはやピンポイントな救援策では追い付きませんね。収入の保障を含む優れた制度、特に若い世代が魅力を感じる仕組み作りが重要でしょうか…

とりあえず私は、「手をかけた味のあるモノは素敵だな」と、若い人たちに思われるようなオトナ(年齢は十分すぎるほどオトナですが!)を目指します。 真楽にはそのように素敵な方がたくさんいらっしゃるので心強いです♪
09/7/4 えりりん  ずっとこのKWが気になっていて、こんな柄を一反。ほんとに表と裏がきっぱり染め分けられています。若い人達にこそ着て欲しいなぁ。
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