ところで、バリではタニシのことを“カックル”と言う。
いわゆる普通のサイズのカックルは、過去の日本でもそうだったように、庶民の貴重なたんぱく源だった。以前、まだ熟れていないパパイヤの実と一緒にスパイスで煮付けた料理をご馳走になった。これが、忘れられないほど美味だった。数年後「カックルが食べたい」とバリの友人に駄々をこねたら、最近は食材も豊富になりバリ人もあんまり食べないと言う。それでも彼は親戚中を巻き込んでカックルをかき集め、カックル料理を作ってくれた。美味しかった。ごちそうさま。そんなバリのカックル料理も、食生活や水質の変化が原因で、日常の食卓からは消えてしまうんだろう。美味しいのにもったいないな。 |