| | 秋も深まりダイニングの椅子がお尻にひんやりする季節ですが、今年のわたしは違います。ノッティング椅子敷があるのです。『少年民藝館』の1番、「楽しい椅子敷」は、この研究所で生まれました。
古い町並みが残る倉敷美観地区、倉敷川に面してひっそりと建つ白壁の民家があります。『少年民藝館』の著者でもある外村吉之介が自宅を開放してつくった、民藝とその暮らしを学ぶ学校「倉敷本染手織研究所」です。玄関には木の表札が掲げられていますが、知らなければそこが学校であることには気づかないほどです。
1953年(昭和27年)に倉敷民藝館付属工藝研究所として開設されたこの研究所では、糸を紡ぎ、天然染料で染め、手織(てばた)で織り上げるという『本染手織』の技能を、1年間かけて学びます。この研究所の特徴は技能だけでなく民藝の精神と生活を学ぶ点にあります。開設時から「生活をともにしながら」を方針に生徒は寄宿生活を送り、ものの見方、生活のあり方、料理や掃除洗濯などの暮らし、作法に至るまで、実生活を通じて体で学び身につけていきます。住み込みでの研修ですから年に6〜7人しか受け入れられませんが、小規模だからこそできる学びでもあります。
芸術作家を養成するためではなく、趣味のお稽古事でもなく、ただ愚直に真摯にものづくりと生活に向かい合う、そんな工人、職人を養成し、民藝の精神を広めていくことを目的に、現在も外村吉之介氏のご子息である石上さん夫妻によって、民藝の技と心が伝えられています。
個人のお宅であり、生活の場でもあるため、一般に公開はされていません。
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研究所は、戦時中倉敷紡績の軍需工場で働き、終戦後行き場をなくした沖縄女子挺身隊のためにつくられた工芸教室を前身とします。社主であり民藝を通じて沖縄文化に深い関心を持っていた大原總一郎は、倉敷で沖縄の文化を再興させようと考え、また、彼女たちが沖縄の文化を継承し沖縄に戻れるようになったとき暮らしが成り立つようにと考えました。挺身隊員数人に機織りの経験があったことから、指導者として外村吉之介を招聘し、染職技術を学ぶ女子挺身隊の工芸教室がつくられました。
この沖縄女子挺身隊の副隊長であり、大原總一郎と外村吉之介の薫陶を受けたのが、沖縄に戻り長い苦労の時期を経て芭蕉布を再興された平良敏子さんです。
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倉敷、大原家、外村吉之介と民藝については、吉備人出版 金光 章著『民藝とくらしき』にトピックスがまとめられています。
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本染手織研究所の卒業生でつくる『倉敷本染手織会』の作品展が毎年開催されています。
展示即売会 「倉敷本染手織会作品展」
■平成23年11月15日(火)〜20日(日)9:00〜17:00
■会場 倉敷民藝館 特設ギャラリー
| | | 【クラシキホンゾメテオリケンキュウジョ】
岡山県倉敷市本町4-20
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2011/11/16更新 2011/11/16 登録 3301クリック/ 1回更新 |
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