| | 神保町・湯島天神・根津・東銀座・日本橋・神楽坂etc. と目次の地名を並べるだけでもワクワクの本書は、朝日新聞の連載に加筆した文庫本です。
東京生まれ・東京育ちでも、当然のこと馴染みのない町はたくさん。ふとしたことから気になって「いつか訪ねてみよう」と思う町へ足を運ぶときにうれしい一冊です。
案内本として、紹介された店舗のリストが便利なのはもちろん、「盛り場は活気があっておもしろいが、散歩していて心が迷子になるのは『さびれ場』の町である」なんて、しゃれた読み物としても楽しめます。
本書を読んで、以前からお気に入りの古本街や老舗やお蕎麦屋さんを再訪すると、改めてじんわりと良さが湧き上がるのは、さびれ場をこよなく愛し存続を願う筆者のやわらかな目線あればこそ。
「…町歩きの楽しみは、時間と空間の路地に迷い込むことなのかとつくづく思う」との一文に、筆者の散歩愛が凝縮されているかのよう。
きもの好きとしては、町に似合うコーディネートを妄想(笑)するのも楽しみ。小千谷に半幅帯、下駄にパラソルをさして月島から佃島あたりを歩き、軽く一杯やってみたいな、などと!
(余談ながら、アルフィーの坂崎幸之助さんは重盛さんの甥と最近知りました。ほんわか系の「通」という感じが重なるかも…) http://bookweb.kinokuniya.co.jp/...
| | | 【トウキョウ シニセ・フルマチ・オシノビサンポ】
朝日新聞社 2007年 630円+税
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