◇ 蔵・・・ゆるゆる雑文/00_08_25 ◇
の 声

 とある仕事で“あなたの定年後の夢は?”という街頭インタビューをすることになった。場所は、新橋と銀座近辺。顔と名前の売れたタレントをインタビュアーに仕立て、道行く人を片っ端から捕まえて聞いて廻る。さすがに有名人だと皆、足を止めて答えてくれる。

 さて、一番多かったのは「のんびりしたい」という答え。
現代人は誰しも時間に追われているのだろうか? はたまた、仕入れたそばから陳腐化する、情報過多なこの状況に追い立てられてる? 見えないナニカに追い立てられて、疲弊感漂うお勤め人が多かった。
 そして面白かったのが、日本企業で働く中国人とインド人は「定年後は国に帰ってのんびりしたい」と言っていたのに、日本人は「南の島とか、どこか外国でのんびりしたい」と答える人が多かったコト。
日本は働くにはいいけど、やっぱりなんだか暮らしにくい国なんだろう。
それは、日本人も外国人も同じ様に感じるらしい。
豊かなんだか貧しいんだか、ちっとも分からない国だね、ここは。
 もうひとつ印象深かったのは、「定年までに3000万円、貯金する!」と断言してた人。「で、そのお金で何がしたいの?」と聞いてみたら「考えてない」と即答してた。(笑)どうやら貯めることが目的らしい。いろんな人がいるもんだ。でも、老後のために漠然と貯金をするという日本人は、さほど珍しくないらしい。
 昨日のインタビューでも、夢を語るより先々の不安を訴える人の方が多いくらいで、そんなことでこの国の将来は大丈夫なんだろうかと私まで少し不安になった。

 能天気なガングロ娘から、サラリーマンにOL、トラックの運ちゃんやラブラブカップル、そして悠々自適な初老の紳士まで、いろんな人のそれぞれの話は面白かった。
 普通、街ゆく見知らぬ人に“定年後の夢は?”なんて聞けないもんね。未編集のホントの生の街の声。私にとっては見聞広がる貴重な体験。でも、これらは編集されてしまうのです。選別され編集され装飾され毒を抜かれ整えられて世に送られる街の声。あぁ、やっぱり生がイチバンだ!

 さて、私の場合はどうだろう。この家業に定年なんか無いわけだから、辞めたくなったらそれが定年。その時は持ってる物を全部捨てて、世界放浪の旅に出たいなと思ってる。地図にも載っていない所を散歩するんだ。
 でもって、見知らぬ国でのたれ死ねたら最高だ。

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