◇ 蔵・・・ゆるゆる雑文/02_05_21 ◇

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お金ってなんだ?
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「エンデの遺言」という本を読んだ。
びっくりした。

今まで、お金なんて、コツコツ真面目に自分の能力をちゃんと使って働いていれば、後から付いてくるもんだと思っていた。
ところがどうやら、今のお金はそんな単純なモノじゃないらしい。
世界のあちこちで起こっている様々な歪み。
その問題の根源は、“お金”にあるらしい。

経済の本など手にしたことのない私が、この本を読もうと思ったのは「モモ」などの良質な童話を世に放ったミヒャエル・エンデが、最後に残したメッセージだったからだ。
エンデが逝ったすぐ後に、アジアではヘッジファンドという暴力的なお金が市場を荒らした。その後も世界の経済は、どうも変な方向へ進んでいる。

頭の上でびゅんびゅん飛び交う電子マネーは、私が知っている“労働の対価”としてのお金ではない。いつのまにかお金は全然違う物になってしまった。
しかも、資本主義というのはその名の通り「資本を持つ」人の元に「資本」が更に集まるシステムだったって事に今ごろ気付いた。バカか?私は。
だいたい金融商品って何よ?
お金自体が商品なわけ?
額に汗しないで、お金をあっちからこっちへ転がしてるだけで、お金が「殖える」ってどうゆうこと?
通帳にチマチマとした数字が記載される時しか気にしなかった“利子”って、そういえばなんで付くの?
アフリカのどこだかでは「ケチな人」とは「貯め込む人」の事だと聞いた。
江戸っ子は、金は天下の回りものと教えてくれた。
労働の対価としてお金が存在してた世界は、シンプルだった。でも今、実態の無い数値となって世界を駆け巡るお金は複雑すぎて、きっともう誰にもコントロールが出来ない。
ほらね....。考えてみれば、今、リアルに存在するお金のシステムの方が何かどこかおかしいのかもしれない。
この本に出てくる「老化するお金」「時と共に減価するお金」は、目から鱗のお金の考え方だった。
世界中の人々が幸せになる為には、こうした逆のお金の考え方も取り入れないと、国を越えて暴走する暴力的なお金の力に対抗できないんじゃないだろうか。

ミヒャエル・エンデは経済学者ではない。
でも、だからこそ、経済に疎い私にも“お金の疑問”を、たくさん気付かせてくれた。
お金の持つ哲学的な意味...。
根源から「お金って何だろう?」と考える術。

人類の知恵として、エンデの遺言を受け止めたいと思った。
そして、今を生きる私たちが、これからのこの星の事を考えて軌道修正をしなくちゃいけないんじゃないだろうか...と、思った。
ほんの少しづつでも、ちょっとだけでも。
■エンデの遺言
根源からお金を問うこと」

・NHK出版
・ISBN4-14-080496-3
・1500円

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